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093-凄惨な償い

さて。

問題はまだ解決していない。

僕は再び、サーシャとかいう女のもとへ向かう。


「ッ!」

「サーシャ・リンヴァンデッタ....だったか」

「....何の用ですか」


サーシャは、僕を睨みつけてくる。

殺せるのなら今すぐにでも殺したいといった顔だ。


「君の処遇を決めようと思ったのだ」

「殺すなら、今すぐ殺せばいいでしょう! 私の夫にしたように!」

「そうできない理由がある。お前たちは、僕に...僕の持つ財産に対して何かしたわけではない故に」

「夫は......そうしたのですか....?」

「そうだ。艦隊を我がVe’z領域に乗り付け、僕たちとエミドの争いにつけこんで技術の奪取を試みた。その罪は、大きい」


僕は関与していないが、エクスティラノス達がそういう判断で行ってしまったものは、事実として僕が責任を負わないといけない。


「私の祖国を、完全に滅ぼすほどの罪だったのですか?」

「そうだ」


僕は迷わずに言い切る。


「私の武器では、貴方を倒せない――――なら!」


直後。

サーシャは銃をこめかみに当てる。


「私の命を奪えないなら、貴女に交渉を持ちかけるわ」

「そうか――――残念だ」


僕は触手を飛ばして、銃を奪う。

その速度は、サーシャの動体視力では視認できないだろう。


「さあ、貴方達の技術で、私たちの帝国を再生――――」

「残念だが、滅ぼした惑星を再生する技術を持ち合わせてはいないな」


重力によって時間の流れる速度を操作したり、惑星を即座にテラフォーミングする技術はあるが、バラバラになった惑星を作り出す技術はいまだ未確立だ。


「ふざけないでください、私の命は――――ふぇ?」

「お探しのものはこれか?」


僕は銃を指でくるくる回して見せる。

皇室仕様だろうか、白を基調にレリーフのようなものが金色の素材であしらわれている。


「なっ....返してください!」

「考えよう」

「......何を考えているのですか、とっとと送り返せばいいでしょう.....」

「何故、残る道を選ばない? 尊厳を捨て、メッティーラの下で永遠に過ごすのであれば、滞在を許可しよう」


僕はサーシャたちを追い出すこともできず、かといって消すこともできない。

飼い殺しにするくらいしかないのだ。


「.....何故、憎むべき貴方達の手を借りてまで!」

「そもそも、お前は夫を引き合いに出すが、確か夫に捨てられたはずではなかったのか?」


Ve’zのデータベースだとそう記録されているので、おそらく周知の事実のはずだ。


「.......何故そんなことを、お前が知っているのだぁっ!!」

「ようやく本性を見せてくれたか」


サーシャは掴みかかってくる。


「だが、愛は本物と見える。僕の知る限りでは、お前を手放した皇帝は傷心の様子だったそうだ」

「......え?」


Ve’zの情報網により、貴人の様子は常に記録している。


「こうなると理解していたからこそ、お前を帝国から遠ざけ、被害者に仕立て上げたのかもしれないな」

「..........それでも、私はあなたに復讐したい」

「すればいい」


僕は笑う。


「僕はクローニングで無限に蘇生できる。気が済むまで僕をめった刺しにでもすればいい」

「何を――――」

「気が晴れるだろう?」


僕はケルビスに頼んで、ナイフを手元に転送してもらう。

それを、サーシャに手渡した。


「さあ、それなら僕を傷つけられる。殺すといい。国民全員の分、僕を始末すればいい」

「く....狂っています....!」

「自分の人生を捨ててまで、自分を見もしなかった帝国に殉じるあなたも、相当に狂っているだろうな」

「うっ....あぁああああああ!!」


サーシャはぐちゃぐちゃになった表情でナイフを手に取って、僕をナイフで突き刺した。

嫌な音がした。

青く発光する体液が噴き出し、サーシャの顔を汚す。


「さあ、この程度ではすぐに治ってしまう。横になった方が刺しやすいか?」

「あああっ、ああああああ!!」


サーシャは半狂乱になって、横になった僕を突き刺した。

特別製のナイフは、刃がこぼれることも血糊で汚れることもない。

そのうち、僕の体がダメージを修復できなくなり、”死”が起こる。


「.........」


僕はクローン体に意識が転送されたことを確認し、保存液から出る。

服を着る必要はなく、すぐにサーシャのもとへ向かう。


「さあ、もう一度」

「......し、死んで、くださいっ!!」


今度は強烈な一撃だった。

僕の体はその刺突で、喉を貫かれて死ぬ。

また蘇生して、すぐに飛ぶ。

二人分の僕の死体の上で、今度はサーシャは僕の首を絞めてきた。


「済まない。呼吸は不要なので、息が出来なくなることはないんだ」

「この....化け物っ!!」


再び、サーシャは陰湿に僕の体を傷つけた。

それを二十七回繰り返したとき、ついに体力を使い果たしたサーシャは倒れこんだ。

僕はそれを抱え、アロウトへと連れ去った。

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