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088-ペットのエサは自家栽培でも可

ビージアイナ艦隊旗艦の艦内にて。

サーシャは展望室で一人呆然としていた。

彼女の中にあった命題である復讐は、メッティーラによって塗り替えられた。

つまり、いつも通りというわけだ。


「.........」


彼女は、ヴァンデッタ帝国の皇妃であるが、実質的な権限は何一つなかった。

だからこそ、なぜ自分が艦隊を率いてここにいるかを考えているのである。

だが、何か決定的なピースが欠けていて、確信に至らない。


「ここにおりましたか」

「ヘイルス」


サーシャは背後から声を掛けられ、振り向く。

そこには、彼女の副官が立っていた。


「メッティーラ様に謹慎を命じられてより、三日ですな」

「そうですね」


二人には、メッティーラに植え付けられた忠誠と偽りの記憶が存在していた。

メッティーラが記憶を読み取り、まったく違和感のないように刷り込んだ記憶は、二人をVe’zの忠実な家臣へと変えていた。


「あの御方は、皇帝に見捨てられた貴方様にもよくして――――」

「ヘイルス!」


その時、サーシャは声を荒げた。


「見捨てたのではありません、最初から興味などなかったのです...!」

「はっ、失言でしたっ!」


副官は謝罪する。


「生涯恋などしなかったあの男は、私に興味などなかったのです! .....いいですね?」

「はっ」


ヘイルスは頷く。

サーシャは思い出したくないとばかりに首を振った。

実際はどうだったのか、副官は知らない。

貧相な娘を抱く気もなかったのか、別の見捨てる理由があったのか。

少なくとも、政略結婚以外の意図がサーシャとの結婚にあったことを、ヘイルスは知っていた。


「! 配給の時間ですな、確保に行ってまいります」


その時。

鐘のような音が鳴り響き、ヘイルスがきびきびと外へ歩き出す。


「気をつけなさい」

「はっ!」


二人の間に会話はない。

だが、サーシャにとってはヘイルスは、メッティーラの次に信頼を置く人物。

書き換えることのできない、サーシャに尽くしたヘイルスの記憶は、その絆を確固たるものにしていた。




『エネルギーブロックを与えるのも良いですね...しかし、これには“味”がありませんから...人間達には不服かも知れませんね』


人間達に餌を与えたメッティーラは、自分の本来の主食であるエネルギーブロックに目を向ける。

主食というよりは、余剰エネルギーを獲得するだけの嗜好品のようなものではあるが...

味を知ったメッティーラは、これが人間達には適さないことをよく分かっていた。


『そうなると...私も、ケルビスのように農園を作るべきですね』


勿論、ケルビスのような、エリスのために無農薬で科学技術を生かさない自然のままの栽培を目指すつもりはない。

確保するのはあくまで餌であり、その一部は自分がつまみ食いするだけのモノ。

Ve‘zの科学力をもってすれば、本来余裕で出来ることなのだ。

仮に人間達がいなくなっても、ケルビスに要請せずとも自分の好みの食糧を生産できる施設は必要だ。

管理はノクティラノスに任せれば良いと、メッティーラは最終的に判断したのだった。


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