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083-近づく残党

その頃。

Ve’z領域外縁部のナクート星系に隣接する、元ヴァンデッタ帝国領ニシタラ星系に、無数の艦船が集結していた。

中でも、唯一異彩を放つ白い艦。

その艦橋にて、一人の男女が会話をしていた。


「我が祖国の仇を取るのだ、よいな?」

「はっ....しかし、可能でしょうか?」


女の命令に、男は少し不安そうに問う。

女は眉を顰めるが、男は否定ではないと前置きして続ける。


「我々の武装は、帝国の親衛隊に比べて数段劣ります。彼らが勝てなかったVe’zに、果たして我らの武装で及ぶかどうかと、愚考いたします」

「ヘイルス」


女は平身低頭を続ける男を、丁重に立たせる。


「勝てなくともよい。どうせ敗けて戻ったところで、あのTRINITY.のいけすかない男に借りを作ったままだ。どんな目に遭わされるかわからぬぞ」

「.....そうでございますね」


TRINITY.のアトゥに力を借りた一行。

過去に鹵獲した機体を借り受け、なんとかここまで航行してきた。

見返りの無い協力を求めれば、必ずそれに見合う何かを要求されることを、女は知っていた。

何故か?


「帝国の皇妃であるサーシャ様に、見返りを求めるなど....」

「よせ。あの男は私に役割以外の何かを期待したことがない」


皇妃ではあったものの、サーシャは生娘である。

愛が注がれていた対象ではなく、権限もなかった。

キロマイア皇国に対する抑止力として、艦隊を与えられて駐留させられていた身に過ぎない。


「幸いにもこの艦は、『天使の裁定』を装備している。Ve’zの一隻でも沈められれば、復讐は終わったも同然なのだ」

「承知いたしました。では、我らはこれよりVe’z領域の最奥部へ向けて進軍いたします」

「うむ」


サーシャ艦隊はスターゲートを通過して、Ve’zの暗い星系を進軍する。

彼らのワープドライブの性能では、連続ワープは難しいのだ。

そして、その派手な動きは――――当然ながら、Ve’zに察知される。







『帝国の残党が....?』


ヴェリアノスを哨戒中だったメッティーラは、Ve’zの末端艦隊からの情報を瞬時に受け取った。


『.......無視せよ。監視に徹し、目的を確かめるのだ』


排除するのは簡単だ。

しかしながら、下手に排除したことをエリアスに知られれば、先日見た処刑を今度は自分が受けることになる。

何より、報連相は重要だとエリアスが宣言していたのを思い出した。


『エリアス様――――――取り込み中ですね。ケルビス――――』

『なんだい、メッティーラ?』

『領内に帝国の残党軍が侵入しました、角が立たないよう――――』

『ああ、そういう事か。君の裁量に任せるよ』

『....分かりました』


ケルビスは現在、エリスへのサービス中だとスケジュール表には書かれていた。

メッティーラは諦め、暇そうなポラノルに連絡する。


『何だい何だい、暇で暇なボクに、いそいそ忙しい君が!』

『......Ve’zの領内に帝国の残党軍が侵入しました。排除するか迷っているのですが.....』

『ボクには何もわからないよ、ボクは道化で、道化はボクだからね!』

『.....了解』


メッティーラは諦めた。

カサンドラに相談する手段もあったが、カサンドラのスケジュールはケルビスの管理する惑星での休憩中となっている。

邪魔するのは悪いことだろう。


『(後で報告すれば、お許しになられるでしょう....)』


メッティーラは一人、帝国軍の進路にある星系へとワープした。


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