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074-征服される帝国

エリアスがカルメナスを探訪している間。

Ve’zはエヴェナスを量産して指揮官とし、帝国の領土の51%を完全に復興不能な死の星系と化させていた。


『ケルビス様』

『君は実質的にエクスティラノスだ、様は要らないよ』

『そうですか....ところで、カリグ星系にて戦闘中ですが、現地のスリーパーが接触してきました』

『ふうん、眠る者たちが接触してきたか。合流したかい?』

『それが、エクスティラノスではない私の命令権では、彼らも敵対行動をとらざるを得ないらしく、ケルビス様の一時権限の発行を求めてきています』

『分かった、そうしよう』


ケルビスは同時に、侵略状況のモニターを見る。

ヴァンデッタ帝国の主力艦隊は首都星系に繋がる唯一のルートである、アルライツに集結していた。


『愚かですね、ワームホールを自由に操作できない者達は』


ケルビスは呟く。

彼にとっては、ヴァンデッタ帝国を地図から消せばそれで全ては終わりだ。

エリアスに新たにグラーム星系の名物「ホドエール」を要求し、時間を稼いではいるものの...侵略中にエリアスが帰還すると非常にまずい。

その「バレると拙い」状況が、AIの独自判断に即していないのだが、ケルビスは気づいていなかった。


『それから、エリス様から料理の腕を褒めていただきました』

『それは重畳。複製体からのフィードバックを受けることができる君は、物理的な料理に関しても優れているようだ』


エヴェナスは、エリスの料理人としての役割も持っている。

以前はケルビスがこなしていたものの、そのデータを引き継いだうえでシーシャからレシピ情報を受け取り、1mm単位の動きまでを複製体からのフィードバックを集約して最適化する事が出来たのだ。


『それは、戦闘にも使っているね?』

『はい』


エヴェナスはまさに、エクスティラノス版ノクティラノスである。

同時に一体しか存在できないエクスティラノスとは違い、彼らは権限と一つの自我を有しながら、無限に近い数の義体を持てる存在。


『”私”の機体はエヴェナス=コマンダーですので、戦闘指揮においてエヴェナス=アサルトのフィードバックを広義的に収集可能です』


そして、何より恐ろしいのはエヴェナスの機体である。

エクスティラノスに与えられる機体を、エヴェナスは自分の義体の数だけ別々に持つことができる。

惑星破壊兵器も、その他の想像を絶する兵装すらも、エヴェナスの権限であれば使用できる。

上位ノクティラスと言っても過言ではない。

だが、問題もある。


『.....それから、”私”の機体にも損耗が出始めています。ノクティラノスへの互換性が無いため、通常のドクトリンに組み込むことが難しいです』

『そうかね......では、ノクティラノスの一部操作権限を一時発行しよう。その間に、戦闘型を修理するといい』

『はい』


ノクティラノスと違い、エヴェナスの機体は一機一機がエクスティラノス艦と同様である。

同一存在同士なため、それぞれを巻き込んだ戦術などをとれないのだ。


『無から生み出された”自分”は、ノクティラノス達の蓄積経験のフィードバックを応用できません。これから、積み重ねを行って行こうと思います』

『よろしい』


ケルビスは報告を聞き、頷く。

そして、エヴェナスを下がらせる言葉を口にする。


『エリス様がそろそろ夕飯の時間だ、調理場に材料は揃えてある。君の腕を振るいたまえ』

『はい』


エヴェナスは頷くと、去って行った。

ケルビスはその背を見て、一抹の不安を拭い去るのだった。


『私たちの立場を脅かす可能性はあるが、下剋上の意思はないようだね。従順で助かるよ』


そうケルビスは口にする。

その言葉が、エヴェナスには届かないと知っていて。


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