071-現れた頭角
ヴァンデッタ帝国の帝城。
そこでは、一人の人物が土下座させられていた。
「申し訳ございません、皇帝!」
「申し訳ございません、で済むものか! この大バカ者が!」
「あの将軍を推したのは貴様だろうが!」
皇帝の付近に座る者達が立ち上がり、ガーダー将軍を推した人物を次々に罵倒していた。
「どうか命だけは.....家族の命だけは!」
「これほどの被害を出しておきながら、家族の命が優先だというのか!」
だが、彼らの目は怒りに震えている人間のものではない。
むしろ、愉悦に染まっていた。
何故か?
それは――――今回全滅した艦隊は、無能な人物だけを集めただけの張り子のトラであった。
それを、反皇帝派の貴族のトップに推させて自滅させた形になる。
不穏分子を消し、尚且つ無能も纏めて処分できた彼らは、愉悦で狂ってしまいそうであった。
「(Ve’zは領域を侵した者に攻撃はするが、侵略に出たことのない勢力だ。ガーダー殿は不幸だったが、これで永遠の平穏が訪れる)」
高位貴族の一人はそう考えつつ、罵倒を続ける。
だが、皇帝はその様子を静観し続けているのに飽きたのか、
「やめよ」
と手で制した。
そして、厳粛に、そして冷徹に命じる。
「クラリオット伯爵、貴殿は責任を取り、死罪とする! 家族を庇ったその意気は認める、妻子共々、名を捨てる事を命じる。そして、身分を剥奪し奴隷とする!」
「そ、それはっ....!」
あまりにも、とクラリオット伯爵は顔を歪める。
だが、皇帝は口角を上げただけだった。
「どうした? 命だけは助けてやったのだ、感謝せよ」
「.....は、はい...」
「妻子は奴隷、貴様は死罪。多くの兵を死なせた将軍を推した者に、実に相応しい末路という訳だ!」
「皇帝の慈悲に感謝せよ」
「誰か! 誰かいないか! こやつを連行せよ!」
貴族の一人が、兵士に命じる。
しかしその時、広間の扉が開き、男が一人入ってきた。
「へ、陛下! 大変ですぞ!」
その男は宰相であった。
皇帝もむげには出来ない人間の乱入に、皇帝は何だと口を開こうとして、
「惑星プレイアーゼが、破壊されました!」
「何だと!?」
皇帝は椅子を蹴倒して驚きを見せた。
プレイアーゼとは、帝国の宝石とも呼ばれる惑星であり、Ve’zの領域と隣接する星系の首都であった。
そして、惑星を破壊できるのは過去に二つの勢力しか確認されていない。
「エミドの仕業か!?」
「いえ、恐らくはVe’zのものであるかと....」
「拙い事になったぞ」
皇帝は配下に目を向けるものの、自分もノリノリで協力していたために、反論できない。
「.....仕方あるまい、全軍をアルライツに集結させよ! Ve’zの蟲どもを殲滅するのだ!」
「...はっ!」
Ve’zに交渉は通じない。
それを理解している皇帝は、襲い掛かってきたVe’zに対して、そう判断するほかなかった。
「貴様、どうするつもりか!」
「知らぬわ、Ve’zが反撃に出るなど、この帝国の歴史において一度も確認されて等おらぬわ!」
混乱する帝城。
だが、これは始まりに過ぎない。
銀河詩に歴史を刻む、Ve’zの脅威が蘇った瞬間の――――
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