048-舞う龍の如く
現れた艦隊を見て、ジェキドは嘆息した。
こんな雑兵では相手にならないと。
「こちら側の戦力を甘く見たか? いやしかし、それであれば奇襲で襲ってくるはず――――何を考えている?」
疑問に思うジェキドだったが、次の光景に刮目することとなる。
シュヴァリエ=ノクティラノスに守られた、未確認艦が”口”を開き、中から大量の熱源が飛び出してきたのである。
「何だあれは!?」
蝗害の如く密度で襲い掛かるラエリス。
艦隊からの射撃を受けるものの、数が多すぎて対処できない。
「だが、こちらにもシールドが.....何!?」
直後、ラエリスはシールドを纏って戦艦に突っ込んだ。
後に続くラエリス達も戦艦に向かって突撃し、反対側に突き抜ける。
そのまま転進し、機関部向けて突撃する。
その中から数十隻が離脱し、他の艦に向けて突撃する。
まるで水流のように艦隊の中を駆け巡り、次々と撃沈させていく。
「何という事だ....」
ほぼすべてのエミド艦隊が、ラエリスに襲撃されていた。
各個撃破に特化したエミド艦だが、それなりの防御力を持ち速度があるラエリス相手に苦戦していた。
「今までのVe’zの戦術パターンとは大きく異なるな」
ジェキドは感嘆する。
火力で全てを消し去る戦術とは違い、エミドに合わせて数で攻めてきた。
「あのVe’zに敵として認識されるとは、秩序を守る者として鼻が高い」
ジェキドは相変わらず険しい顔だったが、その声は少し楽しそうであった。
エミド艦隊は各個に分散し、ラエリスを一機ずつ破壊しようと試みる。
だが、速度があり過ぎてエミドの兵器では捕捉できず、なおかつ超高速で機動するラエリス相手に旋回もままならず、逃走すら許されずに沈んでいた。
「ジェキド様、如何なされますか?」
「増援を送り込め。ただしショックウェーブ兵装を搭載し、範囲攻撃で沈めるのだ」
「了解しました」
ワームホールが撓み、次々とエミドの艦隊が姿を現す。
そして、集合したラエリスの大群に、衝撃波爆弾を叩きこんで吹き飛ばす。
それでやられるような船ではないものの、バラバラになったところをエミドのレーザーで焼かれていた。
エミド側もただやられる訳ではなく、今まで一度も登場しなかった空母が現れ、中から大量の戦闘機を吐き出して対抗する。
戦闘機はラエリスの猛攻を躱してVe’z艦隊に肉薄し、アータスに特攻して自爆する。
シールドが削られただけであったが、Ve’zのシールドを削るべく無数の艦載機が襲い掛かる。
『ラエリス、戻れ! 盾になるのだ』
ケルビスの指示により、ラエリスは艦隊の周囲を東洋の龍のような群体を維持したまま飛び交い、各機に搭載されたレーザータレットにより艦載機を撃ち落とす。
ラムアタックだけではなく、通常の戦闘も可能なのだ。
「......バカな!」
その光景に、ジェキドは頭を抱えた。
新たなVe’zの船によって、戦況は完全に覆ってしまった。
無数のラエリスに群がられ、空母は火を噴いて爆沈するのであった。
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