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032-エリスの過去

エリスは、惑星ディラボーンⅤの生まれであった。

アンデュラス合衆国に存在する首都惑星デュラボーンⅤは、発展した世界の中では異質な、緑と水に溢れた素晴らしい星だった。

しかし、ここでとある事件が発生する。

アンデュラスが開発した新兵器が、戦争のバランスを大きく乱す代物であったのだ。

そして、それを知ったエミドが動き出した。

アンデュラス最強の防衛艦隊は、ワームホールを通って現れたエミドの侵略艦隊相手に4時間と保たずに敗北した。

敗北のニュースが伝わる前に避難はほぼ完了していたが、それは一部だけの事だった。


「ねぇ、どうしてパパとママは行けないの...?」


不安がるエリスに、エリスの両親は笑って答えた。


「大丈夫さ、すぐに合流するから」

「ええ、先発便は子供だけなのよ」


エリスはそれでも納得しなかったが、両親はそんなエリスにクマのぬいぐるみを渡して、送り出した。

そしてエリスは見た。

自分たちの故郷が、無惨に破壊されるのを。

Ve‘zの惑星破壊とは違い、エミドの惑星破壊兵器は重力場を破壊して惑星としての意義を失わせるものであり、岩盤が砕け散って宇宙に散り、大気が崩壊する様を、ゆっくりと死んでいく星の有様を見せつけられたのだ。

だが、彼女の運命はそれだけでは終わらない。

エミドは秘密兵器の存在を知る者全てを抹殺するため、アンデュラスの首都星系にある惑星を全て破壊し尽くして、コロニーやステーションを破壊して回った。

エリスのいたステーションも砲撃に遭い、カーゴコンテナに逃げ込み中の空気だけで生き残ったエリスだけが助かった。




それがエリスの生い立ちではあるものの、もしかすると死神は彼女を殺し損ねたのではと思うほど、彼女の生の道程には死が転がっていた。


「う、ウソ...なんでよ...!」


そして、エリスは最後の不運を引いたのだ。

座標入力が行われていないワープによって、時間が無限に引き延ばされた次元断層へと侵入してしまったのである。

内部ではあらゆる法則が意味を成さず、空腹や絶望を感じなかっただけマシであろうが、彼女はその状態で数百年を過ごした。

船は耐用年数を大きく超えた状態で次元断層内を彷徨っていたが、断層内では全ての物質の状態が遷移する速度が極端に落ちていたため、有機生命体である彼女が適切な修理を行うことにより、なんとかもっていた。

それでも。


「...誰かと話したい...」


その願いは消えなかった。

この空間は、物質と意識だけがゆっくりと朽ちていく場所である。

孤独はとても辛く、しかしながら自殺しようとしたところで、死ねないのだ。

何度か体を傷つけたが、血が流れることはなく痛みがやってくる事もなかった。

そんな時。


「...光?」


空間に歪みが現れたのだ。

アロウトの機関が始動したことによる重力変動で、ワームホールが発生したのである。

そんな事を知る由もない彼女は、言葉も発さず船をワームホールに向けた。


「ここは....!?」


そして、エリスの船はアロウトに墜落した。

ハッチを剥がして入ってきたモノを見て、エリスは戦慄した。

それは、触手を背中から生やした、明らかに人間ではないモノ。

人の形をしているが、エリスが今まで見た誰よりも.....綺麗だった。


「........くッ!!」


エリスは慌てて銃を撃ったが、ソレには通用せず、触手に掴まれて外へと放り出された。

それからは、エリアスの観測したとおりである。

だからこそ。







「.......あのね、私――――どうでも良かったの」

「え?」


エリアスに髪を洗ってもらいながら、エリスはふと口にした。


「........どういうことだ?」


エリアスは前後の文脈が繋がっていない言葉に混乱する。

だが、エリスは説明せず続ける。


「私、ほんとは見てないもの、撃ったところ」

「.....そうなのか?」

「Ve’zの一部になったからか、撃ったことを後から知ったのよ」

「....そうか」


エリスは何か言いたかったが、やっぱりやめておいた。

エリアスが本気で反省しているのを知っているからだ。


「(......真面目過ぎるのよねー.....)」


エリスは内心溜息を吐くのであった。


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