286-紅蓮の星々
『フフフフフ....!』
宇宙に、光の華が咲く。
それを齎しているのは誰か?
『フハハハハハハ!!』
光を解き放つのは、純白の機体。
滅びの力を持ち、かつ改修においてその機能に特化された機体。
ナル=ラストティラノスのインビンシブル・エクスティラノスであった。
『ハーッハッハッハッハッハ!!!』
第五惑星ドルドリークを改造した要塞を、光が飲み込んでいく。
無敵の名を冠した機体は――――
『伊達ではないぞ、伊達ではないのだ!』
向かってくる戦闘機隊を、ナルはオーバー・エクリプスレイで薙ぎ払う。
接触しただけで、火のついたティッシュのように急速に燃え上がり爆発する戦闘機。
人型の機体は多少動きがよかったが、しかし未熟。
最後の一撃で要塞を吹き飛ばしたナルは、満足げにワープアウトする。
残った艦隊はそれを追い、ワープ準備中の艦隊を別の攻撃が薙ぎ払う。
メッティーラのブロール・エクスティラノスである。
『ハァ。ついていけませんね』
メッティーラは要塞から向かってきていた戦力をまとめて薙ぎ払い、ナルの後を追う。
ワープアウトしたナルは既に『バニシングワールド』を使用し、第六惑星を破壊していた。
そこに殴りかかる艦隊たち。
それをキャプチャーボルトで捕まえ、まとめて消し飛ばすメッティーラ。
『あなたは後先を考えませんね』
『お前がいるではないか、メッティーラ!』
『はぁ』
その時、二機を囲むように艦隊が唐突に現れ、爆弾を投射してきた。
『無駄な事を、メッティーラ!』
『私に頼るのはやめなさい!』
メッティーラは爆弾をキャプチャーボルトで捕らえ、艦隊に投げ返して爆散するのを見守った。
『こんな単純な戦術しか使えないのですか?』
『お前も大概、単純ではないか、ええ?』
『貴方もですよ』
艦隊を再び全滅させたナルとメッティーラは、最後の目的地に向かう。
オリジンスターが存在する第三惑星イルエジータへと。
『恒星は良いのですか?』
『余ではできぬ。アドラスが適任であろう』
『成程』
二機がワープアウトすると、そこは既に残骸の山であった。
『やっと、終わるのだな』
『終わる? 違います、また始まるだけの事』
『であるな、余たちはまだ終われぬ』
――――折角、再び主人を手にしたのだ。
その思いは、全てのエクスティラノスが同じくして持つモノ。
インビンシブル・エクスティラノスの前面マウントが展開し、超兵器の発射コリドーが生成される。
そして、人間であればたった一度視認しただけで太陽を見たように感じるような輝度の光が、暗い宇宙に生まれる。
光が惑星の中央に生まれ、外殻を押し出し、そして噛み砕くように細かくしていく。
この時点で、惑星表面は全滅である。
惑星の質量が急速に減少したことで、Noa-Tunの残骸が軌道を離れて回遊し始める。
『終わりぞ』
光が消え、そこには何も残らなかった。
Noa-Tun連邦の始まりにして本拠地、ユグドラシル星系は全滅し、連邦は中核を失った。
烏合の衆と化した彼らは最早脅威ではなく、戦いはVe’zの完全勝利となって幕を閉じたのだった。
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