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【完結】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~  作者: 黴男
終章(3/3)-『決着』編

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279-最後の忠誠

傭兵艦隊は広範囲に展開し、唐突に動きを止めたルナティラノス艦隊の間を航行していた。

敵の罠かもしれないと思いつつも、この機を逃せばまた敵が復活してしまうかもしれないという懸念があったのだ。

だが、アロウトが崩壊を始めたことで、敵の制御システムを破壊したのだと全員が判断、アドアステラを回収するために前進を始めたところであった。

しかし、唐突に――――全艦のブリッジに警報が鳴る。


『何だ!?』

『敵の本拠地より、二隻の主力艦級が出現!』

『相手にするな、どうせ大したことはできない筈だ!』


誰もが、敵の力を知って居ながら。

逃げるという選択肢を取れなかったのは、単に慢心というほかない。

グランドマスター・デウスエクスティラノスが武装を展開する。

ケルビスの視界に映る艦隊が、マルチロックオンされ表示される。


『死にたまえ』


グランドマスター・デウスエクスティラノスから放たれた特殊弾頭『アレブハブスタ』60発が、艦隊の中央部へと即座に到達、熱量抑制フィールドを半径100km以内に展開したうえで、超新星爆発と同等の熱量を引き起こし範囲内の艦を蒸発させていく。


『散開! 散開!』


傭兵たちの判断も早く、残った120隻ほどが散らばっていく。

通常であればちまちまと潰していくのが定石ではあるが――――


『ジェネラス、君は背後の艦隊を』

『承知』


一人で充分だと言い放ったケルビスは、ジェネラスが王国艦隊を潰しに行くのをただ見ていた。

残存した王国艦隊が、決戦に乗じてアロウトに集まって来ていた。

流石に総戦力の三分の一だけあり、ゴキブリのように湧いて出ているのだ。


『砲撃を集中させろ! 敵のシールドにも限界はあるはずだ!』

『笑止!』


直後、グランドマスター・デウスエクスティラノスは加速する。

武装を展開していないグランドマスターの加速は、エリアランツェに匹敵する。

一瞬で艦隊の元居た位置に到達したグランドマスターは、簡易型アルカンシエルであるアルカンシェレイを全方位に放って大型艦を排除、特殊ミサイル『フォーイオネー』を乱射してはまた位置を変える。

フォーイオネーは発射と同時に遮蔽され、位置が完全に分からなくなる。

そして、すぐに傭兵艦隊のあちこちで爆発が巻き起こる。

フォーイオネーは遮蔽機能のほかに、ワープする機能もあるのだ。

いくら離れたところで、一度グランドマスターにターゲットされてしまえば逃げる手段など存在しない。


『舐めるなよ、俺にはカルさんから貰った武器があるんだ!!』


生き残っていた戦艦の一つが、超高威力の単装砲を放つ。

それを鼻で嗤い、ケルビスは特殊爆雷『ラピオンデス』を周囲にばら撒きつつ回避に出る。

薙ぎ払うように放たれた単装砲だったが、ラピオンデスが爆発すると同時に消滅した。

周囲の熱量を完全に失わせる、それがラピオンデスの持つ効果なのだ。


『逃げ惑え、盗人どもめ。私の主人の庭を穢した恥を知り、地獄へ行け!』


ケルビスが静止した状態で、フルバーストを放つ。

全武装が一斉に展開され、全く干渉し合うことなく発射される。

視界を埋め尽くす程の数の爆発が巻き起こり、そのたび数十人の命が失われていく。

まだ小型艦は残存していたが、些末なことである。


『エリアス様、私めに加護を!』


グランドマスター・デウスエクスティラノスの左右舷から一斉に射出されたビットが、スラスターによってバラバラの方向へと飛び、周囲に旋回して展開。

射撃し、細かな対象を撃ち抜いていく。


『この、化け物がッ!!!』


その時。

宙域に主力艦らしき影がワープアウトしてくる。

今回、カルがもっともアテにしていた、自由の冒険者、ラグラード伯爵の乗艦ディオネブリであった。

だが、主力艦が一隻で何が出来るというのか。


『全武装を解禁する、アレを倒せ!』


ディオネブリが全砲門を放つが、ケルビスは持ち前の速度とラピオンデスによりそれを防御、残った僅かな射撃をターボ・シールドで軽くいなす。

初撃は譲った、ケルビスのターンはこれからである。


『滅びたまえ』


ケルビスはそう言った。

そのようになった。

複数のアレブハブスタによる爆発が、巨大なディオネブリの艦体を容易に飲み込み――――消し飛ばしたのであった。




『拙者も、出来ることはせねばな』


王国艦隊の残数は300程。

余裕であった。

アポカリプス・エクスティラノスに搭乗するジェネラスは、不敵に笑う。

直後、アポカリプスの装甲がパージされる。

否。

装甲ではなく――――その巨大な艦体は、幾つもの同じ形の中型艦が張り付いて形成されていたのだ。

その正体は、ウォリアーズ。

ジェネラスの演算領域で稼働するノクティラノスであり、こうした事態を想定して設計された代物である。

それらが一斉に射撃を放ち、盾のように射撃からアポカリプス・エクスティラノスを守る。


『退け!』


ジェネラスが叫ぶと、ウォリアーズは引き下がる。

アポカリプスの上部に設置された超兵器『ワールドディバィダー』にエネルギーが収束し、P.O.D.と同じ仕組みで熱線を放つ。

まるで長尺の剣のように伸びたそれを、ジェネラスは薙ぎ払うように動かした。

艦隊が紙のように燃え上がり、そして再び爆発の嵐が吹き荒れる。

衝撃波が到達するよりも前に、アポカリプスとウォリアーズが一斉射撃を放ち、残った艦を食い散らかす。

爆発の衝撃で艦列が崩れ、横倒しになった艦の被弾面積が増え、装甲の薄い側面に直撃したことで、まるでブロックのおもちゃで出来ているかのように崩壊していく。


『任務完了』


ジェネラスがそう言い切ったと同時に、最初の爆発の衝撃波が到達する。

こうして、アロウトに存在していた艦隊は、ただの一度の交戦によって排除されることとなった。


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