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【完結】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~  作者: 黴男
終章(3/3)-『決着』編

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272-神の如き力

庭園に降り立ったエリアスは、そこで飛び込んできたシンとの鍔迫り合いに持ち込まれた。

カルは加勢せず、壁に隠れていた。

キネス残量が少ない以上は、妹の回復に専念するための特攻であると分かる。

エリアスは一切動かず、触手のみでシンを相手取る。

シンはパワーアーマーで武装しているが、持久力がカルに比べてはるかに劣る事を、今までの戦いでエリアスが察していた。

いずれ疲弊し、カルが飛び込んでくる。

そう察していたからこその、攻勢であった。

だが。

そんな事は、シンも承知している。

相手の賢さを侮るほど、彼も傲慢ではないからだ。

ビットも失い、キネスの力も切れかけている。

そんな状態でも、彼には切り札がある。


「なぁ、兄さん」

『どうした?』


そして、唐突に。

距離を取ったシンが、エリアスに尋ねた。


「........もしお前が生きてたら、俺たち幸せでいられたか?」

『愚問だ、全ては結果の果てにある。”もしも”を問うのは愚者だけだ....僕が思うに、お前は愚者ではないように見えるがな』

「そうか、ありがとう」


シンはそう言うと、地面に何かを投げつけた。

それは動作を認識して起爆、エリアスとシン自身を巻き込んでその効果を明らかにした。


『これは......!?』

「逃がさない」


位相置換で逃げようとしたエリアスを、シンが消滅のキネスで捕まえる。

A.O.I.(インドラの矢)と呼ばれたその弾頭の爆発が、庭園の中央部を飲み込んだ。

光の中で、エリアスは硬直していた。

空間全体を埋め尽くすような爆風を前にして、どうすればよいか判断に迷っていたのだ。


『――――キネスニュートラライザーを使うのだ!』

『あ、ああ!』


存在を忘れていたソレ。

調和のキネスを兵器に転用し、周囲の熱量をプラス、マイナスに関わらず0へと戻す驚異の業。

放たれたそれは、爆風を「なかった事」にし、膝を突くシンと、立ち続けるエリアスがそこに在った。


『随分と派手な抵抗だ』

「...........そうか」


触手が猛然とシンへと襲い掛かる。

その寸前、雷光が駆け抜けた。

我慢できなくなったカルが、介入したのだ。


「お兄ちゃんは、私が守る!」

「流歌! 片腕だけで勝てる相手ではない! キネスの回復を.....」

「要らない!」


直後。

雷や炎が吹き荒れる。

巻き起こるはずのない風が、カルの全身を翻らせる。

仮面にヒビが入り、割れて床に落ちる。

エリアスは、仮面の下の顔に直面することとなった。

整った顔だ。

まるで、神がパーツを一つずつ選び取ったかのように。

そして、その黒い瞳は、視えない炎を宿していた。


「お兄ちゃんは私を見捨てないって! 絶対見捨てないって、言ったんだから! 私だけ、何もしないなんて――――馬鹿げてる!」

『―――ッ!』


そして、エリアスが我に返ったその瞬間。

数メートル吹っ飛ぶことになった。

続けて触手を放とうとするが、次の一秒が過ぎる頃には時間が止まっていた。

宇宙全体の停止。

力を解き放っただけで、カルはそれだけのことをして見せた。

時間が動き出したとき、カルは急速に疲弊し、触手はすべて失われていた。


『かはっ.....!』


エリアスは膝を突く。

触手の修復が間に合わず、肉体の損傷も激しい。

最早傷を治すのではなく、塞ぐので精一杯であった。


『何だ.....その力は......?』


既存のキネスではありえない。

そもそも、キネスとは人工の神の一部であり、現象を起こす回路が引き起こす異能でしかないのだ。

このようにして万能を齎すのは、キネスの性質に反していた。

そう――――まるで、”神がそこにいるような”。


「お兄ちゃんを守る、キネスだよ」

『違う、それはキネスではない....!』

「うるさい!」


直後、音が消えた。

エリアスは困惑する。

これでは神そのものではないか。

神が操り糸を切った。

初めて、エリアスは一歩退いた。

それは無意識からであった。

恐れ。

恐怖だ。

少なくともキネスには、理論があった。

だが、目の前の化け物に、理論の裏打ちはない。


「お兄ちゃんを、守る......私は、そのためにッ!!」

『く!』


稲妻の槍が突き抜けた。

エリアスはそれを、調和のキネスで無力化しようとして失敗する。

その体を稲妻が突き抜け、吹き飛ばした――――――――


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