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【完結】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~  作者: 黴男
終章(3/3)-『決着』編

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268/295

268-強敵

「ビット!」


カルがエリアスに組みついた直後、既に展開されていた七機のビットに加え、シンが追加で七機のビットを展開する。

それで全てのようで、ケテルのビットと同じく手動操作のそれを、シンは糸を手繰るように操りカルを支援する。


『くっ....』


カルの使う光の剣は、状態で性質が変化するようであった。

光が曖昧になれば、それは大振りの刃に。

光が収束すれば、剣の腹の如く硬く。

光が強くなれば、通常のレーザーソードのように物体を切断する。

カルはそれを二本持っており、キネスと織り交ぜてそれを巧みに扱う。

数少ない逃げ場を、ビットが射撃で妨害する。


『だが!』

「あっ!!」


縦横無尽に駆け回る触手が、カルの手から光の剣を叩き落とす。

そして、カルとエリアスの間の射線が開く。

カルが懐から一挺の銃を取り出すのと同時に、エリアスの目が輝く。

レーザーがカルを撃ち抜く前に、消滅のキネスでワープしたシンが割り込んだ。


「そんなガラクタで、敵う訳がないだろう!」

「う、うん....お兄ちゃん」


シンの右腕から、消滅光をシールドに転用した盾が展開され、エリアスのレーザーを消滅させて防ぐ。

そして、両手にレーザーブレードを構えたシンは、一気にエリアスに肉薄する。


『単身で突っ込むか』

「いいや? 計算づくだよ」


ビットが一斉に集合し、シンを襲う触手を展開したシールドで防ぐ。

カルのシールドジェネレーターから複製したものであり、強度もそれなりである。

ならばとエリアスが徒手空拳で応じようとした瞬間、シンが急速に離脱。

その背に隠れて見えなかったカルが、再び鍔迫り合いに持ち込む。


『なるほど.....』


仲が悪いように見えたが、侮っていた。

そうエリアスは判断する。

前世で血だけ繋がっていた自分とシンとは違う。

血だけではない繋がり。

絆を感じたのだ。


「はぁあああああああッ!!!」

『なにッ!?』


完璧に捌き切った。

そうエリアスが思った時、バックパックのスラスターで加速したカルが一歩踏み込んできた。

即座に回避に移るものの、右腕を斬り飛ばされてしまう。


「(やった!)」

「流歌! 前を見ろ!」

「えっ!?」


だが、カルもまた人間である。

最大の攻撃が決まった時に、油断を挟む。

エリアスが放った蹴りを、兄の叫びで気付いたカルは、その蹴りを片手で受け流す。

勢い余ることなく、エリアスは運動エネルギーを使い果たし、跳躍、回転して退く。

そして。

視界に外れるように移動していたシンが、エリアスの背後を狙って攻撃を放つ。


『奇襲とは、強い者だけが正当化できる行為だ――――弱者が強者と戦う時には便利なものだが』

「ちっ!」


だが、レーザーブレードは、力場を纏った触手によって弾き飛ばされ、シンは武器を一つ失う。

丁寧に、触手がレーザーブレードを破壊したからだ。

腰からスペアのレーザーブレードを抜き放ち、シンは一度後退する。

そして――――まるで狙ったかのように、ある一点で静止、再度加速して接近を試みる。

エリアスがそれに気づいたときには、既に反対側からカルが接近してきていた。

正反対の方向からの挟撃。

何でもないかのように、エリアスは触手で受け止めた。

激しい攻防の末――――負けたのは触手だった。


『何だと!?』


力場ごと、カルが触手を切り裂いたのだ。

ただ、シンの方は出力不足で力場を破れず、カルの攻撃が成功すると同時に納刀して退く。


『(守勢に徹するのは困難か)』

『だが、お前の実力では攻勢に出るのは難しい....そうだろう?』


エリアスの心の内で、もう一人のエリアスが呟く。

アラタの動きは、エリアスから見れば非効率の塊だ。

であるから――――交代しよう。

暗にそう提案しているのだ。

空間転移で玉座の入り口に転移したエリアスは、目を閉じる。

そして、再び開く。

瞳は真紅に輝き、その一瞬の煌めきに反応した二人が振り向いた。


『私のターンだな』


急接近してくる二人に対して、エリアスはそう呟いた。


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