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【完結】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~  作者: 黴男
終章(3/3)-『決着』編

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263-忠義の戦士たち

防衛ラインを突破したカル達は、その勢いのまま居住区へと踏み込んだ。

当然、居住区といえども広大である。

「庭園」があるエリアの前に、かつてのVe‘z人が利用していた都市の跡地がある。

そこで、全力の戦闘が繰り広げられていた。


『四十二機撃墜、リロードに入ります』

『ここは、私に!』


人型機体...リーンカーネーションによるシールド貫通弾の飽和射撃に加え、オクティアンによる制御システムの範囲無効化。


『ボクがいる限り、カル様には指一本触れさせない!』

『俺もだ、気が合うな!』


ビルの間を駆け巡り、触手でアトマイザーを破壊して回る特殊兵器テンタックラーと、アドアステラから遅れて合流した全身鎧の男が、共に戦っていた。

男が右腕を構えれば、集束された主力艦並みのエネルギー波が居住区を薙ぎ払う。


『旦那様は体力を温存されてください、ここは私どもが抑えます』

『ハディーマ、あんたが戦うのを見るのは初めてだね』

『本来執事とはそういうもの...ですよ』


先程までオクティアンの後部座席に相乗りしていた大柄の男が、粒子砲を構えて唸る。

そして、兎獣人と共に、包囲を突破してくる敵を相手取る。

大型の粒子砲をまるでメイスのように振り回し、デシメーターを威圧、粒子砲により吹き飛ばす。


『ふぅん...やるじゃん。じゃあ、私も...本気出そうかな』


徐々に改良型の生産が始まり、アップグレードされて行くデシメーター達。

それと相対し、兎獣人の片目にCの紋章が浮かぶ。

直後、ハディーマが相手していたデシメーターや、それより前で体を張っていた狼獣人の相手だったアトマイザーが、唐突に爆散する。

兎獣人が使った超高速化のキネスにより、シールドを突破されたのだ。

加速は過ぎれば時間停止と同じである。

所詮現象に過ぎないシールドなど、それが発生する原理を超えた速度で実行されれば意味を為さない。


『...こんな序盤で使って宜しいのですか?』

『序盤? 終盤だよ、敵の本拠地に入って、使わないで死ぬなんて...バカのする事でしょ?』


兎獣人は全く疲弊した様子を見せない。

当然だ、加速は現象回路による現象だが、彼女自身は少し速く動き、敵を軽く叩いた程度の労力しか使用していない。

彼女はガントレットで武装しているため、速度による殴打の負傷も無かった。


『ハァ...』


溜息を吐くのは、狼頭の獣人だった。

超高密度の材質で形成されたバトンで戦闘を行う彼は、シールドを無理やり突破してアトマイザーやデシメーターを吹っ飛ばしていた。


『...分かれ道か』


そして、順当に進軍した彼女達は。

このまま居住区を突っ切り、玉座の間へと向かうか。

居住区を迂回し、中央部へと向かうかの二択を迫られた。


『どうする? カル』

『...時間はない、シトリン、ノルス、エンテとケインは中央部を潰して。ラビ、ファイス、ハディーマは私とお兄ちゃんについて来て』


『リーンカーネーション』に搭乗するアンドロイドのシトリン、『オクティアン』に搭乗するクローリア星人のノルス、『テンタックラー』に乗るエンテ。

そして全身鎧の男であるケインが中央部へ。

狼頭の男...ファイスと兎獣人のラビ、カルとシン、ハディーマが居住区の奥深くへと踏み込むという手筈になった。


『...皆、生きて帰って』

『...』


中央部への突入組は、これが決死であることを理解していた。

だからこそ、沈黙で返した。

カルはそれを受け止め、兄の方を見た。

兄は何も言わず、ただ頷く。

そして二組に分かれた王国組は、それぞれの向かう方へと突き進み始めた。

敵は中央部への経路に集中しており、居住区には特大の戦力が配置されている。


『ここ...庭園?』

『適切に維持管理がされている、奴等にこんなものを維持するだけの価値があるということか?』


そして、居住区の奥深く...『庭園』へと一行は足を踏み入れた。

アロウトに住む数少ない人間のために設られたその一角は、千メートルをゆうに超える天井に空が投影され、風が吹き、柔らかな土の上で草木や花々が風に揺れる楽園であった。


『その通りです』


その時。

全員の脳裏に、直接声が響く。

精神感応を使い、話しかけたのは...メッティーラであった。

エクスティラノスに防衛を任せ、一人戻って来たのだ。


『ここは、我等にとっての宝物殿』

『これがか? 惑星を一つ庭園にすればいいようなお前達が、ここを黄金より価値のあるものだと言うのか?』


シンが驚いた様子で尋ねた。

だが、その答えが返ってくる前に、カルが唐突に、一番前に立っていたラビの前にシールドを張った。

直後、シールドが雷鳴のような破裂音と共に砕け散り、同時にカルの腕に付いていたバックラーが損壊する。


『!』


直後、シン以外の全員が何が起こったかを理解する。

音速で飛んできた触手が、ラビの命を奪うべく襲いかかり、シールドに衝突した事でシールドを破壊して引き戻されたのだ。


『お兄ちゃん!』

『分かっている』


シンは動体視力フィルターを起動する。

強化された彼の体は、薬物投与で瞬間的に人の枠を飛び越える事ができるからだ。


『(答えは不要)』


メッティーラは、自分に向かってくる愚者達を冷ややかな目で睥睨する。

そこに、苦戦するなどという考えは無かった。

直後、超加速したラビがメッティーラに迫る。

メッティーラはそれを見て、僅かに身を逸らして攻撃を回避。

背後に回り込んだファイスの蹴りを跳躍して躱し、両者に反撃を放とうとする。


『なっ...』


反撃の触手は、既に残されていなかった。

光が放たれたように見えたメッティーラは、その軌跡が向かう先を見た。

そこには、両手に光の剣を持ったカルが立っていた。


『人間の動作範囲を大きく超えている...何者だ』

『お前が知る必要は...無い』

『!』


直後、メッティーラの右腕が切断される。

剣によるものではない。

メッティーラがその現象を観測しようとする前に、その義体は完全に消失した。

シンによって消されたのだ。


『お兄ちゃん、もういいの?』

『ああ、それより...来るぞ』


出口が閉まり、空間そのものが遮断される。

それと同時に、四方八方からアトマイザーとデシメーターが現れ、一行に襲いかかるのだった。


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