252-御前試合
『フハハハハハハ!!!』
圧倒的な力の前に、連邦艦隊が次々と消し飛んでいく。
それを為しているのは、アルバレスト・ルナティラノスの中央部に布陣する黄金の艦。
ナル=ラストティラノスの乗艦であるインビンシブル・エクスティラノスである。
オーバー・エクリプスレイという強化型のエクリプスレイを多数搭載しており、それにより連邦艦隊をたった一隻で相手取っていた。
アルバレスト・ルナティラノスがいるというのに、キルスコアはナルの方が多いという始末である。
『前衛艦隊、巡洋艦壁消失!』
『もう少し時間を稼いでください、敵の前衛を突破します!』
『了解! 御武運を!』
この艦隊は少し違い、高速フリゲートがルナティラノスに対して攻撃を仕掛けていた。
無論、どんな性質の攻撃であろうとも、ターボ・シールドの前には無意味である。
しかしながら、まさしく神話の時代の英雄のように。
馬を駆け、戦場を征った戦士のように。
吶喊するのは、ガマリエル――――それに搭乗する第十指揮官ツェーンである。
レーザーをバレルロールを繰り返して回避し、搭載したパワーコアシンフォナイザーを転用する形で、周囲のビットを迎撃していた。
『フ、フハハハ、フハハハハハ! ハーッハッハッハ!! 素晴らしい、それこそ戦士の誉れというもの! 余を立てるか、連邦の指揮官よ!』
アルバレスト・ルナティラノスは強力だが、如何せん速度が遅い。
高速で迫り来るガマリエルには対処できていなかった。
それ故に、ナルはわざと艦列を開け、突っ込んでくるガマリエルを迎え撃つ。
『刺し違えてでも!』
『よいぞ、挑め!』
パワーコアシンフォナイザーによって、一挙に加速したガマリエルは、シールドを一点に集中。
金色の光を纏い、オーバー・エクリプスレイの一斉射撃を弾き飛ばす。
そのまま、インビンシブル・エクスティラノスに体当たりを仕掛ける。
『くっ!!』
『手出し無用! あちらを相手せよ!』
アルバレスト艦隊は、その命令を聞くや否や、一斉に本体の艦隊に対して一斉攻撃を仕掛けた。
『戦艦の壁が......ここを突破されると.....仕方ありませんね、離脱!』
もたないと判断したもう一人の指揮官、ツヴォルフ(第十二指揮官)は、乗機コクマーの試製次元共鳴連鎖動体操作装置を作動。
ワープまでの時間を一瞬で終わらせ、艦隊をシールドトランスファーアレイの向こう側へワープさせた。
そこで一度艦隊を再編しようという魂胆である。
『姑息! しかし、勇者はやり方がよく分かっているようであるな』
ターボ・シールドをジリジリと突破して来ているガマリエルを、ナルは見て嗤う。
ガマリエルに何故かヘイトが向いていないことを察したうえで、艦隊をもたせるべく即逃げを取ったのだ。
『逃げは恥、然り! しかし、逃げ傷なければ生き恥にはならぬ! その意気や良し! 殲滅、あるのみ!』
黄金の船体が変形し、シールドトランスファーアレイの後方にいる艦隊を捉える。
超兵器を使用しようとしているのだ。
『刮目せよ! 余の究極にして、最強の力を!』
エネルギーが一点に収束し、そして遷移する。
逃げた艦隊の中央部に光点が出現。
そして、美麗なフィボナッチ螺旋を描いた直後、凄まじい熱量を解放。
光の球体として膨れ上がり、艦隊を丸ごと飲み込んだ。
『――――震撼する世界!』
たった一撃。
大仰な爆風もなく、ただ、最初からその場所には何もなかったかのように。
艦隊は消失した。
『.....なっ!?』
『しかし――――余は神である。神を前にして、背を、尻を向け逃げることは許されぬ、恨め、余に挑んだことをな』
黄金の船体を輝かせ、ナルは嗤う。
そして、触手で突っ込んできていたガマリエルを捕らえる。
『去ね』
そして、強引に引きはがし、砲撃を浴びせかけた。
『ま.....まだだ、まだ終わらん!』
かくなる上は。
そんな覚悟さえ滲ませ、ガマリエルは再度加速をかけて砲撃を回避。
そのまま大きく旋回した直後に加速をかける。
シールドトランスファーアレイに特攻を仕掛けようというのだ。
『誉れを捨てたか、ならば――――死を与えようぞ』
再び、光点がガマリエルの進路に生まれる。
加速中のガマリエルには回避できない。
『余のもとに、全ての死は平等なり――――バニシング・ワールド』
『......Noa-Tun連邦、万歳ッ!』
光に呑まれたガマリエルは、完全に消滅する。
だが、すぐにナルは気付く。
『し....しまった! この範囲演算では!』
光球はシールドトランスファーアレイを巻き込む。
そのせいで、シールドトランスファーアレイは少し破損する。
『.....ええい、ままよ! 完全に壊してしまえば証拠隠滅となろうものぞ!』
ナルは馬鹿であった。
証拠隠滅、それ故に、少し壊れただけのシールドトランスファーアレイを、再度破壊してしまった。
そのせいで、遅れて到着したケイトリンに叱咤されるのだが.......それはまた別の話であった。
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