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【完結】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~  作者: 黴男
終章(2/3)-『真実』編

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248-道化師の幻惑劇

『くっ、厄介ですね!』


そう叫んだのは、Noa-Tun連邦第九指揮官であるノルンであった。

なぜ彼女がそう叫ぶかといえば。


『鬼さん』

『こちら』

『味方か』

『敵か?』

『演目が終わるまで』

『苦しむといい』


現在、ノルンたちは未知の敵と交戦しているからである。

本隊から分離して、未知の宙域に向かった艦隊を追撃した彼女たちではあったが、そこで見たものはあり得ないものだった。

そこには、彼らの拠点であるNoa-Tun要塞があったのだ。

要塞に攻撃すると、それは王国艦隊であった。

なぜ攻撃するのかという通信が飛び、ノルン達は大いに困惑する。

だが、直後王国艦隊から攻撃が放たれ、ノルン・エルフ艦隊に火の手が上がる。

それを確認した第十一指揮官エルフは、冷徹に攻撃指令を出した。

例え友軍であっても撃滅し、戦後に是非を問えばいいという考えからであった。

だが、王国艦隊はノルン達の攻撃を無効化し、攻撃を放って来た。

そして、今に至るというわけであった。


『エルフ、敵の正体は恐らく幻影です! センサーまで欺瞞出来るとは思いませんでしたが...!』

『わかっています、さようなら』


直後。

エルフの乗艦である旗艦カマエルが、ノルンの乗る機体、ネツァクに対して砲撃して来た。


『また幻影ですか』


ノルンは砲撃を回避して、ネツァクをカマエルへと接近させる。

砲塔の上に構え、両腕のレールガンを使った近接砲撃で砲塔を破壊した。


『何故、ノルン様!?』


一方のエルフは、突然のノルンの襲撃に戸惑っていた。

しかし滅茶苦茶に撃ったりはせず、王国艦隊に応戦する。


『本当にいいのかな?』

『それは敵かな?』


声が響く。

エルフはそれに顔を顰めた。


『うるさい!』

『失望したぞ、エルフ』


その時。

彼女の耳に、シン司令官の声が届く。


『味方を撃つなど、なんてことをしてくれたんだ』

『も、申し訳ありません!』

『エルフッ! どうしたのです!』

『こちら王国艦隊指揮官ドールマン、損傷は軽微。そちらに合流する』


最早、誰が敵か味方か。

自分たちの立ち位置すらわからない状態に、二人の指揮官は追い込まれた。

エルフは、本物かどうかもわからないシンからの叱責を受け。

ノルンは、同じく真贋のわからない通信を傍受し。

軍規に忠実な彼女たちは、どうすれば良いかわからない状態である。

本来こういう場合、アテにすべきなのは機械の方である。

だが、それらすら正しい数値を表示していないと、二人は理解していた。


『こうなったら...離脱する』

『離脱します!』


艦隊を一度放棄して、ワープアウトする。

そうすることで、影響を振り切ろうとした。

だが、ワープドライブが起動しない。


『何故...?』

『どうして!?』


答えは単純である。

ポラノルの本体が、ワープ妨害を掛けているからだ。

しかし、本体とは?

二人にはそれがわからない。

幻影を使える以上、王国艦隊に紛れているのかも知れないし、どこかに隠れているかも知れないからだ。


『ならば...全て破壊する!』

『犠牲を許容します、すみません、ノルン様』


そして、二人は味方を攻撃し始めた。

最も怪しい、互い同士で。

当然、勝負はすぐに着いた。

小型の機体で回り込んだノルンのネツァクが、エルフの乗るカマエルの船体を撃ち抜き、引き裂いたからだ。


『Noa-Tun連邦、万歳...』


カマエルは爆散し、ネツァクは全身のスラスターで加速しながら、味方を一隻ずつ破壊していく。

だが、そのうち気付く。

堕とした筈の味方が復活している。

それに、自分のネツァクには残弾があった筈だと。

とても、全軍を撃ち落とせるほどの数はない。

それに彼女が気づいた瞬間、味方が全て残骸へと変わった。


『な...』


二人の指揮官が術中に嵌った時点で、連邦軍はポラノルの連れていたアルバレスト・ルナティラノスの手で破壊されていたのだ。

存在しない友軍を引き連れた彼女たちは、無駄な戦いをしていたのだ。


『く...バカにしていますね...』

『バカにしてなんかいないさ』

『もっと笑って、ほら笑って』

『ニコニコ、ニコニコ』


直後。

ネツァクのレーダーに、一隻の船が映る。

ノルンがそちらを向くと、そこにはポラノルの乗艦、クラウン・エクスティラノスが浮いていた。

以前のカプセルのような船体は変わらず、しかし無駄な装飾で飾り付けられている。

電飾がキラキラと輝き、戦場において相対する者を小馬鹿にするようなデザインであった。


『貴様が...!』

『ほら、手を叩いて』


ポラノルが言葉を発した直後。

クラウン・エクスティラノスが、二隻に増えた。

ネツァクのセンサーにも、そう映っていた。


『量産型...?』

『さらに増えるよ、今度は四つに!』


更に、クラウン・エクスティラノスからクラウン・エクスティラノスが。

増えたクラウン・エクスティラノスからもう一機のクラウン・エクスティラノスが。


『ネズミ算さ、人間はそう言うんだったよね? 算数のお時間! アン、ドゥ、トロワ!』


気付けば、ネツァクは完全にクラウン・エクスティラノスに包囲されていた。

奥にも増え、まるで道化師(クラウン)の世界。


『こんなもの...全てまやかしです!』


ネツァクはめちゃくちゃに発砲するものの、砲弾は全てのクラウン・エクスティラノスの前で曲がって飛んでいく。

それは即ち、全てが本物ということ。


『ショーはお開きさ、悲劇に喜劇、メチャクチャな夢幻劇! お楽しみ頂けたかな?』

『死ね!』


ネツァクは拡散弾に換装し、周囲のクラウン・エクスティラノスに向けて放った。


『あああ、無念! 道化師ポラノルは...ウケが悪い! だけど...おひねりは頂くよ』


直後。

四方八方から放たれた射撃が、ネツァクを貫いた。

逃げ場などなく、ネツァクはバラバラになり、コックピットも焼かれて消し飛んだ。


『よし、終わり...じゃないっ!?』


ポラノルは慌てて飛び退く。

放たれた極大の砲撃が、ポラノルの本体を正確に撃ち抜いていた。

回避には成功したが、全体の三分の二を焼かれた。

すぐに修復し、ポラノルはそちらを見た。


『なるほど...道化師でありながら、化かされたのは僕...ってことか』


ネツァクは確かにエルフの乗るカマエルを破壊した。

それを確認したポラノルは、カマエルを残骸と認識したのだ。

だが、正確にはカマエルとは、第十一指揮官専用機「サマエル」を外装で覆った旗艦である。

外装が破壊され、派手に爆発したように見せかけて、その内部でゆっくりとエネルギーを充填していた。

そして、決戦兵器である巨砲でポラノルを狙ったのである。

ポラノルは悲しげに、攻撃者であるサマエルを砲撃で撃ち落とした。


『一矢...報いました、ノルン様...』


吹き飛んだサマエルから、一人の少女が弾き出される。

パイロットスーツは半壊しており、真空に晒される前に、一瞬だけ彼女の目に「C」のような紋章が浮かび、そして息絶えた。


『ボクはまだまだ未熟かい、ラペニュルジュ』


それだけ呟くと、ポラノルは配下の艦隊を引き連れてワープアウトして行った。


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