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【完結】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~  作者: 黴男
終章(2/3)-『真実』編

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243/295

243-管理者は二手先を読む

時は少し遡る。

アドラスと隊を分けたグレゴルは、シールドトランスファーアレイの前に展開していた。


『接敵する』


そして。

ワープアウトした中規模の艦隊を前にして、戦闘が開始される。

シールドトランスファーアレイの攻略のため、小惑星級旗艦(アステロイドオーダー)が二隻投入されている。

だが、勿論Ve’z側も、それを黙って見過ごすほどではない。


『行け』


Ve’z艦隊の後方より、超大型の艦が現れる。

一隻一隻が主力艦クラスの大きさを持つVe’z艦艇の中でも、目を見張るほどの威容である。

その名は、ブリッジヘッド・ギガティラノス。

大型エクリプスレイによって、大型の小惑星級旗艦プロキオン二隻を相手取り、係留していたルナティラノスを出航させ投入する。

四隻の母艦ミランセス・ルナティラノスが発進し、艦載機フリーゲ・アポスティラノスを射出。


『艦載機隊を迎撃せよ、私は――――』


その時。

亜空間から出撃したらしい人型の機体が、六本の腕に装備したビームライフルで、グレゴルに攻撃を掛けた。

それをグレゴルは湾曲で回避し、即座に旋回して逃げに転じようとする。

だが、


『逃がしはしませんよ』


反対側から飛んできた駆逐艦が、至近距離でグレゴルに攻撃を加えた。

それらを屈折させたグレゴルは、内心ため息をつく。


『(逃げる? 私が? 誰から逃げると言うのだ?)』


他のエクスティラノスであれば激怒していたはずだが、グレゴルは違う。

彼には、宝物殿を任される具体的な事情があるのだ。

グレゴルの機体は一瞬で加速すると、二機と距離を取る。

そして、彼の機体...アドミラル・アルト・エクスティラノスに取り付けられたブースターのような巨大なビットが分離し、独立型ビット「アルクトゥルス」として稼働し始めた。

アルクトゥルスは更にサイフォス・ビットを放出し、それらがグレゴルと独立して動き始めた。


『ゆけ』


大型のビット四基が自在に動き回り、グレゴルに接近していた二機を縦横無尽に撃つ。


『何!?』

『既存のビット兵器とは別物...なるほど、面白いですね!』


サイフォスの一撃が、四方から第四指揮官フィーアの乗る駆逐艦『ブロードベッツ』を襲う。

当然、防御などできるはずもなく、ブロードベッツは撃沈される。

しかしながら...ブロードベッツの艦橋背面部から一機の艦載機が離脱し、人馬型の機動兵器へと形を変えた。


『この状況ならば、近接武器の方が有利でしょう』

『そうだね』


第六指揮官ゼクスの操る機体、ホドはライフルをその場に打ち捨て、素早く亜空間から六対のブレードを取り出した。

そして、同時に二機はグレゴルに迫る。


『舐められたものだ』


グレゴルは膨大な演算リソースをシステム領域に持つ。

無愛想に見えるのは、感情パターンを入れる領域が乏しいためだ。

普段は宝物殿の維持管理に利用しているその領域は、戦闘に特化した瞬間に牙を剥く。

『アルクトゥルス』は500機のビットをそれぞれ装備しており、それらを操作することができる。

だが、それらを一括で管理するのはグレゴルである。

戦場を一歩引いて俯瞰し、動き回るビットの射線を重ならないように調整。

その上で、威嚇のレーザー砲撃に対する湾曲率の演算と、回避運動の予測入力を同時に行える。

所詮は人間である指揮官二人に、この戦場を制する資格はなかった。


『それでも――――やりようはある!』

『ええ、この程度』


フィーアの乗機であるダァトに覆いかぶさるように、ホドが移動し、両機は合体した状態で亜空間に消える。

そして、グレゴルの背後に唐突に現れた。

両機共に、ブレードを構え、グレゴルへと特攻をかけようとしていた。


『これなら!』

『見えていないとでも、思っていたのか?』


既にビットは、そちらに向けて動いている。

同時に、アドミラルも旋回を済ませ、エクリプスレイとテンタクルインテグレーターをそこへ向けていた。

亜空間潜航技術を手にしたVe’zが、結節点の発生予測が出来ない筈がないのだ。

ホドの最も出力の高い場所を、ビットの射撃が撃ち貫いた。

それにより、ホドは推進力を失って慣性のみの移動となる。


『くっ、パワーコアが!』

『まだ動けるでしょう、私が...』

『逃すとでも、思ったか?』


ホドの代わりにダァトが動こうとするが、それより前にその全身がビットによって滅多刺しにされ、何かに引火したのか、ダァトは粉々に消し飛んだ。


『フィーア! くっ...』

『悔やむな。怒るな。憎むな。命はそこで終わるのだ』


グレゴルは冷徹に言い放ち、ホドは数十のビットによって同時にコックピットを貫かれ、冷たく冷え切った残骸と化した。

それと同時に、グレゴルは艦隊の方を見た。

並列操作で放たれていた数百機のビットが、艦隊を吹き飛ばしていた。

シールドトランスファーアレイは破壊されたものの、ここにいた戦力を完全に排除した事に嘘偽りはない。


『任務完了』


ビットを収容しながら、グレゴルは残骸と化した連邦艦隊にとどめを刺すため、艦隊を前進させた。

各500機のビットを収容したアルクトゥルスは、プログラムに従いグレゴルの艦体四隅に張り付く。

アルクトゥルスという追加の推進器を得たグレゴルは、本隊に復帰するべく速度を上げた。


『既に前線は崩壊している、この局面で退かないのは理解できんな』


目標物は破壊したのに、何故。

それを考え、グレゴルはある可能性に思い至る。


『時間稼ぎ――――』

『加勢するよ! アビサルゲート!』


グレゴルがそれに思い至った瞬間。

連邦艦隊の中央に重力場が巻き起こり、艦隊の隊列を乱す。

これを好機と見做し、アドラス側の艦隊が集中砲火を叩き込む。


『アドラス.............いや、何でもない』


グレゴルはそれを咎めようとしたが、直ぐに諦めてサイフォス・ビットによる飽和射撃に移る。

網目状になるようにレーザーを張り巡らせたビットが高速で艦隊を横切り、サイコロ状に切り取って破壊する。

威容を誇ったプロキオン級小惑星級旗艦も、既に残骸と化した今。

連邦艦隊にこれ以上の敗北は不可能であった。


『アドラス、アロウトに帰投する。準備を』

『うん!』


何か嫌な気配を感じ取ったグレゴルは、艦隊を帰投させる準備を始めた。

出撃していたフリーゲ・アポスティラノスが着艦していく中、ワープの準備を艦隊が開始し始めるのを、彼は冷たい目で睥睨していた。


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