表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~  作者: 黴男
終章(2/3)-『真実』編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

242/295

242-暴君の殺陣

『アビサルゲート、座標入力完了――――起動』


空間が歪み、アドラスに向けて飛んできていたレーザーが曲がり吸い込まれる。


『第二弾、射出』


続けて放たれた重力爆弾が艦隊の内部に浸透し、そして重力場の渦となって艦隊を飲み込んだ。

大きな艦がそのままの質量で小さい艦船を薙ぎ払い、逸れた砲撃が連邦の味方艦を撃つ。

流石にそれで沈むようなシールドではないが、しかし刻一刻と勢いを増し続ける重力場によって、シールド自体が歪み始めているのも事実であった。


『敵の指揮官を特定、攻撃、開始』


アドラスは付随するヴィジランツ・ルナティラノスとセンチネル・ルナティラノスに攻撃指示を出す。

そこにいた旗艦をレーザーの束が撃ち抜き、爆散させた。


『飛翔物、検知』


直後。

旗艦の残骸から飛び出した機体から、センサー妨害をアドラスに仕掛けてきた。

センサー精度が低下したことで、アドラスはアビサルゲートの演算を維持できなくなり、重力場から解放された艦隊が、リディーマー・アルト・エクスティラノスに対して砲撃をかけてくる。

それらをターボ・シールドによる空間湾曲で弾き飛ばしながら、飛び回る妨害機を、アドラスはエクリプスレイで迎撃する。

艦隊の合間を、ルナティラノスとリディーマーが撒いた独立型ビット「サイフォス」が飛び回り、精緻な射撃で再編成中の艦隊を一隻ずつ撃破していく。


『流石は......こちらドライ! 艦隊がすり減っている! そちらと合流できるか?』

『不可能だ、敵の射線が読めません、合流中に横っ腹をやられます!』


精密な射撃を器用に回避するのは、第三指揮官ドライが乗る指揮官機オギエルである。

武装は少ないが、強力なセンサー妨害機構を搭載している。


『このままだと壊滅する......頼んだ、フィーア、ゼクス....』


アドラスの猛攻を前にして、艦隊は半ば壊滅状態にあった。

エクリプスレイはシールドを貫通し、装甲に浸透、そのまま内部まで誘爆する。

連邦が今まで誇ってきたシールドも、装甲も全て無意味だった。

ルナティラノスにも、湾曲させられる限界はあり、砲撃で損傷する艦艇もある。

だが、コア部分に搭載されたリバースストラクチャ装置により、破壊されたとしても瞬時に再生する。

何度も使える機構ではないが、Noa-Tun連邦が多用する「一つの対象に対しての集中砲火」という戦術に対して有効であった。


『だが、オレも...ただ死ぬわけにはいかないな!』


直後、一気に速度を上げたオギエルは、リディーマーの周囲を旋回。

艦橋部を発見するや否や、機体ごと突撃をかけてきたのである。


『...! 無茶をする!』


空間湾曲では、質量物は止められない。

逸らすことはできるが、自らそれに抵抗する質量は特に苦手である。

よって、アドラスは...


『撃ち落とせ』


ルナティラノスが、アドラスの艦橋部ギリギリを撃った。

オギエルは横っ腹から殴られる形で爆散し、アドラスが安堵したその瞬間。


『残念ながら、竜人とはただ機械に乗るだけの存在に在らず! 行くぞッ!』


オギエルの残骸から飛び出したドライは、そのまま艦橋部に張り付き、両腕で装甲板を剥がそうとする。

凄まじい膂力だが、無駄である。

Ve‘zの装甲板は、流体の状態で艦船に覆わせるような形で張られる。

剥がすことなど不可能であった。

表面に走った接合部のような幾何学模様は、設計者の趣味でしかなく、ドライの亜人種としての膂力など全く無意味であった。


『この程度なの?』


アドラスは呆れたように呟く。

単騎で突入するなど、指揮官の器ではない。

彼女が失望を露わにしたその時。


『見えてるよ』


艦隊の中央部から放たれた極太の光束が、アドラスへ向けて飛ぶ。

アドラスはリディーマーの湾曲範囲を拡大して、それを手前で屈折させて回避する。

動線を持つ兵器であれば、ターボ・シールドで曲げられるのだ。


『だから、この程度なのって言ってるのに』


だが、それを呟いた後、アドラスは唐突に気付きを得た。


『ああ、私は...誰かの壊しちゃいけないものを壊してるんだ』


ドライがこれだけ体を張る理由。

それは、自分が今から壊そうとしているものが、自分の壊したペンダントなのだと、アドラスは気づいた。

その上で、カプセルの中にまで持ち込んでいたペンダントを握りしめる。


『ごめんね』


無慈悲な言葉と共に、アビサルゲートが発動。

瓦解した艦隊に、肉薄したセンチネルによるエクリプスレイの掃射が襲いかかった。

そして。

今度こそ、連邦軍第三艦隊はアドラス率いる艦隊によって撃滅させられたのであった。


『さて...と』


アドラスは艦隊の反対方向、シールドトランスファーアレイ周辺に目を向けた。


『あっちも終わりそうか』


連邦軍の第四指揮官フィーアと、第六指揮官ゼクスを相手取っていたグレゴル艦隊もまた、勝利に近づいていた。

それを確認したアドラスは、増援が必要かとグレゴルに打診する。


『不要だ』

『つまんない』

『ならば、合流だけすればいい、増援などという言葉は、苦戦している兵士が息を切らして求めるものだ』

『りょーかい』


アドラスの艦隊は宙域を離れ、グレゴルの艦隊に合流するためにワープアウトした。

面白いと感じたら、感想を書いていってください!

出来れば、ブクマや高評価などもお願いします。

レビューなどは、書きたいと思ったら書いてくださるととても嬉しいです。

どのような感想・レビューでもお待ちしております!


↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ