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【完結】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~  作者: 黴男
終章(2/3)-『真実』編

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238/295

238-今はただ・・・

僕はその後、順番に皆を抱きしめた。

ニトは背丈が足りず、僕は背を低くして彼女を抱く。


「あ...」

「どうした?」

「...昔、母に抱いてもらったことを思い出した。とても昔のことだ」

「そうか」

「柔らかいな、そして温かい。小生は...この温もりを、長く知ることはなかった」

「これからだ」


僕はニトの耳元で、宣言する。


「これからは、ずっとお前に温もりを与えてやる。お前の妹達にもだ」

「ああ」


僕はニトから手を離した。

ニトは赤面し、目を潤わせていた。

僕はニトに背を向け、次はアディナへ向かう。


「私は大丈夫、キシナ様を抱きしめてあげて欲しいです」

「分かった」


アディナは顔を真っ赤にして断ったため、僕はキシナを抱きしめてやる。

あの憎たらしい男、ジェキドが僕に託した少女は、僕が抱きしめると、手を回してきた。

自我はまだ希薄だが、反応はするらしい。

すぐに離れると、キシナは僕に視線を向けた。

その視線の意味はわからなかった。


「なんだか恥ずかしいな、改めてこういうことをするのは...」

「生娘のような反応だな」

「生娘だからっ! 変態っ!」


騒ぐティニアを、僕は優しく両腕で抱擁する。

身長はほとんど変わりないため、肩に息がかかる。

それに...何だか、果物のような香りもする。


「...エリアスって、何だか...」

「なんだ?」

「セメントみたいな匂いがする...!」

「褒めてるのか...?」


困惑しつつ、僕はティニアを離す。

すると、今度はティニアの方から抱きついてきた。


「全部終わったら、クロペルに来て。エリスと...ね!」

「勿論だ」


ティニアは僕を離すと、強引にディオナの方へ向かせた。

だがディオナは、手をヒラヒラと振ると、


「アタシは抱擁なんざしないさ、戦場に出る家族を送り出すのは、昔からこれって決まってんのさ」


僕に素早く近づくと、僕の頬に口付けした。


「さ、行って来な。アタシを殴んのも、罵るのも、それともキスし返すのも...全部生きて帰ってからさ!」

「あ、ああ」


どうも慣れない。

だが、ディオナは...


「お前は、いい女だな」

「よしな、女同士の趣味はないよ」


そう言いつつ、ディオナは少し赤くなっていた。

それが、雪国で育った彼女の常なのかは、僕には分からなかった。


「サーシャ...」

「私より、お姉さまに...とは言いません、私も、貴女を信じたいのです」

「ああ」


僕はサーシャを抱きしめた。

ああ....

今になって、僕は自分が後悔していたことを思い出した。

当時は勢いで決めたことだが、結果としてヴァンデッタ帝国は滅びた。

それを反省する気も、後悔する気もない。

ただ、サーシャの家族を、つまりは皇族を殺した事だけは、後悔している。

身勝手なものだが......きっと。


「それが人間というものだ」

「....? どうしましたか?」

「何でもない」


僕はサーシャを離してやった。

きっと彼女は、現実主義に目覚めたのだろう。

僕を殺せないから、復讐が出来ないから諦めたに過ぎない。

憎悪の上に薄く乗った愛情を信じれば、足元をすくわれる。


「もしアロウトが滅びることがあれば、エリスを守れ。僕と共に死ななくていい、エリスを....お前が”今”守りたいと思うものを守れ」

「......はい」


僕はサーシャから視線を外し、エリスの方を見た。

エリスは、僕の視線に合わせるようにぎこちなく目を動かした。


「.....行ってくる」

「ええ」


僕とエリスは暫く抱擁し合った。

それは、戦いに赴く者への祈りか、それとも死地へ向かう者と生きる者の別れか――――どちらにせよ。


「エリス、僕は撃墜されても死ぬわけではない。次のクローンに移るだけだが、僕の機体に予備機はない。――――つまり、墜とされても死なないが、同時に負けはする。だから」

「負けないで。エリアス、絶対に勝つこと」

「.....分かった」


他でもないエリスにそう言われたら、仕方ない。

僕は頷く。

必ず勝利してみせる。


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