235-最後の開戦
二日後。
唐突に、アロウト全域に警報が鳴り響く。
『プロクレード星系へのゲートが起動! 繰り返す、プロクレード星系へのゲートが起動! 偵察ではありません、本隊の移動です!』
『哨戒任務中の旧ロット艦艇はアロウト防衛設備の周囲に展開せよ』
『整備完了したルナティラノスは全機発艦せよ、整備班、整備急げ。工廠内のルナティラノス全機発艦準備! エクスティラノスは全員格納庫へ集合! 出撃準備に入れ!』
カサンドラの声に続いたのは、エリアスの指示である。
有史以来一度も響いたことのない、エリアスの指示。
集合意識のノクティラノス達もまた、その声を聞き気を引き締めた。
『六番格納庫を開きます、全機は直ちに発艦せよ』
『アロウトを光学隠蔽します、ギリギリまでルナティラノスは見せないように』
『擬装を装着した艦艇は旧ロット残存艦隊と合流せよ』
『七番格納庫を解放』
格納庫一杯に置かれたガントリーに固定されていたルナティラノス艦隊が、一斉に発進する。
発進したルナティラノス艦隊は、アロウトの都市内を緩やかに飛行、光学隠蔽フィールドの内部で散開し、隊列を組む。
『最初に出すのは旧ロット艦艇だけだ、敵の完全通過を狙う!』
『承知した』
指揮を執るのはロイヤリティエクスティラノスに乗ったジェネラスである。
『敵を引きずり出せ、ジェネラス』
『承知!』
『第一艦隊、ワープ陣形に移行します』
『旧ロット七番艦隊、戦端開かれました』
ルナティラノス艦隊が、鶴翼の陣を構成する。
艦隊はワープアウトし、プロクレード星系へのゲート前に向かって飛ぶ。
『第一艦隊、展開完了!』
『旧ロット第七艦隊、被害甚大!』
『放置せよ、援護に旧ロット第二艦隊を側面から接近させろ』
Ve’z艦隊は、連邦艦隊の背面を潰すように動き始める。
ゲートに戻さないためである。
『ヴィジランツから報告。進路上に王国および連邦艦隊無し、繰り返す、後退進路上に王国および連邦艦隊なし!』
「そうか」
その報告を、玉座の間で座るエリアスは聞いていた。
今はエクスティラノスが出払っており、エリアスについてきたニトしかいない。
「始まるのだな」
「ああ」
玉座の間では、各地の戦闘の様子が表示されている。
「どうやって守っているのか」
「四つのシールドトランスファーアレイをアロウトの第四、第三、第二防壁、第一防壁とリンクさせている。奴らの砲台が幾ら当たろうと防壁には傷一つ付かない」
「隙の無い防御か」
「いいや、奴らを一度四つに分割する必要があるからな、正面からぶつかると、ルナティラノスの標準装備の空間湾曲限界を超える砲撃を受ける可能性がある」
ニトは、エリアスの傍に寄る。
エリアスはそれを押しのける事なく、全員に指令を出す。
「全艦、擬装解除。――――ゲートを破壊せよ」
『『了解!』』
その瞬間。
全ての擬装していたルナティラノスが、その外装を吹き飛ばす。
幾何学模様のヒビが入ったルナティラノス艦は、新たな外装を顕わにし、一斉にゲートを撃った。
今まで破壊できなかったゲートは、一斉射撃によって、粉々に破壊された。
これで、王国・連邦軍は退路を完全に失った。
『連邦軍に動きあり、欺瞞情報に従い攻略作戦に出るようです』
「分かった、僕も出る! エクスティラノス全艦展開! アロウト防衛作戦開始!」
『『『『『『『『『『『『了解!』』』』』』』』』』』』
アロウトの隠蔽が解除され、全域から夥しい数のルナティラノスが飛び出してくる。
それはさながら、最終戦争の開幕といった様相であった。
面白いと感じたら、感想を書いていってください!
出来れば、ブクマや高評価などもお願いします。
レビューなどは、書きたいと思ったら書いてくださるととても嬉しいです。
どのような感想・レビューでもお待ちしております!
↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。




