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【完結】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~  作者: 黴男
終章(2/3)-『真実』編

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231/295

231-デウス・エクス・マキナ

「.........その名を、どこで聞いた?」


その言葉を耳にしたニトは、僕に対して真剣な表情で詰め寄った。

僕は、彼女に旅で見聞きしたキネスについて話した。


「.....そうか、キネスの破片がそんな事に」

「何なんだ、キネスとは?」

「その前に、まずはアルケーシアという国家について話させてくれないか」


その時、風が吹き、僕とニトの髪を揺らした。

短い沈黙が流れ、僕は頷く。


「アルケーシアは、この宇宙の銀河を四つ支配する大国家だった」

「そうなのか」

「そうである」


となると、何かの災害が起きた時に、三つの銀河が消えたという事か。

いいや、違うな。

失われたのは二つの銀河だ。

もう一つの銀河は、輝きを失ったものの、未開領域に眠っている。


「基本的な社会システムは、この世界の人類とそう変わらぬ。オルトス王国が一番近いであろうか?」

「貴族制なんだな」

「そうだ。社会的な地位は定められていたが、とある理由から我々には我々の幸福が約束されていた。人間としての社会を保つため、このような形が取られていたにすぎない」

「とすると、政治は人の心の安定のためだったというわけか」

「そうである」


宗教に近い。

政治が人の心の支えになる事も、同じようにあるのだ。

誰かが神に縋るように、王に縋るものもいる。


「インフラや経済などというものは意味をなさない。それが好きなものだけが議会に集い、人を率い、弱い人間を守る事を誓ったものが貴族と名乗った」

「権力ではなく、自分の意志の為に.......?」

「理解できぬだろう。だが、後述する理由から、我々は望むものすべてを手に入れる事が出来たのである」


その理由とはなんだ。

僕は尋ねたかったが、彼女は順序を守る人間だ。


「”それ”は中央にしかなく、地方にいる者達は巡礼という形で望むものを手に入れた。”それ”は我々の科学力で生み出したもので、キネスとは”それ”の欠片だ」

「それとは?」

「”神”だ」


ニトの口からその言葉が飛び出したとき、僕はつい笑いを漏らしてしまった。

その笑いは、意外にも大きく響いた。


「.....すまない、仰々しい話から、急に信じられないような話になった」

「信じられないのも無理はない」


だが、分かる。

分かってしまう。

神がいるのなら、全てを満たすことは可能だろう。


「大陸を埋め尽くすような食糧。世界を豊かにすることも出来る。永遠に消えない温もりや、暑さから守ってくれる冷気。その全てを代償なく受け取る事が出来るシステムか」

「そうである」


争いがなくなるわけだ。

そんな状態になれば、人は進化の可変性を失ってしまい、滅びへの道を歩み始める。

だが、そうはならなかった。


「それまで通りの暮らしを続けたという訳だな」

「そうである」


全ては欺瞞。

そう思いながらも、虚無から逃れるように文明は存続した。

不老長寿が叶い、考えなしの繁殖は人口問題へ。

それを解決したのは誰あろう、ニト自身であった。


「あらゆる惑星を改造し、先住民がいれば征服し――――我々の同胞を住まわせたのである」

「だが、何かが起きてそれは終わった、そうだな?」

「そうである」


思えば。

エミドは、本星に夥しい数の人間を抱えていた。

他所から攫って来ただけではない、純エミド人たち。

彼らはどこから来たのか?

最初からいたのだ。

人口爆発によって地方に押し付けられた、空っぽの人間たち。

何故眠らされていたか、よく分かる。

破滅当時のエミドには、それらの人間たちを食わせていくだけの余裕はなかったのだろう。


「では、話そう。神と――――キネスについて」


僕の前で、ニトはそう言った。

その顔は依然として無表情だったが、僕には忌々し気に見えた。


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