223-両者譲らぬ戦い
『コンクエスター・クイスティラスを前へ』
ケルビスの命令に従い、艦隊が戦線を下げる。
その背後から現れたのは、S.O.F.A.を装備したコンクエスター・クイスティラスであった。
『敵の特殊装備型を確認』
「ツェーン、前へ!」
『了解!』
艦隊の中をかき分け、ガマリエルと呼ばれる機体が飛び出す。
そして、指定の地点に移動する。
『パワーコアオプティマイザー起動します』
『S.O.F.A.を起動する』
短周波過剰増幅装置により、パワーコアから生成されるエネルギーを過剰に増幅することで艦船を自爆させる......その兵器を、ガマリエルが展開した防護波が防ぐ。
『アインス! その特殊装備型は罠だ、通常通り、後衛をやれ!』
「了解! 特殊装備型はどうするのですか?」
『ズィーヴェンを出す、道を開けろ』
「了解」
艦隊の奥から、大型の機体が出現した。
その機体には、フォトンエネルギーを利用した兵器が搭載されている。
それを前面に展開し、コンクエスター・クイスティラスを一気に撃滅する作戦だ。
『コンクエスター・クイスティラス、攻撃を敵の特殊機に集中』
シールド支援を受けている指揮官ズィーヴェンの乗機、ヴァール=オレブ・ザラクは、前面の隔壁パネルを解除すると、それを起動した。
『バアルの慈雨を起動、照射時間45秒の間、キルゾーンに立ち入らないように厳命してください』
『了解』
「各員了解!」
ヴァール=オレブ・ザラクから放たれた、キラキラと輝く光は――――
コンクエスター・クイスティラスにぶつかると同時に、その場所を消滅させていく。
光子魚雷を乱射するそれは、キルゾーン内のコンクエスター・クイスティラスを照射時間内に壊滅させた。
『カサンドラ、あれの対策は?』
『反光子フィールドを展開すればいいのですが......恐らく新型ラエリスで破壊できるでしょう』
『いいだろう』
勿論、Ve’z側もただの接待というわけではない。
戦闘を通して、敵の実力を確かめているのだ。
『艦載機が厄介だね』
『Xiphosで対策可能かと』
『それもそうだ、そこまで頭が回らなかったというべきかな』
そして。
Ve’z側が後退を開始した。
『領有用の拠点を喪失。防衛を破ったというわけか』
『力及ばず。しかし”新兵”の訓練にはなった』
防衛側にはジェネラスが担当し、新たなノクティラノスの訓練に防衛戦を利用していた。
ケルビスは後退する艦隊を立体映像として投影した。
『このまま一気に後退させ、プロクレード星系に誘い込む』
『もうすぐヴェリアノスへの入り口ですね』
『もうすぐ終わる』
Ve’z艦隊は主力をゲートに退避させ、後衛を残してゲートを防衛する。
「このまま突入します!」
『罠だ、とりあえずゲートの周囲を殲滅。その後に一斉にジャンプして攻撃を仕掛ける!』
「了解」
『艦隊を再編成! 主力艦を前衛に配置しろ、アバターも矢面に立つ』
「りょうか....ええっ!?」
『敵に本気だと思わせ、防衛にリソースを使わせる』
「.....分かりました」
連邦艦隊が動き出す。
主力艦数千隻を前面に出し、それに付帯する艦隊数万隻をその周囲に。
指揮官機を適切な位置に分散配置し、輜重艦隊を中央部に、艦隊後部に大陸級を二隻、殿に艦隊を付帯させる、移動陣形である。
「全艦、速度調節!」
そして連邦艦隊は勢いを増し、プロクレード星系へと続くゲートに接近するのであった。
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