207-低俗なる戦い
その頃。
グレゴルは、ガイレンゲート前で戦闘を行っていた。
......主力艦三隻と、戦艦中心の艦隊三百と。
だが、既に主力艦一隻と艦隊の三分の一はグレゴルの制御下にあり、向こう側のバックドアが有効な間だけは、戦闘を有利に進められる状況であった。
『しかし...流石はカサンドラというわけか』
グレゴルは呟く。
既にシールドが全損している彼の艦は、ベネディクトを盾代わりにして攻撃を凌いでいた。
入り口ではなく出口側の方に戦力を出してくるという予想は見事に当たったというわけである。
『ケルビスらの手を煩わせるのは愚、ここは手札だけで勝負すべきところだろうな』
その途端、ロイヤリティイミティラノスの動きが変わる。
主力艦を集中的に狙ったのだ。
...グレゴルの制御下にある主力艦を。
シールドを失っていた主力艦は、それによって容易に撃沈される。
即座にグレゴルは別の主力艦に対してハッキングを仕掛け、その間にロイヤリティイミティラノスは、制御を奪われている戦艦艦隊を撃沈、グレゴルの操作リソースを減少させる。
『低俗な』
制御を奪われた主力艦は、最終兵器を起動。
もう一隻の主力艦に対してそれを発射し、巨大なレーザー砲がシールドごとその主力艦の装甲に穴を開ける。
だが、連邦も即座に反撃に出て、グレゴルのシステムに共通コードによるハッキングを仕掛けてくる。
『だから低俗だと言うのだ』
しかし、グレゴルはAIである。
それも、「宝物殿」を管理するために、システムリソースを大きく確保され、その情報処理に関する『経験』はとても豊富である。
向こう側のシステム「AURORA」によるクラッキングを、素早く分離・遮蔽・遮断のプロセスを経て対処し、超兵器『パラノイア』を起動。
戦艦艦隊を丸ごと制御下に置き、シールドジェネレーターをオフラインにした上で、ロイヤリティイミティラノスに薙ぎ払わさせる。
『適材適所...というわけだ』
無論、こんな戦い方は長くは続かない事は、グレゴルも理解していた。
敵は次はより多くの戦力を投入してくるだろうし、ハッキング対策もより強固になるだろうことは明らかだ。
それでも尚。
『己はエリアスを良くは思わぬ。しかし、アルティノスの血族のために。出来ることはすべきなのだ』
エリアスでは無く、Ve‘zの最後の血族に忠誠を誓う彼は。
何度でも戦う覚悟を、既に持っていた。
そして、最後に残った主力艦が動力炉を暴走...自爆させようとする。
『低俗にして下劣、品性に欠ける戦いだ』
だが、それより前にロイヤリティイミティラノスの一斉射撃によって破壊され、宇宙の藻屑と化した。
グレゴルは戦闘終了を確認すると、ゲートから出てきた味方から修復支援を受けつつ、今後の戦術アップデートをカサンドラに共有するのであった。
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