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【完結】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~  作者: 黴男
終章(1/3)-『探求』編

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203/295

203-矛盾

「これが、惑星プロミアスか....」


僕は、星空雪車を惑星軌道上に停止させ、その星を見る。

地球そっくりの星だ。

ただし、大陸よりも海の面積が大きい。

信号は、大陸の中央付近から発せられている。


「ここまで信号が強くなれば、解析も出来るが.....未知の言語だな」


Ve’zのデータベースと照合すれば、エミド語に近い事は分かる。

だが、エミドではない。

だからといって、アルケーシアでもない。

なんだ、この文明は....?


「Ve’zやエミドより旧い文明の信号が今も続いているとは....」


Ve’zの文明で生まれた船であっても、メンテナンスフリーとはいえ数百億年も経過すれば機能しなくなる。

それより古い文明の装置があるとすれば、それは僕たちの常識から大きく外れたものなのだろう。


「降下を開始する」


船を降下させる。

惑星の直径は12500km、だいたい地球と同じサイズだ。

シールドを使って大気圏を突破した星空雪車は、着陸可能な平地へと速度を落としながら降下する。


「大気成分は.......驚くほどに地球そっくりだな」


これならそのまま外に出ても問題は無さそうだ。

僕は触手のついたいつもの装備を身に着け、外に出る準備をする。

結っていた髪を解き、エアロックへと向かった。




「フィオとあまり変わらないな.....」


星空雪車から足を踏み出した僕は、周囲に満ちる自然の香りを吸い込む。

フィオの森林と変わらない。

周囲は森であり、森の中に生まれた空白地点に星空雪車は着陸したのだ。

だが――――


「ただの空白地帯ではないな、星空雪車を作った文明は、こういう考えには及ばなかったか」


振り向けば、こちらに向かって威嚇音を上げる大型の動物。

猪と象が混ざったような生物だが、自重を支えるためかそこまで動きが良いわけではないようだ。


「丁度いい」


生態系上位者の臭いを付けていれば、他の生物に襲われる危険性も一気に減る。

僕は装備を起動し、背中から八本の触手を引きずり出す。


「行くぞ」


やる事は簡単だ。

踏み込んで、あの猪もどきを縛り上げ、そのまま圧死させる。

一瞬で距離を詰め、触手で絡み取る。

そのまま握り潰そうとした瞬間、


「何!?」


急に手応えがなくなった。

触手をするりと抜けたそれは、そのまま逃げていく。

後に残ったのは、触手が掴んだ毛皮だけだった。


「毛皮は嵩増しだったか」


恐らく、増加装甲の様に毛皮を外側に纏い、緊急時にはそれを脱ぎ捨てて逃げる。

不思議な生物だ....


「これをそのまま羽織れば......いいか?」


加工してもいいが、脱臭したら意味がないような気もする。

匂い成分はスーツの機能で除去できるので、このまま羽織っていこう。


「さて....この信号の先に何があるんだ?」


僕は呟きつつ、密林の中に足を踏み入れた。

暫く進むうちに辺りは沼地と化し、僕はスーツの有難さを思い知った。

ホバー機能で沼地の上を突き進み、最短ルートで目的地を目指す。


「これも久々だな」


1時間ほど進んだ辺りで、僕は木陰に腰を下ろし、エナジーブロックを摂って休憩する。

前世では全く意識してなかったけど、この身体での五感を認識するのも慣れてきた。

密林であっても、風の流れや生物の気配が意識できる。

僕が羽織っているこの原生生物の毛皮のおかげで、周囲の生物は直ぐに逃げるか、遠巻きにこちらを観察しているだけで済んでいる。


「....いけないな」


不思議と懐かしくなる。

あの時――――僕がエリアスを庇って再び死んだとき。

エリアスは、自分という存在の一部を切り離し、空いたスペースに僕を取り込んだ。

そうする事で、砕け散った僕は、エリアスの一部として存在を許された。

だからだろうか。

エリアスの記憶と僕の記憶が入り混じり、あの時エリアスが感じた、永遠とも思えるほどの孤独。

それを、自分の体験の様に感じ取る事が出来た。


「それでも尚、僕は答えを探している――――」


人は皆、「永遠」と「幸福」を追い求める。

でも、凡人と神のような存在、両方の記憶を持って僕は今、実感している。

永遠と幸福は、両立することは出来ないのだと。

終わりがあるから生は輝く。

しかし、エリアスがそれに納得するとは思えない。

だからこそ――――こんな戦いからさっさと逃げて、そこで答えを探すべきなのだと。


「よし!」


こんな所で悩んでいる暇はない。

僕は立ち上がり、再び目的地を目指すのだった。

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