201-未知なる惑星
「暇だ.....」
見渡す限りの星空。
だが、その星空はVe’zのデータには無く、同じくVe’zの遺産であるスターゲートは、この未探索領域には存在しない。
道標のない旅だ。
とはいえ、目的地は定まっている。
『Z-R0022星系までの日程:10日16時間』
僕は画面を操作する。
僕が今乗っている船は、未探索領域を凄まじい速度で飛んでいる。
通常航行速度だけで、大抵のVe’z艦を振り切ってしまうが、この艦の真価はワープ速度にある。
よって僕は、超光速通信によって行われるデータリンクで情報を閲覧しながら、この長旅を”楽しんでいる”のだ。
「目的地までにあわよくば...とは思ったんだが」
通過した惑星に、生物が居住可能なものは無かった。
退避先に選ぶ為には、
1.生物が居住可能な環境である
2.周辺の星系そしてその星自体に知的生命体が存在していない
3.連邦の探査範囲外であること
の三つの条件を満たさなければならない。
情けないことだが、彼等に勝つ手段が見つかりそうにもない現時点では、これが最善だと僕は思っている。
未知の技術、未知の兵器。
アレだけ手を焼いたエミド統合体を、壊滅寸前にまで追い詰めた悪魔の軍勢。
僕はあれらに...恐怖した。
エリアスはそれに対して、不満げだったが。
『情けない、破滅の意思を避ける道筋を見つけてみせると言ったあの勇姿はどこへ行ったのだ?』
みたいなことを言われた。
僕にまだ期待してくれているのはどうにもむず痒かったが、死んで仕舞えばそれで終わりなのだから、答えを探すのは生き残ってからでも構わないはずだ。
「連邦は快進撃か...」
僕らの皮膚にその刃を食いこませた連邦は、より強い兵器を投入し始めているそうだ。
だが――――
あの機体に勝つ術を見つけなければ、最終的には全て滅ぼされるだろう。
物体を、質量や熱量を無視して消滅させるあの兵器。
ディスラプターのような原子崩壊ではない。
原子崩壊ならば、崩壊した空間に宇宙が雪崩れ込み、天文規模での破壊を引き起こす。
よって、あの兵器は原子崩壊兵器ではない。
シーシャとカサンドラが考証を重ねているものの、あんな兵器は科学的に不可能だという答えしか出せない。
「追い詰められた.....のか」
エリアランツェでも、あの兵器には何もできない。
あれを防御する術はない。
「駄目だな」
一人でこうして考えていると、思考が悪い方へ行ってしまう。
ここは、日程を多少短縮するべく連続ワープを行うべきだろう、この義体なら少しは時空連続体への高圧負荷に耐えられる。
「....ん?」
コンソールを操作しようとしたその時。
僕は、何かの信号をキャッチしていることに気付いた。
場所は.....目的地と逸れた、D-I168星系、惑星プロミアス....だが。
「なんでこの惑星に、名前がついている?」
この機体の情報に登録されている惑星だが、そんなはずは無い。
探索領域済み領域の内側にある国で作られたこの船が、その惑星の情報を持っているはずがないからだ。
これは....調べてみる必要がありそうだ。
僕は星空雪車を操作し、目的地へと向けて連続ワープを開始した。
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