195-エリちゃんまだ一回表 試合は始まったばっかりよ
アドアステラが戦線へと入り込み、Ve‘z側は一気に不利な状況へと追い込まれた。
アイギスノクティラノスではないドレッドノクティラノスでは、アドアステラの砲撃に耐えられないのだ。
しかし、まだ戦いは決していない。
『第二戦術に移行する、征くぞ』
『はい』
ワープ妨害フィールドを発生させているコアを、ハンターが正確な射撃で撃ち貫く。
フィールドが消滅し、艦隊はワープ可能となる。
『カル様、敵が逃げます』
『分かっている...何?』
その時。
Ve‘z艦隊はワープした。
...非常に短い距離を。
だが、連邦艦隊にとっては...射程外である。
『スナイパーノクティラノス、全艦あの重巡洋艦に集中攻撃』
『ドレッドノクティラノス、残存しているハンターを起動』
アドアステラは未だワープ妨害フィールドの内部に居るため、射程外からのスナイパーノクティラノスの精密射撃をもろに受ける。
そして同時に、帰投中の敵機体向けて、放置されていたと思われていたハンターが遠隔で起動、精密射撃を行なって数機を撃墜、続けてさらに数機を撃ち落とす。
『カル様、シールドがもう持ちません』
『分かった、ノルス!』
アドアステラのブリッジでは、仮面をつけた男が、蛸頭の機関士に命令を出していた。
直後、アドアステラが一気に速度を上げ、バレルロールしながら射撃を回避、ワープ妨害フィールドを離脱する。
同時にVe’z艦隊もワープし、アドアステラとVe’z艦隊が上下で交錯する。
『推進器を狙って射撃開始!』
アドアステラのシールドを引き剥がし、スナイパーノクティラノスの射撃が左スラスターに直撃する。
『左推進器に損傷! 推進剤がうまく出ません』
『CJD起動、ここは一旦退く!』
アドアステラはCJDという装備を起動し、スナイパーノクティラノスの射線から退避、直後にジャンプドライブを起動して宙域から消え去った。
残ったアドアステラの直掩艦隊に、既にワープしたジェネラス&ドレッドノクティラノス艦隊が近接距離まで迫る。
『なっ! カル様!』
『排除する』
アドアステラの周囲の艦隊は王国艦隊であると、ジェネラスは即座に見抜く。
練度の差が明らかだからだ。
直掩艦隊を焼き払ったジェネラス艦隊は、即座に転進。
ニューエンドとアルカンシェルを充填し、敵に後ろを向けた艦載機隊ごと艦隊を砲撃する。
再びシールドを張るNoa-Tun艦隊だが、ジェネラス艦隊は連続で超兵器を放出。
『P.O.D.Sエネルギー消失、フィールドが消えます』
『妨害コアを破壊して撤退する!』
そして。
P.O.D.Sを維持出来なくなったNoa-Tun連邦艦隊は、自らコアを破壊してゲートへ向けて回頭、ワープで離脱していった。
『アインス様、どうされるおつもりですか?』
『ゲートを突破し本陣に戻ります』
Noa-Tun連邦艦隊はゲート前に辿り着く――――はずだった。
しかし、艦隊はゲート前にいた何かに足を止められる。
『ワープ妨害フィールド....面白い仕組みでした。我々の技術での再現は容易ですので、当然こうなりますが.......ね』
ゲート前でワープ妨害フィールドを展開したケルビスが、既に大量に投下していたハンター、ベネディクト、アナテマを乱射する。
艦隊は即座にシールドを失い、凄まじい速度で瓦解していく。
『アインス様、お逃げください!』
『........すみません』
『いいのです』
アインスと呼ばれた司令官は、艦橋を後にする。
直後、旗艦から一機の艦載機が飛び出す。
ケルビスはそれを狙うが、恐るべき初速で飛び出したそれは亜光速に達し、ケルビスの真横をすり抜けてゲートへ消えた。
『まあ、いいでしょう。艦隊を全滅させれば我々の勝利です』
艦隊は暫くの間、シールドと装甲を高速修復させて粘ったものの――――
『プリズマティック、照射!』
広範囲に拡散した光の槍によって、即座に全滅した。
こうして、ワトレル星系の第一次攻撃戦は連邦の敗北、Ve’zの辛勝で終わったのであった。
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