192-敗北
それから数時間後。
ケルビスはアロウトに戻っていた。
結局、エリアスがケルビスから受け取ったジェネラスの作戦は実行前に打ち切られ、ケルビスの機体は増援を受けられない状態からなんとか離脱、ボロボロになりながらアロウトまで帰還してきた。
『誠に申し訳ありません、エリアス様』
「いや、問題ない。もしあそこで撃墜、もしくは鹵獲されていれば、即座に解析され技術を奪われていたはずだ」
エリアスは確信を持ってそう言う。
エミドとの戦いからの短期間で、Noa-Tun連邦はP.O.Dを実用化して、それを応用するような素ぶりまで見せた。
もしジーク・エクスティラノスが拿捕されたり、残骸を回収されれば、数週間で連邦は同じものを作り上げてしまうだろうという確信が、エリアスにはあった。
「既に奪われた星系の奪還は不可能だ、それよりも、僕たちは本拠地の特定、およびこちらの星系の防衛を行う必要がある」
エリアスは星系図を表示し、その中に含まれる情報をさらに整理する。
「僕たちのアロウトに近づくためには、ここを必ず通らなければならない」
ワトレル→シュオナ→ランベール→イワクナと、星系の名前が一列になって表示される。
イワクナを越えれば、Ve‘zの主要コンステレーション群に入る。
「シュオナ星系へのゲートは停止してあるが、ワトレルが奪われれば自然にゲートは復旧する。恒星間航行による侵入を抑制するため、僕たちはなるべくゲートを敵が利用するように誘導する予定だ」
一隻でも侵入を許せば、そのまま入られてしまう。
だからこそ、ゲートでそれを抑制するというわけだ。
停止したゲートは、例の構造物によるシステムのオーバーライドによって起動されてしまうため、停止は一時的な措置に過ぎない。
「侵略がうまくいっているように見せかける...というのがケルビスの意見だったな?」
「はい、私めの稚拙な作戦ですが、これでよろしいでしょうか?」
エリアスは困ったように微笑むと、頷いた。
「準備を開始せよ、敵はもう間近に迫っている」
『はっ!』
『了解です』
その場にいたカサンドラも頷き、反省会は終わった。
面白いと感じたら、感想を書いていってください!
出来れば、ブクマや高評価などもお願いします。
レビューなどは、書きたいと思ったら書いてくださるととても嬉しいです。
どのような感想・レビューでもお待ちしております!
↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。




