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178-絶望の迎撃戦(後編)

「.......」


ケルビスは三十二本の触手を操り、エミド兵を貫き、叩き潰し、薙ぎ払った。


「(少々、拙いですね)」


彼は焦っていた。

その理由は、彼の体内エネルギーにある。

エネルギーを補給していない状態の彼は、全力で3時間程度しか動けない。

エネルギーブロックであれば一瞬でエネルギー補給が出来るが、彼は普通の食事しかとっていないために一時間程度でしか動けなかった。


「ならば――――全力で薙ぎ払う!」


ケルビスは触手を刃のように使いエミド兵を切断し、一気に敵陣へと飛び込む。

だが、エミド兵はその勢いを増してケルビスに群がる。


「計算....通りですね....!」


注意はエリス達ではなく、自分に向いた。

そして同時に、エリスはバカな人間たちとは違い、賢い者である。

サーシャを連れて逃げてくれると確信して、ケルビスは構造物の中へと入り込む。

一気に、その最奥部を目指しエミド兵を薙ぎ払って進む。


「....くっ、やはり厳しいですね....」


ケルビスは上へ上へと突き進み、バクタ・ディ・アヴィ・ジオ・ロドスの甲板へと出る。

そして、速度を上げてその艦橋を目指すのだった。







まったく、余裕がない。

正直なところ、余裕がないどころか必死だ。

アロウトのシステムは沈黙、ノクティラノスは使えず、出れるエクスティラノスはいない。

この状況から取れる選択肢はない――――その筈だ。

だが、何も出来ないわけではない。


「............ググ」


アロウトのコンピューターを使えない以上、僕の思考能力はかなり制限される。

だが、それでもエリガードがミニサイズのアロウトのようなものであり、最低限戦闘行動は出来る。

無理やり精神リンクを繋いで呼び寄せたミランダ=セスティラノス二隻を、自分だけで操作する。

その中に詰まったノクティラノスを放出するが、日活性状態で浮遊するだけであり、囮にくらいしか使えない。

だが......


「ハァ~.......フッ、ハァ......」


こんなことは始めてだ。

僕は二つのミランダを操作するのに精神をすり減らしていた。

だが......困難ではない。


「まだ.........まだだ....!」


第一、第三船団は左右翼に分かれて襲い掛かってくる。

だが、旗艦の位置さえ分かっていれば、パラダイスロストを撃ち込んで陣形を乱せる。

それはいいが.....


『船体ダメージ:13%』

「アーマー修復起動!」

『船体ダメージ:21%』


P.O.Dの射程外とはいえ、P.O.Dと同じ振動波形を纏ったミサイルが飛んできている。

シールドはすでに無くなっており、装甲を修復しながらやりくりしていた。


「数が多すぎる.....」


やはり、最終手段に出るしかないのか。

僕は覚悟を決めるため、今までの全てを思い返す。


「......エリアス、後を頼む」


覚悟は――――決まった。

僕は目を閉じることなく、エリガードを使って最後の手段を行使する。


「ジェキド――――お前たちの使う手段が、こちらにないとでも思ったか?」


一人の精神が砕け散るその絶叫を、エリガードの精神波長に乗せて放つ。

そうすれば、精神を覆う防護壁のない兵器は全て沈黙する。


『待て、それはお前ではなく私が......』

「僕は元々帰るつもりだった、それが叶わなかっただけだ」


僕は自分で自分の精神を、引き裂いた。

これで、すべてが終わる!


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