169-食事会
エミドとの戦闘が開始されたものの、防衛戦自体は比較的楽なものだ。
それ故に、僕も暇を持て余し、エリス達を誘ってみたのだが.....
「またこの国を訪れるとはな....」
「ちょっとご飯食べるだけでしょう?」
「そうだが」
僕たちはクロペル共和国のエイスタープライムⅠへと降り立ち、車に乗っていた。
運転しているのはジアン。
そして車内は、僕とエリス、ティニア、サーシャ、アディナ、アルクレイス、ディオナの七人で満杯だ。
「ティニア、ディオナ、公務はいいのか?」
「うん! 後でまとめて片付けるもん」
「副官に押し付けちまったよ! 元々そんなに多いわけじゃないしねぇ」
有職の二人だが、仕事を放棄してまで来たらしい。
まあ、三時間程度の食事なら構わないのだろう。
「私、楽しみっ! ね、お姉さま」
「ええ、そうね....」
「楽しみですね、エリアス殿」
「....そうだな」
サーシャはエリスと、アルクレイスは僕にそれぞれ尋ねてくる。
僕はそれに、薄く笑って応えた。
浮遊する車は高速道路らしいラインから降りて都市の内部へ降り、ある建物の前で止まった。
セキュリティゲートの前に、警備が立っている。
「会員証はお持ちですか?」
「もちろん、ジン!」
「ええ」
彼女たちは今、モニカとジンとしてお忍びで行動している。
僕らも目立たないよう、なるべくそれぞれに合わせた格好だ。
僕は髪を纏めてワンピース、エリスは半袖のシャツの上に青いシャツを一枚羽織っている。
サーシャは子供服を着せて、アルクレイスはどうしてもそれがいいと言うので、白のシャツにワインレッドのロングスカートというお洒落な格好をしていた。
「お通りください、
中は入るとエレベーターホールになっており、僕らはエレベーターに乗って上に向かう。
その先は、高級な中華料理のような、伝統的なクロペル共和国の様式が再現された場所だった。
すぐにウェイターがやって来て、席の確認をする。
ここは財界の著名人が来るような場所らしく、そんな場所の予約を当日に取れるとは。
女王らしい所を初めて見たような気がする。
「注文はもう決めてあるから!」
「変なものじゃないのよね?」
「心配無用です、食べられないようでしたら下げさせますので」
ジンはきりっとした表情で言う。
僕は食事に貴賤を当てはめないが、幼児化してしまったサーシャや、裏切ったおかげで吹っ切れて重い感情を向けてくるアルクレイスも何だかんだで食事に好みはあるだろう。
僕は皆を見る。
皆は僕の行動の理由を察してくれたらしく、一様に頷いた。
「じゃあ、注文はこのままで行くね」
ティニアは端末を操作する。
しばらくすると、ウェイターがグラス...らしいものに水を注いでくれる。
ちなみに、水を飲まない種族や、水が毒になる種族も当然存在するため、事前の予約時にその旨も記載するようだ。この辺は前世のアレルゲン配慮にも似ている。
この世界では発達した医療技術により、アレルゲン反応は抑制出来るため、よほど未発達か貧困な環境生まれでなければなんであろうと食べられるそうだ。
「楽しみだな」
この身体も大分感覚が戻ってきている。
不要だったはずの器官が感覚を取り戻して、僕は食事を味わう事が出来るようになったのだ。
僕は最初に来る前菜を少しだけ心待ちにして待っているのであった。
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