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162-戦いへの一歩

というわけで、僕らはエミドワームホールを制圧した。

ここは何らかの理由で放棄された場所らしく、事前のログを見る限り中央で何かあったようだった。


「ログを遡る限り、中央からのエネルギー供給が切れたようだ」

『奇妙ですね。バクタラートに何かあったとは思えません』


バクタラートとは、エミドの首都星系に当たる場所だ。

「バクタの井戸」と呼ばれる大型のホワイトホールがあり、彼らはそこからエネルギーを得ているのだ。

エネルギー供給が途絶えたとは考えにくい、最後の観測ではホワイトホール自体の質量はまだ余裕があり、爆縮には至らないはずだと考えられる。


「やはり、答えは隣にあるか」


僕たちは今、放棄されたゲートを調べている。

既知宇宙において、ある一点とある一点を結ぶ次元回廊であるゲートを建設したのはVe‘zだが、このゲートは回廊というよりは導管、ワームホール同士を結んでいるゲートらしい。


「こんなものは今まで観測されなかったはずだが...」

『恐らくですが、現在は使われていないのでしょう。エミドがどこかでワームホール制御技術を手に入れる以前に放棄されたと考えるのが自然です』

「とにかく、転用しない手はないな」

『はい』


エミドの技術を使うのは躊躇われるが、向こうも恐らくはVe’zから盗んだ技術でワームホールを制御している。

お互い様だ、技術供与をし合ったと思えば妥当になる。


「ジガラスの座標は特定できたか?」


僕はワームホールの接続図表を参照しつつ、次に攻め込む先の詳細を見る。

アディナの脳という貧弱なデータベースには、概要しか示されていなかったが...しかし、無駄ではない情報を得ることができた。

大星國船団が主に駐留している星系は「ザルツヴェール」と呼称されており、僕たちはそこを経由してバクタラートへと侵攻する。

そのためにはまず、空間的な隔たりを慎重に調べながら接近する必要があるので、何個かワームホール空間内の重要な星系を制圧しながら進む。


『ジガラスの重力反応を捉えました。情報通り、ベクタトーヴァを確認』


ベクタトーヴァとは、「船の出る場所」と呼ばれるエミドの古代遺跡である。

その名の通り造船所だが、問題はここが疑似的なレプリケーターとして機能している事だ。

エミド艦はここで複製されるが、その素材もまた分子構成を変化させる事で自在に生成しているものと想定される。

エミドの技術力では到底不可能な技術である。


『流石はエリアス様、最重要拠点と予想されている施設を真っ先に攻撃先に選出なさるとは...私めは感激しています』


ケルビスが何やら感激しているが、僕は曖昧な返事を返すことしかできなかった。

ただ点と点を線で結んでいるだけなのだが、その点が全て重要拠点なのだ。

一体エミドとは、どれだけ巨大な領土を持っているのだろうか。


「御託はいい。僕たちの戦力はジガラスを最速で攻略する必要がある、すぐに救援が到達するはずだ」


ワームホールを自在に作り出せるほどではないが、穴を開けるくらいのことを彼らは普通にやってくるだろう。

こちらがワームホールを閉じたところで、イタチごっこにしかならない。

次元の安定性をワームホールが維持できないほどに高めてしまうと、今度はワープができなくなりこちらの行軍に影響が出る。


『異次元転換砲、移送完了しました』

「複製は出来ないのか?」

『私がお答えします、内部が完全にブラックボックスとなっており、解析には一度分解する必要があります』

「そうか」


その場合、二度と組み立て出来なくなる可能性もあるな。


「分解は全て終わってからで構わない、これより――――Ve’z対エミドの最終戦争を開始する」

『はっ』


この戦いは、滅ぼすか、滅ぼされるかの決死の戦いではない。

ただ、今まで通り――――蹂躙するのみだ。


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