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127-ニトたちの現状

僕はエリガードに乗り、大気圏へと突入していた。

場所はフィオ。

テレポートでは輸送できない物質を積んでいるため、エリガードで直接輸送しているのだ。


『降下ポイントを共有する』

『わかった』


エリガードは一瞬で加速度を殺し、程よく整地された場所に降り立つ。

そこに、クローン数人が寄ってきた。


「ニトはどこだ?」

「....?」


ダメか。

まだ言語の理解には至らないようだ。


「吾輩はここだ」

「ニト、生活はどうだ」

「......前の生活がわからない。故に、良い」

「なら、良かった」


僕は頷く。

Ve’z製のユニットを使い、フィオの環境を破壊することなく開発を進めているようだ。


「クローン達の処遇はどうする?」

「分からん。吾輩と同じスペックだが、精神年齢は低く、性格については矯正が効きそうだ」


クローンが目覚めた理由は全く分からない。

ただ、既に自己を確立してしまっているようだ。


「純水の確保率は?」

「現在は100%だ。この星の環境は理想的だが、知的生命がいないのは難点だ」

「僕の先祖が絶滅させたようだ、すまない」


宝物殿の惑星のほとんどには人間がいない。

物好きなVe‘z人が人間の未来に期待して残した惑星もあるが、全体に比べれば大した数では無い。


「コミュニケーターが一人でもいればいいのだが...過剰な要求であったな、済まない、吾輩の落ち度である」

「コミュニケーター...か」


考えてみれば、エリアスの頃にエクスティラノスが作られたのだが、“僕”の代ではラエリスだけだ。

ここは数体、エクスティラノスを作ってみるべきだろう。


「足りない資源はあるか?」

「大丈夫だ。不足気味のベラトーク、ノートリアル、ポリオンは、あなたが持ってくれた」

「この惑星の資源分布にはそれらは含まれないからな」


今、この惑星にはノクティラノスが駐留しているが、既に資源のスキャンは終わっている。

この惑星には、標準的な資源と宇宙に存在する資源数個、それから未知の鉱物が一つ見つかっている。

正確には、発見されてはいるのだが...それをサーチする手段がないだけだが。


「......本当に、良かったのか?」

「うん?」


僕は振り返る。

ニトは、猜疑の目を僕に向けていた。


「吾輩たちは、そちらに技術を渡したが...その時点で我々に、支援を送る価値はないはずだ」

「いいや、僕たちはエミド...お前たちの文明から分岐した文明と戦争をしている。......もし彼等との交渉の道があるなら、アルケーシア人のニト、君が役に立つかもしれない」

「では、それまでに記憶は取り戻そう」

「頼む」


僕は頷いた。


「基地のコンピュータの記録では、エミドの情報はない。ただ、吾輩から見るに、そのジェキドという男は、アルケーシアンではない」

「そうか」

「我々は精神を以て人を操る技術を所持していた。インプラントなどで制御する必要はない」

「...成程?」

「だが、不要であったため、データベースにはない。我々の技術は、恐らく...精神を強制的に同調させ、相手に自分たちを“分かってもらう”事に重点を置いているのだろう」


成程。

人は隣人を恐れる。

知らないものは怖く、いつ裏切られるかと怯える。

だが、決して裏切らないと、どんな思想を持っているかを精神を繋げて知ることが出来れば、平和に限りなく近づけるといった思想か。

だが、結果は...


「何故アルケーシアが滅びたかは不明だ。だが、この技術力を持った文明が滅ぶときは...」


ニトは不安そうに俯く。


「内乱、か」

「そうだ。吾輩は...不安だ」

「...そうか」


僕はなんとなく、彼女の頭を撫でた。


「...?」

「不安な時、人はこうしてもらうと安堵するらしい」

「吾輩の知識にはない...しかし...ありがとう」

「ああ。また、ここで」


僕はニトに別れを告げ、アロウトにテレポートした。

エリガードは自動帰還システムで戻ってくるだろう。

まずは、次の戦場に備えなければ...



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