107-そうだ、宇宙旅行行こう
というわけで。
僕らは旅行計画を立てていた。
なぜこうなったかというと。
『どうせ戦線の方はお暇ですし、エリアス様はご旅行にでも行かれてはどうですか?』
と、ケルビスが言ったからである。
エリスもずっとここに籠り切りなのは可愛そうだし、僕らはどこかの国で休養をするのもいいだろう。
.....ただし、顔が割れているオルトスには行けないが。
『いっその事、リゾート地が多くあるクロペル共和国に行かれては?』
『正気か?』
倫理的に見て、戦争相手の国に遊びに行くのは正気の沙汰ではない。
だいいち、僕なら自爆すれば全く問題なく帰還できるが、エリスはそうではない。
多少人間を超えただけの、人間に過ぎないのだから。
「シーシャ、どうだ?」
『候補としては、ホーエンティア帝国、ジスティカ王国、ヘルティエット王国、オーベルン神聖連合、Noa-Tun連邦などが挙げられますね』
「そのうち、僕たちが行けそうなリゾート地は?」
『数万にも上りますが、お二人の趣味嗜好、食事パターンや生活リズムから判断すると、4つの星座に絞り込む事が出来ました』
「聞こう」
星系の集合体を星座と呼ぶので、この場合リゾート地の星系群そのものを指しているのだろう。
『まず一つが、オーベルン神聖連合に存在するディオキア星座です』
「特色は?」
『オーベルン神聖連合では、聖地とされる星系に近く巡礼者が多いため、身分の差がなく様々な観光客が娯楽を楽しむ地となっています』
「成程、身分のチェックも甘そうだな」
身分のチェックが一番面倒だ。
Ve’zの技術があれば、露見しないようにサーバーに割り込み、身分証のデータを偽造することが可能ではあるが、何度もチェックされれば危ない。
「次は?」
『Noa-Tun連邦に現在属していると思われる、元ビージアイナ帝国領のシエラ星系ですね。皇族御用達のリゾート地として知られており、現在は放棄されているものと思われます』
「それは......宝物殿の中の惑星に行った方が安全じゃないか?」
『ですね』
Noa-Tun連邦とは、僕たちがヴァンデッタ帝国を滅ぼした裏でビージアイナ帝国を滅ぼして乗っ取った、未知の勢力である。
ゲートを破壊する蛮行に出ていて、今は他国と分断されてしまっている。
ビージアイナには複数の候補があったが、全てこの連邦とかいうよく分からない勢力の支配下にあって手出しができない状態だ。
そもそも、ゲートを破壊するのだって常識ではあり得ない行為だ、エクスティラノスたちのシールドと同じか、それ以下とはいえ、割に合わないほどの火力がなければゲートを破壊出来ない。
いくらメンテナンス無しで数百万年稼働していようと、その強靭さは変わらない。
「.....まあ、それは置いておこう。次は?」
『ジスティカ王国に属するアルター・ヘルナ星座です。貴族に人気の星系が集中しており、エリス様でも気に入られるサービスを数多く受けられるはずです』
「......高級志向か」
エリスは別に、貴族という訳でもない。
ここで不自由なく暮らしているとはいえ、日課としてはトレーニングや、農業惑星でのケルビスの手伝いなどを行っている。
貴族と同じ扱いを受けたとして、果たして落ち着いてそれを受けられるかはわからないな....
「とりあえず保留だ、次の話を聞こう」
『クールルア星座ですね、ホーエンティア帝国に属していて、国内の二等臣民にも人気のあるリゾート星系のようです』
ホーエンティア帝国は、一等、二等、三等臣民の階級制であるから、二等臣民とは一般家庭という事だ。
三等臣民は、奴隷一歩手前の最下層民だ。
逆に一等臣民は貴族的な立場を与えられている。
一般家庭にも人気である以上は、エリスも気を遣わずに過ごせそうではあるな...
「全て聞いてから決めるのも悪い判断ではない、最後を聞こう」
『セッシハイネン星座ですね、ジスティカ王国に属しており、全体的にプライベートリゾートとして土地の貸与を行なっているようです』
二人きりで過ごすなら、そこもいいか...?
決め切れない僕は、暫く頭を悩ませる。
「......シーシャ、エリスと相談してくる。とりあえずは通常の業務に戻ってかまわない」
とりあえずエリスに見せてみるか...と僕はデータを受け取り、エリスの元へと向かうのだった。
...クロペル共和国のデータを入れたのを忘れたまま。
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