104-攻撃の代償
そして、
ついにVe’z&キロマイア対オルダモン&クロペルの戦場が指定された。
場所はキロマイアとオルダモンの支配領域の緩衝地帯に存在するザルフォード星系。
「ケルビス、今回僕らは一つの制約を抱えている――――理解しているな?」
『はい、攻撃してきた対象以外を破壊しない、ですね?』
「その通りだ。ダウンレイは使うな」
独立散布固定レーザー砲台ダウンレイは、長距離射程と高威力のために、撃ってはならない対象を撃ってしまう可能性がある。
『そうなると、我々にできることはあまりないような気はしますが....』
「今回、参加させているのはエスコート=ノクティラノスとスナイパー=ノクティラノスだからな、スナイパーを防御しつつ、遠距離攻撃で一方的に仕留める。」
『それから、クロペル側の高速艦隊ですが....』
「問題ない、今回はアドラスがいるだろう?」
グラビティエクスリュージョンにより、敵艦隊を近づかせない斥力領域を発生させる。
これにより、両軍の艦隊は容易に近づく事が出来なくなる。
恐らくは、レーザーに関してもある程度弾く事が出来るはずだ。
『はい.....頑張ります!』
アドラスが声を振り絞って叫ぶのが聞こえた。
今回は、指揮官としてメッティーラとジェネラス。
そして、攻撃隊としてノクティラノスが配備されており、さらにその後方でケルビスがキロマイアの艦隊を守っている形になる。
『戦闘開始まで21秒、では。幸運をお祈りください』
「分かっている」
こうして、戦闘が開始された。
事前の規則通り、キロマイアの艦隊が先に攻撃を開始する。
こちらはまだ動かない。
『敵の射撃は、キロマイアに集中しています』
「こちらと事を構えたくないのだろうな」
ヴァンデッタ帝国の件はまだ他国の記憶にも新しいようで、敵は積極的にこちらを狙う気は無いようだ。
だが。
「それでは、いけませんね?」
カサンドラが、ジェネラスに向かって言葉を発する。
ジェネラスは頷く。
『同盟相手が襲われているのは、我々にとって敵が撃って来たのと同義である故。攻撃を、開始』
オルダモン側の、一度でも射撃した対象に対して、スナイパーによる射撃が襲い掛かる。
対象に到達し、貫通せず内部まで通るように出力を調整し、攻撃してこない相手に対しては被害を与えない。
『クロペル艦隊が動き始めました』
「まだ撃つな、敵が射撃した瞬間に反撃する。一部は射撃準備に入れ」
『了解』
クロペル共和国の船は、オルダモンの高速要撃艦よりも速い。
だが致命的な弱点として、個々の攻撃力は低いようだ。
シミュレーションでも、キロマイアのシールドは三発程度撃たないと破壊できないようである。
「だが、キロマイアの射撃精度なら回避には十分か」
オーベルン神聖連合と戦う上でも、回避は重要なのだろう。
クロペル共和国の艦船は全体的に速度と機動性に重点が置かれたものが多い。
「攻撃されるまでは放置する。オルダモンへの反撃を優先せよ」
『『『了解』』』
そもそも、クロペルに関してはこちらも何かされたわけではない。
相手の同盟国に過ぎず、余計な不和を生む必要はない。
『オルダモン艦隊、後退していきます』
『クロペル艦隊、以前前進中』
「クロペル艦隊を捨て駒にするのか?」
僕は少し混乱するが、オルダモンが逃げたところで、クロペルが撃ってこなければ別に構わない話である。
オルダモンに追撃し、彼らが犠牲を出しながらワープするのを見守った。
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