第一話「自分だけ」
始めまして。名もなき神と言います。
初めてなろうで投稿しました。小説書くの苦手ですが暖かい目で見ていたければ幸いです。
よろしくお願いします。
俺は生まれつき体が弱かった。双子の妹はこんな俺とは逆に体が強かった。二階ぐらいの高さから落ちても平気なぐらい。
妹は村の友達とよく庭で遊んでいたりしていた、俺は二階から眺めることしかできなかっけど。
「レイ、昼ご飯持ってきたわよ」「……お母さん俺も、妹みたいにいつか外に出られるかな?」
「そうね、今は無理だけど。いつか大きくなったらイオリみたいに外に出られると思うわ。さぁ、ご飯食べましょ。」
大きくなったらか、無理に決まっている。
4歳の頃に全く同じことを言われた。俺はお母さんの言葉を信じて、ついこの間6歳になって外に出たが無理だった。
息が切れ、視界がくらみ苦しかった。挙句の果て、村の子供達に気持ち悪いと蔑まれ石を投げつけられた。
もう、こんな体嫌だと思った、だがいそれ以上に嫌だだったのは妹が庇い守ってくれた事だった。
そのあと、家に帰ったら俺は両親に叱られ怪我をした妹には心配していた。
「ただいまお母さん!おなかすいた!」「あら、お帰り。お友達は?」「昼ご飯食べにいったん帰った。」
「そうなの。ちょっとまってご飯持って来るわね。」
最悪だ、妹と二人きり。「ねぇレイ、さっきネネちゃんがさ!庭で四葉のクローバー見つけたんだよ!すごくない!しかも4つも!私も負けずに探したけど1つしか見つからなかった。」
やめろ、そんな話聞きたくない。「1つしかないけど、レイに挙げる!早く元気になってあそぼ!」「うるさい!消えろ!どっか行け!」
「……ごめん。」泣き出しやがった泣きたいのはこっちだよ。何が、早く元気になれって?無理に決まっている!
それから俺は無性にむしゃくしゃしていた。
窓に小石がぶつかった、「やーい、化け物!」「えーい化け物!」「消えろ!この村からでてけ!」
まただ、いつものように村の子供が石を投げつけて悪口ばっかり言いやがる。
この時間帯、お母さんは買い物に出かけて家にいないし妹も友達と遊んでいる。お父さんは仕事でいない。
何度も、何度も小石が窓にぶつかり悪口を言われ俺はイライラし外へ出た。
「うぅ……うるさい……!だまりやがれ……」息切れしながら俺はブチ切れた。
村の子供たちはそんな俺をみて、石を投げつけた。「こっち来るな!化け物!」「消えろ!」
俺は、地面に落ちている小石を広い奴らに投げ返した。
「やめなさい!」投げた石はお母さんの後頭部にぶつかった。なんで?
「あなた達、やめなさい!」お母さんは俺に飛んでくる石を受け止めた。どうして?
村の子供たちは逃げて行った。
「レイ!大丈夫!?けがは!頭から血が!」お母さんは自分の怪我より俺の怪我を心配してくれた。
でも、なんで?お母さんも俺を庇うの?「あ、痛かったよね。大丈夫。お母さんが治してあげる。」
なぜがわからないが泣いていた。
それから2年が経った。俺と妹は8歳の誕生日に謎の高熱にかかっていた。
妹は、薬を飲み熱が下がり無事だったが。体の弱い俺は死にかけていた。
「大丈夫だレイ!お父さんがついてるからな!」大雨の中俺を担いで村の病院まで行った。
病院につき医者に診てもらうが駄目だった。そしてお父さんは王都にある大きい病院へと走っていった。
もういいよ、お父さん。発熱が治っても体は弱いままだ。生きても意味がない。
お父さんの服を強く握った瞬間、お父さんは躓き転んだ。「レイ、大丈夫か?いてて」
お父さんは立ち上がり、歩き始めた。
躓いたせいか右足を捻っていた。俺は、そんなお父さんを見て嫌だった。
また俺のせいで、みんな怪我をして。どうして?
やめてほしかった。嫌だった。
――もういい!やめて!
俺は必死に弱い力でお父さんから逃げようとしたが、「苦しいか?大丈夫だ。もうすぐで王都に着く。王都へ着けば助かる。」
無理だった。力を使ったせいか視界が真っ暗になった。
目が覚めると自分の部屋の床に横たわっていた。
「あ、よかった目覚めたね。」見知らぬ男性がいた。
話を聞くと彼は旅人で、偶然大雨の中俺らを見つけて救ってくれたらしい。
「レイ君、これから君の治療のために毎日くるからね。」
死ねなかった。最悪だ。
それから毎日のように旅人が来て治療をしてくれた。
毎回彼は、俺に旅での出来事を話してくれたが無視していた。
そんなとある日だった。
いつものように治療に来て旅の話をしてくると思ったが。
「私ね、小さい頃レイ君と同じように体が弱くて外に出られなかった。でも、今はこのように体が丈夫になり旅ができている。どうしてだと思う?」
「え?」「それはね。夢があるからだよ。」何を言っているのかわからなかった。夢?夢だけで体が弱くなくなるの?
「まぁ、厳密にいえば違うんだけど……。私はね、体が弱いせいで未来が見えなかった。生きている意味がないって思ってた。だけど、旅人に出会った。私は旅人が旅先で体験した素晴らしい話を聞いて心を躍らせて、いつか私も旅をして体験したいと思った。だけど、この体じゃ旅人になれないと知った。だから私はいろんな方法で体を治す方法を探しまくった。そして治った……。何が言いたいかっていうと、私みたいに夢を見つけてそれが原動力となって希望になって生きるってことに繋がってくる。だから、レイ君も夢を見つけでごらん。」「……夢ってどうやったら見つけられますか?」「!簡単には見つからないよ、地道でもいいから何か本とかいろいろと見たり、誰かに話を聞いてごらん。そしたら見つかるはずだよ。あっ、そうだこれ旅先で買ったお守り!あげるね。」
旅人からもらったものは綺麗な色をした水晶のブレスレットだった。初めて見た綺麗なものだった。俺はそれに心を奪われ。
「あの、もっと旅の話聞きたいです。」
それから俺は毎日のように目を輝かせながら旅人の話を聞いた。
旅人の話はものすごく心がわくわくした。知らない街、知らない大地、聞いたことのない言葉、沢山の知らないを聞いた。
俺は寝る時にも話を思い出したりしていた。
でも、そんな毎日は続かなかった。
「ごめんね、レイ君。今日で君の治療は終わった。だから明日にはこの村をたつ。」
「ねぇ、もう少しいてよ!おれ、まだ聞き足りない。」「ごめん。でも、最後に私が旅する目的を話そうか。」
「目的?」「アストラ村って言う村は知っているかい?」初めて聞く村だった。「その村はね、大きな穴の開いたドーム状の空間の中にある村でね。毎晩空を見上げるとものすごくきれいなんだ。無数の穴から見える星空、そして穴から月の光が照らされてものすごく神秘的で。それに海と面しているから海の音が聞こえて気持ちいいんだ。」
俺から見た旅人の目は寂しそうだった。「私はその村へ行きたいんだ。二人と約束したから。」旅人は首にかけてる袋を軽く握った。
「私には、奥さんと君と同い年ぐらいの娘がいたんだ。二人に約束したんだ、私が生まれた村に行ってあの景色を家族で見おうって。でも、その前に亡くなってしまった。この中にはね二人の遺灰が入ってるんだ。必ず、村に行って約束を果たす。それが旅をする目的。」
「あの、なんで?村の出身なのにどうして旅をする必要が?」「村はもう消えてしまってないんだ。」
「どういうこと?」「村ごと地形がえぐられてしまってね。でも、1回だけ見たんだ。知らない場所で村を!だから私は世界中旅して見つけ出す!」
次の日旅人は村をたった。
あれから俺は夢を見つけた。俺は夢の為にまず体を治す方法を探していた。
「本でも、分からないのか。」溜息をつき本を閉じた。「外、うるさい」俺はイラついていた。
庭から聞こえる妹の声が焦らせてくるからだ。俺は窓を閉じ眠った。
夜目が覚めた。暑苦しいかった。俺は一階までおり水を飲みに向かった。息を切らしグラスに注いだ水を飲みほした。
「レイ!大丈夫!?」最悪だった。妹がいた。イライラした。
ドサッと妹はレイの腕を強く握った。「やめろ!触るな!」と腹が立ち手に持ったグラスを妹に投げつけた。
妹は、泣きそうになるが離そうとはしなかった。「なんなんだよ!」「逃げるよ!」と言い、妹は俺の腕を引っ張り走りだそうとした。
「ちょっと、待てよ?何言ってるんだお前は!?逃げる?なんで?」「逃げないと……殺されちゃう。」「何言ってるだよ?」
「分からないの!?いきなり家の中に知らない人たちが入ってきて、私殺されそうになってお母さんが奴らを倒したの。でも……お母さんがレイ連れて逃げてって言ってどっか行っちゃった。だから逃げる。」「お前、ほんと何言ってるんだ。……は?」室内が暗かったからわからなかったが室内に知らない人間の死体が横たわっていた。そこでようやっと理解した。
それから俺は妹に引っ張られて家を出た。外へ出ると、村は燃えており地面には大量の死体が横たわっていた。
視界が歪み、異様な臭いで吐きそうになっていた。それでも、妹は必死に俺の腕を引っ張り逃げていた。俺は限界になり意識を失った。
次に目が覚めた時は地面の上だった。体が動かなかった。
燃え上がる炎の中、複数の人間と妹が対峙していた。「なんだあれ?」妹と思しき人は背中に大きな翼を生やしていた。
妹は必死に俺を守るように戦っていた。俺はその光景にイラついていた。あの時と同じじゃないか。また俺を守るために傷ついて。
「やめてくれ!」何もできない俺はただた唇を噛みしめながら見るしかなかった。
それから妹は力尽きた。奴らは妹に近づき殺そうとした瞬間お母さんが大きな翼と大きな手で奴らを薙ぎ払った。
「母さん……」お母さんは妹を担ぎ誰かに受け渡していた。「あなた、レイもよろしく。」妹を担いだ人は俺に近づき持ち上げた。
「父さん……」お父さんは俺らを担ぎ走り去ろうとした。「父さん、母さんは?ねぇ。」お父さんは答えなかった。
俺は、力を振り絞って藻搔いた。「父さん、とまって!」たまたま足が父さんの顔に当たり、俺は地面へ落下した。
地面を這うように、お母さんのもとへ行った。「母さん、かあぁあさん!」俺は泣きながら叫んだ。
俺はここでようやっと理解した。あの時どうして泣いたか。うれしかったんだ、お母さんに心配してもらえて守られてうれしかった。でも本当は、苦しかったんだ俺のせいで傷ついてまでも守ってくれたことが。「母さん!一緒に逃げよ!ねぇ!」戦いながらお母さんは振り向いた。届いたと思い、うれしかった。でもお母さんは悲しそうな眼をして「ごめんレイ。生きて。」届かなかった。そして俺は再びお父さんに担がれた。俺は必死に手を伸ばし続けた。だんだんとお母さんの背中が小さくなっていった。
翌日、村には襲ってきた奴らはもういなかった。そしてお母さんの姿も。
俺らは帰ってくると思い待ち続けた。でも、帰ってくることはなかった二度と。
母さんが死んだ。
死んだのは誰のせいだ?俺のせいだ。俺が弱いからだ。だから守られなきゃいけない。
どうしたら、母さんは死ななかった?
頭に小石が当たった。
簡単じゃないか。俺が我慢すればいいだ。そうしたら、妹や父さんや村の人まで傷つかずに済んだ。
我慢すれば誰も傷つかずに済む。
「自分だけ傷つけばいい。」
最後まで見てくださりありがとうございます。
次回の投稿は10月2日~6日の間に出そうと思います。
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