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ネズミ男? × 植物園? 2

「え? あれは?」

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

緑色の大きな蛙? の背中に、大きな深紅の花が生えている。まるで冬虫夏草のカエルヴァージョンといった姿をした生き物。そして、その隣で澄んだ瞳で、今にも踊りだしそうな笑顔で、南国の島国にいる女性が身に纏うこしみのの様な衣装を身にまとった、全体的に緑色の生物が仲良く並んでいる。


「あれはフシギバノとキレイハノです」


「両方とも大きな花ね。え? フシギバノにキレイハノ? 何で? ハノって何よ?」


「この屋敷ではそうなります。それにもしハナにしてしまうと、とあるゲームの登場モンスターと同姓同名になってしまい、いけないんですよ」


「どう見ても花じゃん。納得いかないわー……ここって花の間って言う位だしさハナでいいじゃん。しかし、その名に恥じない大きさね。ちょっと失礼するわね?」

そう言いつつ、二つの花たちのおでこを触ってみる。これはあのスキルを使ってしまっているな……


「な、何をなさっているのです?」


「サーチ終わりwフムフム、個体値も【さいこう】が4つから6つ位は有りそうね……性格もフシギバノはひかえめでキレイハノはおくびょうか……攻撃の値はいらないから、彼らの種族値ともマッチしているわ。しかもモケルスも付いているみたい! 成長も申し分ないわね。遺伝技もしっかりしたのを受け継いでいそう…… ポインツアップも使ってあるし、技も沢山打てるわね? この子達のトレーナーは凄腕のトレーナーだと予想するわ。そんなトレーナーが育て優秀なのに……何でこんな辺鄙な屋敷で燻っているの? リーグに出ても遜色ないのに……とっても不思議……そして綺麗……」


「な? なにをなさって?」 


「私ね、生物のステータスを見て、その個体値を評価する力があるのよ!」


「な、何ですかそれ?」


「まあかなり消費するけどね。今ので300使っちゃったw」


「ま? 299も? って何をです?」


「300って聞いたら何で299になるのよ!! まあいっか1くらい……MPの消費量よ! この特技、兎に角燃費が悪くて困るわ。これでも熟練度が上がって消費は10だけ下がったのよ? 元々160なんだもんw 酷い特技よねwww」


「MPですか? 私もそこそこありますよ?」

ぬ? 何故ここで張り合うのだ? ぬう、だがMPが高いと言う事ならもしやこの男も何か意外な特技があるのか?


「へえ、で、その特技でこの子達を【視た】の。そしたらいい能力が見れたわ。御馳走様! いい能力を見ると脳が満たされる気分になるのよねー。みんなありがとね♡」


「バナバナー♪」

のしのし すりすり


「ロッテリアロッテリア♪」

トコトコ すりすり

なんとフシギバノとキレイハノが機嫌良さそうにアリリにすり寄ってくる。アリリに褒められたと言う事実を理解出来ていると言う事なのか? 賢いな。これは相当【とくこう】が高い子達なのだろうな。


「わあ二人ともいい香りい。そしてお花なのに物凄い大きいわね!」


「バナー!!」


「ロッテリア!!」


「ああ! 褒められて喜んでくれていますよ! こりゃ珍しいですよ!! 滅多に鳴かないんです。なのに二回も鳴きましたよお?」


「うわあ、意思があるんだこの子達♡やったあ意思疎通出来たああ♡」

ナデナデ ナデナデ


「良かったですね」

チチチチチ


「あらあ? 小鳥さんも近寄って来たあ♡」


「ま? アリリちゃんモテモテですねえ」(私には見向きもしないのに……なんでだ?)


「おいでおいでww」

くいくいっ 

小鳥に左手の甲を向け、人差し指を折り曲げて誘うような動きをするアリリ。

ぬ? その動きに反応したか? アリリの元に小鳥が舞い降りて来た様だ。アリリの顔付近まで近づいて来る。すると……


「ピィピィ」

ギュン! サクッ♪

---------------------------first battle start--------------------------

Alisa VS Mukubirdchan

「え? あらあらこの子ったら♡あ、痛たた♡」

じたばたじたばた

両手両足を振り回し喜ぶアリリ。


「ピイッ、ピピイッ!」

ほほう、小鳥はアリリの眼球目がけ、その幼き小さな鉤爪で攻撃をしている様だな。ウム。この子も、


【このままではいけない。強くならなくっちゃ】


と、弱そうなアリリを標的としてレベルアップを図っているのだな? 賢く、そして心が強い鳥だ……更には向上心の塊であると言える。何と言うかその……彼の成長をずっと見守りたくなる様なほのぼのとした光景であるな。


「コラ! ムクバアドちゃん!? アリリちゃんの眼球を、アリリちゃんの許可無しで攻撃しちゃ駄目だよ!」


「イヤピピピピピィ!」

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

全身を使い、反発の意思を見せつつ攻撃を続けるムクバアドちゃん。彼の中でこいつは弱い割には良い経験になると判断したのであろう。

モケポンでも、動く草むらに時々出現するタブンネェの様に経験値が高い割に弱い種族だという事を本能的に察した様だ。賢い鳥だ。

サクッ サク

「いたい♡いたいよ♡♡」


「お? い、今イヤって喋った? ま? 日本語を覚えたんだね? すごいよお!」

サククッ サククッ


「痛い! もう止めて!」

ポタポタ

アリリの眼球から少量の血が目からこぼれてしまう。ぬう、このままではアリリが危ない! だが、語り部はここで様子を静観しながら語る以外の事は一切出来ないのだ。一体アリリはどうなってしまうのだ?


「バナー!!」


「ロッテリア!」

なんと! アリリのピンチに先程の二体が助太刀に来た!?


「お、お前ら……さっき知り合ったばかりの私の為に?」


「バナ」


「ロッテ!」

二体は静かにうなずく。


「でも奴はひこうタイプだぞ? お前はくさ/どくタイプ。そしてお前はくさ単体。どちらもタイプ相性表的にも不利なんだぞ? お前らでは勝てない……犬死にだよ……」


「バナ!!」


「ロッテリ!!」

首を横に振りアリリの制止を振り切る。彼女の為に命を掛ける事も厭わないよ! と言わんばかりの表情のフシギバノとロッテリア。


「そうか……分かった! 絶対勝つぞ!!」


「バナ!!!」


「ロッテリア!!!」


「ピ? ピピィ……」

一気に形勢逆転し怖気付くムクバアドちゃん。すると……!


「ちょっと! アリリちゃん? 3対1じゃないか! ずるいよ!」

なんと!! 市田がムクバアドちゃんの側に加勢する!!!!


-----------------Additional member battle start----------------

Alisa&Mysteriousflower☆new☆&Beautifulflower☆new☆ VS Rinai itita☆new☆&Mukubirdchan


挿絵(By みてみん)


「よおし! ムクバアドちゃん! キレイハノにつばさで欝だよお!」


「ピイッ!」

市田の的確な指示でムクバアドちゃんのつばさで欝がキレイハノを捉える! 市田は優秀なトレーナーの様だ! むう、こりゃあ手強いぞ!


「くう流石に素早さ種族値が高いだけあって先制されちゃうかあ……ロッテリア! 生きてるか?」


「ロッテリ―( ;∀;)」

効果は抜群の技に痛そうな顔をしている。


「そうね……じゃあ……こうごうせいで回復して!」


「ロテ!」


「えーとフシギバノはあの鳥を何かしらの技で焼き鳥にして!」

ぬ?


「バナ……! バーナー……」

その不的確であやふやな指示に、フシギバノは混乱してしまう。言葉でバーナーと言ってはいるが、炎が出るあのバーナーではなく、困惑している時に出てしまったため息の様な意味合いなので、炎は当然出てこない。そして、くさタイプのモケポンで相手を焼き鳥にするような技は存在しない。まあ、アリリも今は血を流し過ぎてまともに思考出来ないと言う事だろう……


「よし相手はひるんでいるよお? 今度はあ、フシギバノにつばさで欝だ!」


「ピイッ」

バシィ


「バナー」

バタッ


「もういい! 私の負けよ……」

まだ両方ひんしにはなっていないが、これ以上やっても無理と判断し、敗北宣言をするアリリ。


「バナー……」


「ロテ……」

申し訳なさそうにする2体……それを見てアリリは


「ナイスファイト! ドントマインド!」

---------------------------------------------End of battle-------------------------------------------

Alisa&Mysteriousflower&Beautifulflower Lose……

0経験値 0G獲得

♪テテテテーン♪

ぬ? 何だ? この効果音は?

「私たちの勝利だね!」


「ピ?」

おや? ムクバアドの様子が?


テンテンテンテン、テンテンテンテン↑ テンテンテンテン、テンテンテンテン↑

「あっ、この単調であるけれど一生耳に残るこの曲は? え? ムクバアドちゃん? ま、まさか? 進化する?」


「び、BBBBBBBB……ハァハァ……BBBB……」

どうしたのだろう? 目から溢れる血を左手で抑えつつ、突然Bと言うアルファベットを連呼するアリリ。


「な? 何を言ってるの? アリリちゃん?」


「いえ? 蜂の大群がいたから慌てて言っただけよ……ふうふう……痛てえよ……」


「ま? 七の大群なんてどこにもいないよ!?」 


「あら? そういえばそうね……こんな自然豊かなのに蜂だけって? 七って何よ!!」


「七は七だよお」

恐らく蜂の事を言っているのだろうが、何故七で通じると思って発言したのだ?


「ああ、蜂の事でチュウ。何故か市田さんははちみつが嫌いなんだピカ。で、蜂だけは飼わないって頑なに断るんでチュウ」


「へえ、でもはちみつ美味しいよ?」


「味とかは関係ないんだよ。はちみつは逆に変えられる箇所が多くてどこを変えるかが毎回変わってさあ……混乱してしまって嫌いなんだ」

ほう?


「え? 毎回変わる?」


「おうよ! 例えばななみつだったり、ハチニツだったり、ハチミワンだったりさ。色々変えられるからさ、一昨日はハチニツって言っていたのに、昨日はななみつって言っちゃったりしてさあ……ころころ変わっちゃって気持ち悪いんだよお」

なるほどなあ……え? どゆこと?


「分からないよ……ハチミワンて……何でそうなるのよ……」


「一度決めた呼び方でなるべく統一したいんだよお」


「もうええわ」


「ま? そうかい? でもさあ多分だけどそれを言ってはいけない気がするんだ!!! キャンセルされちゃう……あれえ? 自分で言ってみた物のキャンセルってなんだあ?」


「ううん? 市田さん? キャンセルで合ってる。正確には進化キャンセル。昔何かのお話で見た記憶があるの! カメLだっけか? そいつがカメXになろうとしたのにキャンセルされてて周章狼狽(しゅうしょうろうばい)して取り乱してたwその絵本の拙い文面からでも、カメの焦る顔がありありと思い浮かべる事が可能で、最高の時間を過ごせたのwだから……BBBBBBBB!」

目から流血しつつも、お約束を果たそうとする健気なアリリ。


「なる……って! そこまで分かっていて敢えて進化を妨げるんですか? 愉快犯じゃあないですかあ? 鬼! 悪魔! もし自分がやっと進化出来ると思った時にそれされたらどうするんです? 人が嫌がる事を平気でしようなんて……鬼畜の所業です! 絶対に駄目ですよ!」


「でっ、でもキャンセルする事で早く技を習得出来ると言うメリットもあるのよ!」


「で、ですが……キャンセルせず適正レベルで進化したと同時にしか覚えない特別な技もあるんですよ? もしキャンセルして次のレベルアップで進化した場合は覚えられないと言う期間限定の特別な技も! ムクちゃんはそのタイプだったかと……うろ覚えですが……」


「ピイイイ!」

おめでとう! ムクバアドはムクホウクに進化した! 

♪てーてーてーてててててててーん♪


「あららあ? 進化したみたい? Bが足りなかったみたい……てへ(〃▽〃)」


「ピイ!」

ピコーン!

【ムクホウクはイソファイトを覚えたい! しかし、技が一杯で覚えられない。何か忘れさせますか?】


「ピィ!」

【1,2のポカン ムクホウクはつばさで鬱を忘れ……イソファイトを覚えた!!】

「あっ? コラー! ムクバアドちゃん! 勝手にそんな大技を覚えちゃダメだよッ」


「あらあらw キャンセルさせた方が良かったんじゃない? この子、君が言っていた通り、進化と同時に覚えるタイプじゃん」


「そうですよ! ……? アリリちゃん? 年下の子に君って言われるのは何か嫌な気分になるよお? 止めてくれよお?」


「でも、今は文字を節約しないと……ハアハア……1文字喋る度に0,1カロリー消費する訳。君だと2文字だけど、市田さんだと5文字。分かる? 後者の方を繰り返せば……死ぬ……ゼイゼイ……」


「わ、分かりませんよ! ですがこの記憶力どうですか? 見事覚えていましたよ! でもその技が寄りにもよってイソファイトですか……その技さ、たった5回しか使えないんだからさ! それは対戦用だよ? 旅用パには向いていないんだよ! それに今忘れた技はもう既にポインツアップで最大まで上げていたんだよ? コストパフォーマンスは偉大なんだからさ。これじゃ格闘に耐性のある虫モケポンを倒せなくなっちゃうじゃないか全く……いつも、ムクバアドちゃんは一つ足りないんだから! あ、もうムクバアドでは無くムクホウクか……また失敗してしまった。まあそこが私の欠点でもあり良いところでもあり、君の欠点でもあり良いところでもあるから仕方ないか……許すよ」


「ピピイ……」

ヴァサッ……ヴァサッ…… 

市田に叱られると悪い事をしてしまったんだと察知し、すごすごとお空に飛び立つお利口さんなムクホウク。皆さんも気付いたとは思うが、その姿はかつての頼りなきムクバアドからは想像も出来ぬ程に力強く、頼もしい羽ばたきなのであった。すごいたくましいぞ! 私達は今、生命の神秘。生き物の可能性を目の当たりにしたのだ!! 感無量である!!


「ああ……進化したんだ……ついに……良かった本当に……お役に立てたようで恐悦至極ですわ。誠におめでとうございます! で、でもちょっとワンピースに血痕が付いて苺みたいになっちゃったよ? いいえ? い血ごね。い血ご模様が少し増えたわ。もう♡折角お風呂に入ったばかりなのにまた汚しちゃった♡」


「駄目ですよ? 汚してしまっては! はぁ……全くアリリちゃんは駄目な子ですね! まあそこが一つ足りなくてアリリちゃんの欠点でもあり良いところでもあるんです。誇りに思って下さいね?」


「グギッ……き、肝に銘じとく……」

肝に銘じる……か……だが如何に肝に銘じようが鋭い鉤爪で目を切り裂かれれば出血は発生するな? 目を、目の主成分であるコラーゲンから鋼にマテリアルチェンジしなくては肝に銘じようが再び攻撃される事で必然で出血はする。それでは駄目であろう! そんな事が出来るのは明日吐露(あすとろ)ンを使える勇者だけ。アリリに出来ようもない。いい加減な事を言う物ではないぞ? しかし普段から、目玉をへし折る目玉をへし折る言い続けているお陰で逆に自分が鉤爪でへし折られそうになっておる。皮肉な物だ。これぞ正に因果応報とでも言うのだろうか? 恐らくそんな事を口走らなければ目以外を攻撃された筈なのだ。鳥がピンポイントで目を狙うなんて本来しない筈だからな。


「な? そういえば今アリリちゃん苺を言い直していませんでした? 何で言い直したんですか? ど、どういう事なんでしょう? 私にはその違いが分かりません」


「だ、大丈夫。これは読者さんに向けてのアレだからハアハア……」(痛い、痛すぎる……何でこのおっさんこんなに執拗に聞いて来るんだ? 別にどうでもいいだろう? 勘弁してくれよ……こんなに辛い時に延々と……もう質問攻めは止めてくれよ……)

ポトポト……

普段質問しているアリリが逆に質問攻めに会い、その鬱陶しさを初めて気付く。そう、いくら知りたいからと言っていつもいつも質問する癖。本人の知的欲求を満たす事は出来るが、余程相手に余裕が無い時にそれをやってしまえば人間関係にひびが入る。それを今偶然分かる事が出来た様だ。まさに怪我の功名だな。おめでとうアリリ!


「読者さんですか? それは一体?」


「良く分からない……」

ふらふら


「そうですか……しかし読者って……なんか神々しい響きで完璧過ぎてあまり好きな響きではありませんねえ……ですが、苺が増えたんですよね? 本当ですか? なら……良かったです……!」


「良かった……のかな? まあ良かったんだよね?」


「そうですよ! 増えたんですから!」


「だよね……クッ」

ぽたぽた

床にアリリの血が滴り落ちる。かなりの深手を負ってしまった様だな。まあいい。そしてアリリは目を押さえ、足もふらつきながら敗残兵の様に花の間を後にする。


「どうです?」


「ふうふう……大体分かった。次、行きましょう36」

眼球から流れた血を、タオルーズの二枚組タオルで拭いつつ部屋を出るアリリ。


「はい……? さんじゅ? 36? 何ですか? それ?」


「次は……どこ?」

質問には答えない。


「はい! (何だ……問題ないみたいだね。でもアリリちゃん目を……うーん、そうか……じゃあ次の部屋はこっちにするか)……こちらです」

10歩位歩き、花の間の隣の部屋に案内される。するとその途中、丁度2つの部屋の中間点の壁際の床に、皿の上に乗った黒くて四角い物が置いてある。


「ふうふう……あら? これは?」

負傷していても気になったら絶対に質問するアリリ。例えその質問をする事で体力が消耗し死んだとしても質問を優先する。


「羊羹です」(お、食い付いてきてくれたぞ。よし!)


「羊羹が洋館に?」


「そうですヒヒヒwヒィヒィ……苦ヒィ……(まずい! 面白過ぎてこれからアリリちゃんを笑わせる立場の私が笑い過ぎてしまった……)はい。ここだけでなく、あっちこっちに設置しています。(お? 笑っていない? 聞き逃したのかな? いや、しっかり聞いてくれた筈。なのに笑っていない?? フム……まあいいや。ここからが、ここからこそが本番なんだから……! よーし! 気合入れていくぞー! おー!)ええと、これはですね、探索に迷ったお客様が空腹で倒れない様に設置された非常食ですので、もし空腹になったら、遠慮なさらずに、洋館の中に空腹で倒れない()()えて設置されている羊羹を、()()()()で召し上がって下さいね。このアイディア、ある熱い()()()()で来たアイディアです。

後この羊羹、ゼラチンを多めに配合させた特別製ですので、歯ごたえが抜群なんですよ! 咀嚼(そしゃく)が多くなければ飲み込みづらいのです。咀嚼を多めにしていただき唾液も沢山出て、顎の周囲の筋肉を程よく鍛え終わる頃にようやく分解出来るように特注で作らせております! そうです! お客様の健康の事まで配慮しているのです! ()()()えた物でしょう? その見事なアイディアにアリリちゃんも高()()を覚えた事でしょう。後、薄暗くて見えにくいですが、ネズミ避けに透明なカバーで保護されているので、完全に安心です()()()璧でしょう? カバーは人間なら簡単に開けられます」

市田は必死に羊羹と同じ響きの部分を()調()して喋り、羊羹関連の駄洒落を今言っているんだよ! と、言う事をアリリに必死に伝えようとしている。何と言うか……必死過ぎて寒いな……面白さを伝えたいと言う気持ちは伝わってくるが、過剰にそれを行うとそれに気付き笑えなくなる時があるのだが……市田と言う男はそういう事はお構いなしである。


「……」


「ピクリともしない? 聞いてました」


「もちろん」


「何か感じた事とかは無いんですう?」


「無いけど?」


「で、ですが、今物凄いウィットにとんだジョークがいくつもいくつも出たんですよお」

自分でそれを言うでない。


「そう……まあいいわ……余りにも長くてくどい話は読者さんにも辟易されるから二度と言わないでね……ゼイゼイ……」


「そ、そうですね」(そっかあ今どんなに面白い事を言っても無駄な状態だったなあ……この一つ抜けてるところが私の欠点でもあり良いところでもあるんだ……)


「さあ、私の体力も残り少ない。早いところ次に行きましょう……あら?」

チョロチョロ……

ぬ? 後ろをふと見てみると、何故か花の間にいた住人も後を付いて来る。


「あれ? 何で君まで付いてくるの?」


「ちょっと他の部屋もどんなリアクションをするのか興味があり……いえ、何となくでピカ」


「別に部屋にすっこんでればいいのに……」


「な? でも賑やかな方がいいんじゃない?」 


「そうでチュウ。邪魔しませんから置いてピカ」


「まあいいか……ゼイゼイ」

ふらふら~


ひょんな事から屋敷について評価する事になったアリリ。一通り見た後、36と言う謎の数字を残す。

この数字の意味とは? 次の部屋には一体何があるのだろう? そして、どんな部屋主が待っているのか? 更にはムクバアドちゃんにやられた眼球の怪我の完治はするのだろうか? 弱る体力、そして追い打ちを掛けるように縮む身長、そしてまだ見ぬ6つの部屋、果たして最後までその短い足で周る事が出来るのか? それとも途中で力尽き帰らぬ人となるのか? 益々目が離せなくなる展開にwktkが止まらない! 次回も必ずCheck it Outである! 決して見逃すでないぞ!! その為にもお手元にあるブックマーク登録ボタンをおおおおお? ……全力SMASHだあああァ!

ヒロインが小鳥の鉤爪により眼球を負傷をしてしまいました。いつもへし折るへし折る言っていたせいで逆に自分の眼球が……? 口は災いの門ですね。大丈夫でしょうか? 

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