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夢だからといってなんでもしていいわけじゃない

理解が追い付かないというのはまさにこういうことなのだろうと思った。頭がこんがらがって何もまとまらない。なぜ美冬が俺を?今のはキス?


ファーストキスって案外簡単に無くなっちゃうものなんだなぁ。


呆然と立ち尽くす俺を尻目に無情にもエレベーターは扉を閉めた。乗り込んでくる人がいなかったところを見ると上の人がエレベーターのボタンを押したのだろう。急いで開くボタンを押して飛び出る。しかし、そこにはもう美冬の姿は無かった。あの一瞬でどこへ行ったんだ。辺りを見回すが、やはりその姿はない。


これは夢だったのではなかろうか。いわゆる白昼夢というやつだ。それなら簡単にこの状況に説明がつく。白昼夢ってどうやって目覚めればいいんだろう。呆然と空を見上げると晴れやかな太陽が俺を照らしくれた。眩しいぜちくしょう。


あ、古典的だが頬をつねってみようか。痛みがあればうんぬんかんぬんだろ。そう、手を挙げた時に痛みは思わぬ方向から現れた。


「見つけた!!!!!」


背中にどんっという衝撃の後、俺は前方へよろけた。後ろを振り返ると東と秋野が立っていた。


「心配で追いかけてきちゃいましたよ」


これが白昼夢ならば今の衝撃で目覚めていたことだろう。しかし、今回の一連の出来事がもし白昼夢なのであれば今目の前にいるこの二人も夢の一部ということになる。それならば。


「東、悪いが俺を蹴ってくれないか」


「へ?」


「秋野、できる限り俺を罵ってくれ」


「え?」


「俺にできうる限りの暴力を振るってくれ!!!!!」


「なに言ってるんですか!!!」


商店街の真ん中で自らの性癖を公然で披露する男がそこにいた。男らしいと言えば男らしいが、その姿は変態以外の何物でもなかった。通報されたとしても甘んじて受け入れよう。しかし、これは夢だ。夢の中ならばなにをしてもいいだろう?


「ちょっと藤宮さんこっちに!!」


四つん這いになった俺を抱き起す東。強引にその場を離れようと奮闘するが、しょせんかよわい女の子だ。大の男一人を己の力のみで移動することなどできようもない。体はみるみる密着し、そのたわわな二つの実は俺の体で押しつぶされている。


おいおいおい、そんなにしてもいいのかい?いつも目の前でぷるんぷるんさせやがって。いつかそのおっぱいを揉みしだいてやると思ってたんだ。夢の中ぐらい俺の自由にしていいだろう?


俺は顔を真っ赤にするぐらい踏ん張っている東のおっぱいを鷲掴みにした。止まる時間。柔らかな感触。思わずにやける顔。すごい。おっぱいってこんなに柔らかいんだ。どうせ夢なんだから感触は俺の想像なんだろうけど、これはすごい。一生触っていたくなる。おっぱいを触ったまま死にたい。


そんな夢心地も一瞬。俺の頬に強烈な一撃が見舞われた。体が後ろへ飛ぶ。すぐにそれは東から放たれたビンタだと気付いた。


「まだそこまで許してません!!!!!」


東は胸を抑えながらこちらに怒鳴っている。おっぱいもビンタもすごくリアルだなぁ。現実みたい。


「ふんっ!心配して損した!!」


東は憤慨して商店街の奥へと歩いて行ってしまった。それを見かねた秋野が脇に座り込む。


「なにしてるんですか先輩」


「え、え?」


「あんなに怒る千夏ちゃんは久しぶりに見ました」


「そ、そう」


「なんであんなことしたんですか?」


「え、でもこれって夢じゃないの?」


「なに言ってるんですか、現実ですよ」


「あ、あ・・・」


「ちゃんと謝るんですよ」


「は、はい」


「じゃあ、私たちはここで」


「先輩も気を付けて帰ってくださいね」


秋野が東の後に続く。


俺は家に帰ったあと、二日寝込んだ。

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