第一話 はじまり
はじめまして!初投稿です!
拙い文ではありますが、最後まで読んで頂けたら嬉しいです。
光に包まれた彼は最後に一言、こう言った。
「またいつか、会える日まで」
〇
とある世界のとある場所。白砂の上に建つ一つの街があった。
通称〝ガラスの街〟
近くの砂地で取れる砂を使ったガラス工芸が有名で、遠くの街にもその話が伝わるほどの良い出来だ。また、街全体が白い壁でできた家におおわれているため景観が良く、観光客や工芸品を買いに来る人がたまに来ている。
その街の中で、特に出来の良いものを作る者がいた。
彼の名はシエル。今年十五になる少年だ。主にステンドグラスを作っており、街の中心にある教会へと献上するほどの実力を持っている。
今日も、彼は自身の工房でステンドグラス作りに励んでいる。
ガラスを切ろうと、カッターを当てた時……。
バンッ
「シエルちゃーん!!」
「どわあっ?!」
突然の大声に、シエルは思わず手に持っていたカッターを落としてしまった。集中している時に大きな音が鳴ると、どうしてもビックリしてしまう。
「もう……。いつも静かに入って来てって言ってるじゃん、おばさん……」
「あら、そうだったかしら? まあ、そんなことよりも~。はい、これお裾分け」
まだドキドキする胸を押さえながら、シエルはずっしりとしたバスケットを受けとった。
「いつもごめんね……。こんなに持ってきてもらっちゃって」
「いいのよ〜! いつもシエルちゃんには良くしてもらってるしね。この前貰ったステンドグラスのブローチ、あれ近所の人にも褒められたのよ~」
「端材で作ったやつだったのに、気に入ってもらえて何よりだよ」
作ったものを褒められるのは凄く嬉しい。口角が上がっているのを感じながら、バスケットの中身を覗き見る。
その中にあるものが入っているのをシエルは見逃さなかった。
「……っ! おばさんこれ!」
「おや、早速見つけたかい。昨日キャラバンが来ていたでしょ? その中に飴細工を売っている商人がいたんだよ。あんた、そういうキラキラしたの好きだろう?」
「うん! 大好き……! おばさんありがとう!!」
食べるのがもったいないな、と思いながらキラキラと輝く月の形をした飴細工を眺める。月も大好きなシエルにとって、最高のプレゼントだった。
「じゃあ、あたしもそろそろ家事をしに戻らなきゃ行けないからねぇ」
「うん。じゃあ、またね! 飴細工ありがとう!」
「いいってことよ~」
おばさんが帰っていくのを見ながら、作業の続きをしながら飴細工を食べようかと考えたシエルであった。
〇
ガラスの街中央 教会にて
聖堂の奥に置かれた、ガラスでできた宝石のオブジェが、突如光を放って浮かび始めた。
それにいち早く気づいた聖女──デボラが聖堂中に響き渡るような声で叫ぶ。
「神託です!」
その声に、聖堂にいたもの全てが反応する。
「神託だ! 聖女様が信託をお受けになられる!」
一人の神官の声に従って、その場にいた多くの者が跪いた。
聖女はオブジェに向かった。暫くすると、彼女は大きく目を見開いて額に手を当てていた。神託を聞けるものは聖女しかいない。そのため、他の神官たちは聖女が何を聞いているか分からない。
おそるおそる一人の神官が聖女に近づく。彼女は息を整えてから、震えていながらも芯を持った声で話し始めた。
「まもなく、厄災が訪れます」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
まだ始まったばかりなのでこれからの展開がまだまだ謎ではありますが、次回もよんでいただけると嬉しいです。ぜひ、シエルくんを応援してください( *´꒳`*)