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第5話 『スーツとピアス、ときどき筋肉』

半ば無理やりきせられた白ワイシャツと黒スラックスは大学生には馴染みがなくソワソワしてしまう。


「サイズぴったりでよかったよ。うちはね、この通りスーツを制服にしてるんだ。」


シュンさんは、ぼくの格好に加えて細い黒ネクタイに黒ジャケットを羽織ってきっちりしていた。


「うちのボスの意向でね。ちゃんと礼節を重んじる人だから失礼のないように気をつけてくれよ?えっと〜」

「あ、優馬です。武羅 優馬といいます。」

「優馬くんか。うちはね、みんな愛称で呼び合ってるんだ。僕みたいに本名で呼ばれる人もいれば、シルビィみたいにあだ名で呼ばれる人もいる。優馬くんはなんか今まであだ名とかあった?」

「い、いや特にそうゆうのは、、、。ふ、普通にユウマでいいです。」

「そっか、じゃあ改めてよろしくねユウマくん。」

「あ、はいっ。」


そんな話をしながらシュンさんに付いて歩いて行った。

建物は白を基調にしており新築を思わせる綺麗さだった。

壁と床はセラミック?のような素材感で、金属で出来た似たような扉がいくつもあり、二度とさっきの病室には戻れないだろう。

スーツを着た数人ともすれ違ったが、中にはシルビィさんのような白衣を着た人もいた。


そして一つの扉の前でシュンさんが止まり、ノックを3回。


コンコンコン


「シュンです!」

「入いれ!」


中からは図太い男の声がした。

扉が開くとそこには筋肉がいた。

いや、訂正しよう。

筋肉の塊かのような男がこっちを見ていた。

筋肉の膨張をスーツで押さえつけているのかと思わせるパツパツ感に、ジェルで上げられた黒髪。

ヤリ手のビジネスマンを彷彿とさせる雰囲気で、それはそれはぼくの苦手な雰囲気であった。


「やぁやぁ!君がお嬢が拾ってきたと言っていた少年か!」

(お嬢って誰だ?)

「ふむ、元気そうだな!君、名前は?」

「はい。ユウマといいます。」

「ユウマか、良い名だな!シュンからこの世界の説明を聞いたと思う。色々混乱しているだろうが、大事なことは”全て自分で決断し行動すること”だ!一度死んだのに誰かの言いなりになってなってる場合じゃないからなっ!ハッハッハ

それで、どうしたいと思っている?」


さっきまでの勢いに任せた呑気な表情とは一変し、鋭い目つきで質問を投げかけてくる。


「ボス、すみません。まだ入団するかどうかの話はしてません。」

「お、そうだったのか。我々、《炎獅子の反逆者》に加わるかどうかは君次第だ。さぁ!どうする!!」

「いや、あの、すみません。まだその、どうゆうグループ?かすら分かっていなくて、、、」

「そうか!では今日一日、我々の基地をぐるっと回って、団員に話を聞いてみるといい!我々は君を歓迎するからな!どちらにせよ、そのスーツと耳のプルセは我々からの餞別だ!貰ってけ!」


そう言われて左耳を触ると、耳たぶにピアスが付いていた。


「えっ、えっ!これなんですか!?」

「あ、ごめんね言い忘れてた。それがプルセって言ってタイランを制御してくれるアクセサリーだよ。それがないとタイムが外に流れてしまって、体温が下がってリミトロフとしても消滅してしまうんだ。」

「だから、この前歩きまわってたのに寒くなったんですね。でも、ピアスじゃなくても、、、。」


ピアスなんてものは一生縁のない、不良かイケてるやつが付けるモノだという偏見があり、なんなら女々しいとすら思っていた。

一度気づいてしまった為、気になってしょうがなくなってしまいずっと触ってしまう。


(なんか...恥ずかしいなぁ、、、)


「じゃあユウマくん、ちょっとまわってみようか。案内しよう。ではボス、失礼します。」

「おう!」


そしてぼくは軽く会釈をしてボスの部屋を出た。


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