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93.狙撃手と表彰式

武闘大会の最後には表彰式があった。

ダンチョー・クッコロのタッグは3位決定戦に勝利したので、結果はこうなった。



1位:キリオ・アスラ

2位:ケンタロ・リコッチ

3位:ダンチョー・クッコロ



計6人が表彰台に上る。

観客席からは割れんばかりの拍手が降り注いだ。



「面白かった!!」

「見ててよかった!」

「寝てないコンビつええー!」

「リコッチとおっさんよくやったぞ!」

「ダンチョーとクッコロかっこいい!!」

「みんなよくやったぞおおお!」

「うおおおおおお!」



歓声を聞く限り、観客たちは大いに楽しんでくれたようだ。

リアルでこんなふうに拍手喝采を浴びたことはないので、むず痒い気分ではある。

決勝で負けたのは悔しいが、とはいえ俺にとっては準優勝でも大金星だ。

正直、ライフルでこの結果は大健闘以上であり、充分に胸を張れる。

しかしリコッチはどうだろう。


ちらりと横を見ると、リコッチはさっぱりとした嬉しそうな表情をしている。

意気消沈した様子は見られない。

俺の視線に気づいたリコッチが、にこっと笑いかけてくる。


「センパイ! 準優勝ですよ!」

「ああ。優勝できなくてすまん」


俺の言葉にリコッチがぶんぶんと首を振る。


「私たちの戦力を考えれば、これ以上ない結果ですよ! でしょ?」

「それはそうだが、高級住宅地の権利書が」

「いいんです」


俺たちの隣では、キラキラと空中から降ってきた賞品――高級住宅地の権利書を、何の感慨もなさそうな表情で受け取っているキリオとアスラがいた。

それを見てもリコッチは特段、羨ましそうな顔はしない。


「私、すごく楽しかったんです。センパイと一緒に戦えて」

「リコッチ」

「これまでで一番、ゲームを楽しんだかもしれないです。センパイはどうでしたか?」


俺は・・・。

もちろん、言うまでもなく楽しかった。

普段のスナイパーライフルでのソロプレイも楽しいが、リコッチとのペアプレイも全く別のベクトルで、大変楽しかった。

こんな楽しみ方ができたのは、このゲームで初めてかもしれん。


俺は頬を緩めると、軽く手を挙げる。

リコッチも呼応して、パシッとハイタッチをしてくれた。


リコッチが言う通り、これ以上ない結果だ。

そのうえ楽しかった。

俺は満足だ。


「あ・・・」


リコッチが空中を見上げる。

俺も釣られて見上げると、準優勝の賞品――野外エリアの土地の権利書がキラキラと降ってきた。


そうだった。

街中ではないものの、土地の権利書がもらえるのだ。

すっかり忘れていた。


俺は権利書を受け取ると、詳細を見てみる。



”野外エリアの権利書(属性:フリーパス)”



・・・フリーパス?

何々。

ハウジング不可エリアを除く任意の野外エリアに土地を得る。


おお・・・!

野外エリアではあるが、好きな場所に家を建てられるのか。

ハウジング不可エリアとは、例えば火山エリアの火口などボスを呼び出すエリアや、復活ポイントである泉、あるいはダンジョン内のことらしい。

まあ妥当なところだろう。

ボス召喚エリアに建っている家など迷惑このうえない。


「リコッチ。野外エリアではあるが」

「はい。私、考えたんです! 警備アイテムとかにいろいろお金を注ぎ込んで、荒らされない家を建てればいいんですよ!」


リコッチも前向きに考えることにしたようだ。

俺は元より高級住宅地にこだわっているわけではなかったので、何も問題はない。

PK対策をしながらハウジングをしていくのも、ゲームを楽しむ一環だ。


「センパイ! 湖が見える丘に素敵な家を建てたいです!」

「いや待て。強盗の標的にされにくい立地を考えるべきだ。崖の上とか」

「崖の上はないです」

「なにい」


リコッチは楽しそうにハウジングの話をする。

もちろん俺も楽しい。

土地選びから楽しめるのなら、野外エリアもそう悪いもんじゃないな。

まあとりあえず、権利書はリコッチの倉庫に預けて、2人でのんびりと土地と探そう。

土地巡り。うん、悪くない響きじゃないか。



そうしてたくさんの拍手に見送られながら、武闘大会は終わった。

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