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92.狙撃手・リコッチVS最強コンビ

ついに決勝戦だ。

数々の幸運に恵まれたが、ようやくここまでやってきた。


「リコッチ」

「はい、センパイ」


俺たちは顔を見合わせる。

気合い充分だ。


そう――。

優勝賞品は高級住宅地の権利書。

リコッチの望むお屋敷でキャッキャウフフの甘い同棲生活が、手の届くところまで来ているのだ。


「勝機は薄いだろう。だがリコッチ」

「はい! センパイと一緒なら負けません!」


俺とリコッチは拳をぶつけ合う。

言うまでもなくリコッチはやる気満々だが、俺とてここまで来たら全力を尽くして優勝したい。

上位プレイヤーがひしめく武闘大会での優勝。

その充足感、達成感、満足感を俺はぜひとも体感したい。


俺たちは胸を張って戦闘エリアへと足を踏み入れた。




「うおおおおリコッチ! おっさん!」

「待ってたぞおおおお!」

「ここまで来たら優勝だ!!」

「寝てないコンビが負けるわけねーだろ!!」

「いや案外リコッチとおっさんがやるかもしれねー!」

「目にもの見せてやれーー!」

「応援してるぞおお!」


決勝戦とあって観客席の盛り上がりは試合前から最高潮だった。



「・・・なあ、リコッチ」

「何ですか、センパイ?」


俺は対面に入場してきた対戦相手を、半眼で見つめる。

最強プレイヤーと名高い”寝てないコンビ”、キリオ・アスラのタッグだ。

キリオは黒髪、アスラは流れるような金髪。


「あの2人の名前って、有名アニメのヒーローとヒロインから取ったんだよな?」

「だと思います。ファンなんでしょうねえ」

「念のために聞くが、アスラはヒロインだよな?」

「はい」


そうだよな。俺の記憶は間違っていないよな。

なら――。


「何でどっちも男なんだよ・・・!」


黒髪の男は両手に短剣、そして金髪の男は長剣をぶら下げている。


「何でって言われても、性別を偽れないからじゃないですかね・・・」


リコッチが困ったように返す。


まあな。

そりゃそうだ。

このゲームはキャラクリで外見はそれなりに弄れるが、性別はリアルと同一だからな。

リアルで男だからゲームでも男なのだ。

当たり前の話だ。


「だがそれなら、何でヒロインの名前をつけてるんだよ・・・」

「ヒーローとヒロインでセットにしたかったからじゃないですかね・・・」


そうだろうな・・・。

まあいい。

違和感しかないが、誰がどんな名前をつけようと自由だ。

他人が口を出す問題じゃあない。

†聖天使猫姫†みたいなアレな名前じゃないだけマシと考えるべきだ。


「センパイ、集中ですよ!」

「わかっている。俺たちの全てを出し尽くすぞ」

「はいっ!」


リコッチの横顔はきりりと凛々しい。

言葉通りベテランゲーマーとしての経験を全てぶつける気だ。

もちろん俺とて同じだ。

様々なもので劣っているぶん、策を弄するのだ。


リコッチが軽く俺の手に触れる。

俺も軽く握り返す。


リコッチの肩の力がいい感じに抜けた。

俺も過度に緊張していない。

ベストコンディションだ。



【試合開始:5秒前】



俺はライフルを両手で構える。

リコッチも杖を握り締める。



【試合開始:3秒前】



黒髪のキリオが短剣を両手に構える。

金髪のアスラが長剣をすらりと抜き放つ。



【試合開始】



アスラが真正面から突進してきた。

キリオは短剣を構えながら迂回するように走ってくる。

予想外なことに・・・ステルスを使ってこない。


いや、だがアスラがジグザクではなく正面から突っ込んでくるならいい。

このままヘッドショットが決まる。

キリオにはステルスがあるはずなので、対処はリコッチに任せる。


俺は銃口を突進してくるアスラに向ける。

避ける素振りはない。

むしろグンと速度を上げて突っ込んでくる。


それではとても銃弾を回避できまい。

どうやら格下と見て油断したか。もらったぞ、最強コンビ!

俺はトリガーを引く。


ターン!


「シューティングパリィ」


ギィンッッ!!


アスラの長剣が、銃弾を弾き飛ばした。


・・・。

・・・。

・・・。

・・・は?


剣で、銃弾を・・・。

そ、逸らした・・・?


呆然とする俺の横で、リコッチとキリオが交戦に入った。


「フリージングトラップ!」

「影縫い」


リコッチの魔法がキリオの動きを止めた。

同時にキリオが投擲した短剣がリコッチの影に突き刺さり、動きを封じた。

2人とも行動不能だ。


一見互角のようだが、マズい。

何故なら俺の攻撃はクールダウンに入っているが、アスラはフリーだからだ。

この機を逃すはずもなく、アスラが流れるような動きでリコッチへと接近する。


・・・俺はまだ攻撃できない。

ならばできることは一つしかない。

俺は肉壁となるべく、アスラとリコッチの間に強引に割り込む。


ここで俺がキルされても、リコッチさえ生き残ればまだ望みはある。

リコッチさえ無事なら、まだ――。


「モーゼストラッシュ」


アスラの斬撃が、俺もろともリコッチを両断した。


た、縦一列の範囲攻撃・・・・・・!

俺もリコッチも即死だった。

キリオとアスラは、どちらも無傷。



「うわあああああああ!」

「リコッチがあああ!」

「おっさあああん!」

「寝てないコンビつえええ!!」

「キリオ! キリオ!」

「アスラ!! アスラ!!」



俺たちは負けた。

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― 新着の感想 ―
[一言] お疲れ様です! この世界はスキルがないとほとんど効果が起きないのですね。以前の感想で書きました銃剣で刺すとか、ナイフ括り付けて当てようとしてもまともに動けないか、触れるだけになる。のでアサル…
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