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89/166

89.狙撃手と準々決勝

武闘大会、二日目。

残るは俺たちを含む8タッグ、計16人。

この時点ですでにすごい。


リアルの事情だったり興味がなかったりで、戦闘職のプレイヤーが全員参加しているわけではないだろうが、そうであっても上位16人にスナイパーライフルを使う俺が入っている。

信じがたいことだ。

これで名実ともに上位プレイヤーの仲間入りといってもよかろう。


とはいえもちろん、俺一人の力ではない。

むしろ大半がリコッチのおかげだ。

これが仮にソロでの参加だったら俺は十中八九、予選で落ちていた。

タッグ戦だったのは幸運と言うしかない。

リコッチには大いに感謝しなければ。




俺たちの準々決勝の相手は、弓使い・弓使いという珍しい組み合わせだった。

そしてリコッチが弓に弱いウィザードである以上、俺たちはここで脱落する可能性のほうが高かった。

順当にやっては勝てない。


だから俺たちは奇策に走った。

今までの陣形はリコッチが前、脆い俺が後ろだったが、これを逆にした。

俺が前だ。


リコッチが開始直後にフリージングトラップで一人の動きを封じる。

当然もう一人の弓使いが攻撃を放つが、足が止まった瞬間を狙って俺もそいつにヘッドショットを食らわす。

弓使いの攻撃は俺がすべて身体で受け止めてリタイア。リコッチを無傷で残すことが大事だったのだ。

これで俺は相打ちとなり、残るはリコッチともう片方の弓使い。


フリージングトラップから解放された弓使いが矢を放つも、リコッチはキャンセルされる前に詠唱を終えてフリージングエッジで応戦。

これも双方の攻撃が双方にヒットするが、弓の攻撃は一撃でリコッチを落とせるほどの火力がなく、逆に単体高威力のフリージングエッジは一撃で弓使いをキルした。

捨て身の戦法が上手くハマった形だ。

俺とリコッチは手を取り合って喜ぶ。



「うおおおおお! リコッチすげえええ!」

「おっさんもすげえぞ!!」

「このまま優勝しちまえー!」

「リコッチ! リコッチ!」

「おっさん! おっさん!」



一回戦の頃と比べて、少しずつ純粋な応援の声が増えている。

やはり少々照れるが・・・まあ嬉しい。




そして観客席に移動し、敵情視察をする。

次の対戦相手――ダンチョー・クッコロのタッグだ。


対戦相手はシーフとアーチャーのタッグ。

奇しくも俺たちが一回戦で当たった相手と同じ構成だ。


だが結果はあっけなかった。

クッコロのタウントの前にシーフのステルスは機能せず、また短剣は攻撃力が低いので大盾の防御を突破できない。

弓とて同じだ。

シーフ・アーチャータッグはナイトのクッコロを崩せず、ダンチョーの槍に屠られた。


「・・・強いな」

「さすがに安定してますねえ」


俺は唸るしかなかった。

いや、彼らが強いことは知っていた。

知っていたのだが、真正面から戦ったことは一度もないので、その強さを肌で感じる機会がなかったのだ。

味方のときは頼もしいが、敵に回れば恐ろしい典型だ。


現に俺たちは準々決勝の時点で奇策に走らないと勝ち目がなかったが、彼らはまっとうに戦って正面から相手を捻じ伏せている。

明確な実力差があるのだ。

だが、だからといって諦めるという選択肢はない。


「だがリコッチ、あと2回勝てば優勝だ。ここまで来たら是が非でも優勝を狙いたい」

「センパイ、私も同じ気持ちです!」


リコッチの瞳が燃えている。

あの2人の強さに臆している様子はない。

むしろやる気満々だ。


「不利なことは間違いないんですけど、センパイがいい動きしてるんでチャンスはなくもないです!」

「・・・いい動き? 俺がか?」

「はいっ。タッグ戦に慣れてきてるんですよ、センパイ!」


・・・自覚はなかったがそうなのか。

まあベテランのリコッチが言うならそうなのだろう。


「リコッチ、次の戦いまで少し時間がある。場所を変えてきっちり作戦を詰めるぞ」

「はい、センパイっ!」


やる気だけで勝てる相手ではない。

きちんと対策を練って、1%でもいいから勝率を上げるのだ。

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