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8.狙撃手、PKをする

PK。

プレイヤーがプレイヤーを殺すことだ。

このEarth World Onlineでは、システムとしてPKが許可されている。


とはいえPKを嫌うプレイヤーは多い。

このゲームでもPKに手を染めていないプレイヤーのほうが多いだろう。

日本人的な気質なのかもしれん。


ところで俺はまだ知らない。

魔物を倒すとスキルポイントと金が手に入る。


ではプレイヤーを倒したら何が手に入るのだろうか。


魔物と同じ?

それとも別の何か?

プレイヤーを倒すことでしか手に入らないものはあるのか?

プレイヤーをキルすると何かペナルティが発生するのか?


・・・。

・・・。


殺るか。

俺は決断した。

情報がほしいのだ。


言ってしまえばたかがゲーム。

PKを嫌うプレイヤーが多かろうが、別にこのゲームの中では悪いことではないのだ。

もちろんリアルでは絶対にできないが。


そうと決まれば時間は有限だ。

あの3人パーティが、いつまでもあそこに留まっているとは限らない。


俺は地面に腹ばいになり、スナイパーライフルをセットする。

スコープ越しに3人を覗く。

どうやら一息入れて談笑しているようだ。

そこそこ狩りが上手くいっているんだろうな。


相手は3人いる。

誰から狙うか?


ふむ・・・。

神官からだろう。


万が一ヘッドショットが外れた場合、あるいはヘッドショットが決まっても即死させられなかった場合、神官に回復されては大変困る。

スナイパーライフルはすぐに追い打ちができない不便な武器なのだ。


スコープで女プレイヤーに照準を合わせる。

可愛らしいピンク色の髪をしている。

顔立ちもなかなかに愛らしい。

さぞ男2人にちやほやされていることだろう。


女を、あるいは人を攻撃する罪悪感?

ないな。

殺ったところでスタート地点で復活するわけで、良心の呵責を感じるほうが馬鹿らしい。


ゆっくりと照準を女の頭に据える。

女は談笑が楽しいのか、笑っている。


ライフルのトリガーに指をかける。

引く。


ターン。


女の頭が電子の光となって弾け飛んだ。

HPゲージは一瞬でゼロだ。

それから一拍遅れて、身体のほうも消滅した。


頭だけがまず吹き飛ぶのか。

攻撃された箇所を示すためだろうが、ちょっとエグいな・・・。


男2人は恐慌状態に陥っている。

まあそりゃあそうだろう。

何が起きたのかわからんだろうし。


俺からすれば勝機だ。

魔術師の男の頭に、焦らずゆっくりと照準を合わせる。

混乱している男は少し動きが激しいが、これくらいならパッシブスキルの命中で補正してくれるだろう。


ターン。

ヘッドショット。


男も光の粒子となって弾けた。

最後に残った剣士の男は、もはや半泣きになっている。

だがなあ。

気持ちはわかるんだが、頭を抱えてうずくまっても、誰も助けてくれないぞ。


俺は三度、トリガーを引いた。

3人いたパーティはもう誰も残っていない。


俺はこの日、初めてPKをした。

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