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22.狙撃手、ライフルの材料を集める

さて、俺の新しい相棒のために材料を集めなければならない。

だが俺は生活系スキルに一切ポイントを振っていないので、当然”採掘”もない。

マトモにやれば鉱石など手に入らないわけだ。


となれば方法は2つ。

街でプレイヤーが開いている露店で購入するか、PKをしてプレイヤーからのドロップを狙うかだ。


露店で購入は無難な方法だが、かなり金がかかりそうだ。

反面、PKをすると金はかからないが、ドロップは確率なので時間がかかる。


だが今後、素材集めのためにPKをする場面は増えてくるだろう。

となれば今回はいい機会だ。

どうすればPKで効率よく、なるべく短時間で、多くの素材を集められるか。

それを考えるいい練習だ。


俺は噴水広場のベンチに腰を下ろして、目を閉じる。

熟考モードだ。




さて。

当たり前だが、鉱石を持っているプレイヤーをキルしないと、鉱石は手に入らない。

では鉱石を持っているプレイヤーとは誰か?

鍛冶屋か、鍛冶屋に依頼をしたい戦闘職だろう。


どちらを狙うべきか?

もちろん戦闘手段を持たない鍛冶屋のほうが容易だ。


では鍛冶屋はどこにいるか?

そりゃあ街中にはたくさんいるが、街中はPK禁止エリアだ。

街の外ではどこにいる?


鉱山エリアだろう。

採掘するなら鉱山に赴く必要があるからな。


だが鉱山エリアは屋内だ。

しかも坑道は狭い。

スナイパーライフルで戦えるような場所じゃあない。


ではどうする?

ふむ。


・・・。

・・・。

・・・。


出待ちだな。


鉱山の入り口を張って、採掘を終えて出てくる鍛冶屋を遠距離から一撃。

これだろう。


鍛冶屋の大半は一般プレイヤーだろうから、外道と罵られてもおかしくない行為だが・・・。

目視されない距離から仕留めれば、そもそも俺だとバレないわけで、何の問題もない。

俺はことさらにPKプレイヤーであることを隠す必要はないと思っているが、バレないに越したことはない。


そうと決まれば早速移動だ。

時間は有限だからな。




******




そんなわけで鉱山エリアにやってきた。

鉱山というだけあって山の中腹に入口がある。


もちろん俺はそこまで近づかない。

山の中腹を一望できる、反対側の森に身を潜めている。

木に登れば下方に向かって狙撃できるので、角度的にも申し分ない。

がっしりとして折れそうにない太枝を見つけて、そこに陣取る。


遠目にしばらく観察していると、ツルハシを担いだ鍛冶屋と思しきプレイヤーたちが出入りしているのが見える。

今から入るプレイヤーに用はない。

鉱石をいっぱい採掘して出てくるホクホク顔のプレイヤーに用があるのだ。


俺はスナイパーライフルを構えて、スコープから鉱山の入り口を覗く。

そこまで出入りが激しいわけじゃない。

それにどうやら鍛冶屋たちはソロが基本らしく、パーティで一緒に出入りする様子はない。


・・・そりゃあそうか。

モンスターと戦うならともかく、採掘でパーティを組む意味なんてないからな。

これは好都合だ。


ちょうど一人の鍛冶屋が入り口から出てきた。

満足そうな表情を見るに、首尾よく採掘を終えたのだろう。

後続はいない。一人だけだ。


俺はその鍛冶屋の頭に、照準を合わせる。

鍛冶屋は狙われているなどつゆ知らず、呑気に汗を拭う仕草をしている。


トリガーに指をかける。

引く。


ターン!


鍛冶屋のプレイヤーは電子の光となって消滅した。

目撃者はいない。


この目撃者をなるべく出さないというのが大事なのだ。

他の鍛冶屋に警戒されて、鉱山内に引きこもられると困るからな。


俺はアイテム欄を確認する。

うん、鉄鉱石がいくつか入っている。

いい塩梅だ。

俺の狙いは間違っていなかったようだ。


またプレイヤーが鉱山から出てくる。

おっと、戦闘職らしき男と一緒だ。

ふむ・・・?


鉱山内にもモンスターがいて、それを狩るためだろうか?

あるいは・・・PKプレイヤーからの護衛だろうか?


考えてみればPKがある以上、護衛という形のプレイがあっても何ら不思議じゃない。

フレンドを護衛しているのか、あるいは金をもらって護衛しているのかは知らんが、慎重なプレイヤーなら護衛を雇うこともあるかもしれん。


この2人組はパスだ。

万が一、護衛に発見されたら俺の命がない。

俺は貧弱な狙撃手(防具:布の服)なのだ。

後々のことを考えても、ソロの鍛冶屋を狙うほうが安全だ。


俺はしばらく、一人で出てくるプレイヤーに絞ってPKを続けた。

目撃者がいないよう最新の注意を払って。


鉱石をドロップした鍛冶屋たちには悪いが、がんばってもう一度掘ってくれ。

遭遇したらまた殺すがなあ。ふはははは!


そうして俺は目標数の銀鉱石と鉄鉱石を手に入れた。

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