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2.狙撃を開始する

俺、田嶋健太郎・・・じゃなかった、ケンタロは始まりの街に降り立った。


・・・すごいな。

まるで中世ファンタジーの町並みそのままの光景が目の前にある。

地面は石畳だし、建物は石造りだ。

そのあたりを馬車が走り、露店では野菜や果物が売られ、遠くには大きな城がそびえている。


そしてたくさんの人。

いろいろな服装と、様々な武器防具を纏った人。

これ全部プレイヤーか。

人気のVRゲームって触れ込みは嘘じゃなかったんだな。


さて、俺は初期装備である布の服だ。

そして肩にはスナイパーライフルを背負っている。

といっても実在するような本格的でリアルなものじゃあない。

あくまでライフルっぽい長銃だ。


さて・・・。

まずはどうするんだ?

よく考えたら俺はこのゲームのことをろくに知らない。

面倒臭がって何も調べてないからな。


まあいいか。

何はともあれスナイパーライフルの性能を確かめないと話にならないだろう。

こいつが俺の相棒なわけだしな。




******




そういうわけで俺は一直線に街の外にやってきた。

草原だ。

見渡す限りの原っぱ。

初心者らしきプレイヤーもちらほら見える。


ふむ。

間違って誤射でもしようものなら大問題になりかねん。

このゲームはPKありの、つまりプレイヤーがプレイヤーを殺せるゲームだからな。

後々はPKに手を出す可能性もあるが、スキルすら何もない初心者がPKに手を染めるのは自分の首を絞めるだけだ。

そういうわけで、もう少し遠くに足を伸ばそう。



少し遠くに来た。

雑木林のようなフィールドだ。

近くには誰もいない。


ここならいいだろう。

遮蔽物は多いが、好きに狙撃の確認ができそうだ。


都合よく、遠くに犬のようなモンスターを見つけた。

いや狼かもしれん。どっちでもいいが。

あれで試し打ちと行くか。


俺は片膝を付き、両手でライフルを構える。

伏せてじっくり照準を合わせてもいいんだが、今はまあ射撃の性能確認だしな。


スコープを覗き込んで、犬狼に照準を合わせて・・・。

トリガーを引く。


ターンと思いの外、軽い音を響かせ、狙撃は犬狼の胴体に命中した。


おお・・・。

HPゲージが7割ほど減ったぞ。

初期装備なのにすごい威力だ。さすがライフル。


怒った犬狼がこっちに猛突進してくるが、慌てることはない。まだ距離はある。

もう一発でジエンドだ。

俺はトリガーを引き。


あれ?

トリガーを引き・・・。

トリガーを・・・。

トリガーが反応しないあああ!?


”クールタイム中はその行動はできません”

”クールタイム中はその行動はできません”

”クールタイム中はその行動はできません”


は? え?

単なる攻撃にクールタイムがあるのか? ライフルは!?

高い威力の代償ってこと?

ちょ、待て、聞いてない。


犬狼が目の前まで迫ってきた。

その大きな口を開き、俺に向かって牙を・・・。


ターン!

ギリギリで俺の狙撃が犬狼の胴体を貫いた。

パアッと電子の光になって犬狼が消滅する。


はあ、はあ・・・。

危なかった。

スナイパーライフルは連射できないのか。

そうか、なるほど・・・。


つまりは初撃に全てを賭ける武器ってことだ。

外したら終わり。


モンスター相手なら2射目の機会もあるかもしれんが、プレイヤー相手だとそう甘くはないだろう。

最初の一撃できちんと仕留めることを念頭に置かないといけない。


俺はその後しばらく、名前のわからない犬狼を倒し続けた。


何というか・・・。

これ結構楽しいかもしれん。

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