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146.狙撃手は魔族と相性が悪い

俺はしばらく淡々とストーリークエストを進めていった。


何々のモンスターを何匹倒してこいとか、何をいくつ集めてこいとか、奪われた何かを取り戻してこいとか。

たまにどこそこのボスを倒してこいとか。

どのゲームもクエストの内容は大差ないな。

これはVRゲームであってもあまり進歩が見られない部分のようだ。


まあ考えてみれば当然か。

クエストの内容は技術の進歩とは関係なく、単純にゲームを作っている運営・開発スタッフの発想の問題だ。

ゲームが氾濫している現代日本において、同じ人間が作成している以上、どれも似たりよったりの内容になることはやむを得ないのだろう。


ゲーム技術はフルダイブ型VRを可能にするほど劇的に進歩したが、AIの分野もそれくらい発展しないものだろうか?

自己学習型AIとかが人間にはとても真似できない優れたゲームを開発してくれればいいのに。

いやまあ・・・そうなると、ゲーム開発に果たして人間は必要なのかという問題が出てくるわけだが。


ともあれ延々とストーリークエストを進めていた俺は、大体どういうクエストがストーリーの主軸になっているのかを理解した。

こういうことだ。



昔、神殿は一枚の大きな石版を保管していた。

これに古のスナイパーライフルと神様の歴史について記されていたらしい。

ところが何者かの手によって、この石版は破壊され、何枚もの欠片に分割されて世界に散らばった。

ストーリークエストはこれら石版の欠片の行方を追い、最終的には全て集めて石版を復元し、古のスナイパーライフルと神様の歴史の真実を、プレイヤーが得ることが目的・・・らしい。



ありがちな設定である。

似たようなストーリーは他のゲームにもいくらでもあるだろう。

もちろんこれはスナイパーのストーリークエストであり、他の職は知らん。

攻略サイトには書いてあるんだろうが、別に興味もないしな。


そしてこのストーリークエストは、まだ最後まで実装されていない。

アップデートごとに少しずつ更新されていくようだ。

だからまあ当然、ストーリークエストの完結が三次職の転職条件ではない、ということだ。


だがある程度の地点までストーリーを進めておくことが転職条件の一つである、という可能性はある。

なので俺は黙々とストーリーを進めているわけだ。


しかし、神代のスナイパーライフルか・・・。

ストーリーはありがちだが、少しばかり心躍る設定だ。

やはり武器の秘められた力を取り戻すというのは、いつの時代も男心をくすぐるものだ。

岩に突き刺さった聖剣エクスカリバーなどみんな大好きだし、武器というのはそれだけ魅力的な設定なのだ。




******




『石版の欠片の行方だと? ぬはははは、知りたくば我を倒してみよ!』



ダンジョンの最奥で、青い肌の男がローブを広げながら哄笑する。

エルフほどではないが、少しだけ耳の先が尖っている。


魔族である。


そうなのだ。

その昔、この世界に侵攻してきた挙げ句、見事に人間族に追い払われたはずの存在。

魔族。

ストーリークエスト限定で、その魔族がちらほらと姿を見せるようになってきたのだ。

どこのエリアにもどこのダンジョンにも存在しない、ストーリークエストをやっているときのみ登場する存在である。


魔族がどこからやってきたのかは誰も知らない。

一節にはこの世界とは別の異世界であるとされるが、ではどのような手段を用いてやってきているのか、それも不明だ。

ともかく人間を敵視しており、この世界の人間を滅ぼそうとしているらしい。


もちろん俺は滅ぼされる気などさらさらないので、こんなストーリーのボスなど我が白銀のライフルで駆逐してやる所存――。



ズドォォ!!



「ゴパァ」


俺は滅んだ。




******




率直に言おう。

俺は魔族と相性が悪い。


ストーリークエストのボスなど、どのゲームでも大した相手ではない。

それはこのゲームでも例外ではなく、本来はさほど苦労せず倒せる相手なのだろう。

本来は。


一撃即死の紙装甲である俺は、飛び道具を持っているボスとすこぶる相性が悪い。

近接攻撃と違って、飛び道具はライフルの距離の利を活かせず、回避が難しいからだ。

そして何故か魔族はどいつもこいつも魔法のような飛び道具を繰り出してくる。

黒い闇のレーザーを放ってきたり、黒い闇の球を放ってきたり、黒い槍が足元から飛び出してきたりと様々だ。


そんなわけで魔族が出てくるクエストは、毎回何度か死ぬ。

死んでパターンを覚えてリトライして・・・の繰り返しだ。


接近攻撃しか持たないあの鼻モグラが懐かしい。

いやアレも初見殺しで酷い目にあったけどな。


そういうわけで、恐らく他プレイヤーの何倍もの時間をかけながら、俺はストーリークエストを進めていった。

ちなみに「石版の欠片の行方を知りたければ我を倒せ」とかほざいていた例のボスは、倒したら無言で消滅しやがった。

許しておかんぞあの野郎。


ともあれ時間はかかったが、俺はストーリーをかなりのところまで進めることができた。

きちんとクエストをこなしているプレイヤーは、とっくに最新部分まで進めているんだろうが、俺ももう少しだ。


やはりアレだな。

こういうアップデートごとに更新されるストーリーは、横着せずに日頃からちまちま進めておくほうが良いんだろうな。

どのゲームでも大体そうだ。

怠け者には世知辛い仕様である。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新&返信いつもありがとうございます! オォ・・・おっさんが神代のスナイパーライフルに興味を持った!! 飛び道具と言うか、接近しないと発動しないクエスト自体がアウトレンジスナイパーには相…
[気になる点] スナイパーのストーリークエストやってる人いるのだろうか
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