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14.狙撃手、自分を戒める

「ふー・・・」


死に戻りでスタート地点に戻ってきた俺は、大きく息を吐いた。

殺される瞬間の光景が目に焼き付いている。

つまり俺はショックを受けているのだ。


甘かった・・・。

心のどこかで自分は狩る側だと思い込んでいた。


PKありのゲームだ。

狩ることもあれば当然、狩られることもある。

そんな当たり前のことが頭から抜けていた。

俺はぬるい考えをしていたのだ。


軽く頭を振ると、噴水広場のベンチに腰を下ろす。

ゲームだから体力的な疲労はないんだが、何となく座ったほうが落ち着く気がする。

気分的なものだ。


ショックはショックだったが、戒めにもなった。

PKの世界に入門したばかりの新米狙撃手が、ちょっとばかり思い上がっていたのだ。

いい勉強をさせてもらった。


さて。

落ち着いたところで、確認すべきことをしよう。

アイテム欄だ。


俺は空中でパネルを操作して、アイテムウィンドウを呼び出す。

どれどれ。


あー・・・。

なけなしの移動速度ポーションがない。

ドロップしてしまったのだ。

今頃、俺の秘蔵のポーションはあのPK少年のアイテム欄に収まっていることだろう。


ただまあ、命中の指輪+2じゃなくてよかった。

アイテムのレアリティはよくわからないが、さすがにこれはそこそこレアだろうからな。


最初に俺がキルした2人は何もドロップしなかったのだろう、増えたアイテムはない。

残念だ。




さて。

俺は目を閉じる。

思い返すのはPK少年との戦いだ。


他プレイヤー(俺のことだ)を殺す動きに淀みがなかった。

間違いなく日頃からPKに慣れているプレイヤーだろう。

明らかに俺よりも格上だった。


あの場での戦いを思い返すが、頭でどうシミュレートしても勝ちの目が浮かばない。

改めて、狙撃手の弱点が浮き彫りになった形だ。


つまり接近戦になれば、相手が誰であろうとほぼ勝ち目がないということだ。

距離を詰められるとそれほど弱い。

狙撃手とはそういう職なのだ。


だから狙撃手の戦い方とは。

要するに、俺が当初から目指していた通り、超遠距離からの一撃必殺に他ならない。

それ以外に勝ち筋はない。

これを徹底して頭に叩き込む必要がある。




それを踏まえて、俺は余っているスキルポイントを割り振ることにした。

今のところ俺がポイントを振っているスキルは2つだけだ。



<パッシブ>

射程:15

威力:0

命中:3(+2)


<アクティブ>

チャージショット:0

連射:0




命中はいったん保留でいいかもしれん。

そこそこ動く相手にも、もうヘッドショットを外すことはないし、角ウサギのような激しく動く対象はそもそも相手にしないからな。

射程はまだ伸ばすとして、そろそろ威力もほしいところだ。

せめて熊山のデカ熊を一撃で仕留められるようになりたい。

やはりヘッドショットを毎回2発叩き込むのは、それなりに手間なのだ。


では威力を伸ばすにはどうしたらいいのだろうか?


まずアクティブスキルの”連射”はない。

こいつは一撃の威力が下がる代わりに、通常攻撃を2発(ポイントをたくさん振れば3発、4発)連射できるようになるスキルだ。

だが超遠距離から一撃必殺の戦い方を目指す俺に、連射はいらない。

もしかするとこの”連射”は、狙撃手のせめてものパーティプレイ用スキルなのかもしれん。


”チャージショット”はどうだ?

数秒間チャージすることで、次の通常攻撃の威力が上昇するスキルだ。

一見よさそうだが、チャージ中は動けない。

これがネックになりそうだ。

例えばでかいドラゴンを狙撃するなら素晴らしいスキルなんだろうが、その場で臨機応変に照準を変えたい場合は困る。

つまりはPKに不向きなスキルといえる。


となれば、こいつだろう。

パッシブスキルの”威力”。

アクティブスキルほどの上昇率はないが、ポイントを振れば振るほど着実に攻撃力を上げてくれるスキルだ。

何よりパッシブだから、いちいち使用しなくても持っているだけで効果を発揮するのが素晴らしい。

面倒くさがりの俺にぴったりだ。


そういうわけで、余ったポイントを割り振るとこうなった。



射程:15

威力:3

命中:3(+2)



うん、いいだろう。

今後は威力と射程を上げていこう。

目標はデカ熊を一撃で仕留めること。

それから仮にプレイヤーに対してヘッドショットを外しても、胴体への一撃でもキルできるようになることだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 勢いのままに誤字報告してしまったけど、パワーショトで今後行くなら、3話めか4話目あたりにあったチャージショットをパワーショトに変更よろしくお願いします。どっちで今後通すかは作者様次第なので
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