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104.狙撃手とリコッチの甘い生活

俺とリコッチはしばらくソファで語り合っていたが、程なくしてリコッチが立ち上がる。


「センパイ! 私、お夕飯作ります!」

「・・・大丈夫か?」

「大丈夫ですっ。センパイに料理を食べてほしいんです」

「わかった。なら任せた」

「任されましたっ」


リコッチはにっこり笑って、レースのついたエプロンをつけて腰の後ろできゅっと紐を結んだ。

そのままルンルンとキッチンへ姿を消す。


・・・何だかエプロン姿のリコッチを見ていると、まるで新婚のような錯覚に陥る。

ゲームではあるのだが、非常に面映い。

しかし悪い気分は全くしない。

リコッチが可愛い。


ちなみに先程ソファでキスをしたが、それ以上のことはしていない。

というよりできない。

当たり前だがこのゲームはアダルトゲームではないので、性的な行為はシステムにおいて禁止されている。

それをしたければVRアダルトゲームを買ってくれということなのだ。

とはいえ俺はその仕様に何の不満もない。

リコッチも同様だろう。




・・・リコッチがキッチンから戻ってこない。

料理スキルがゼロである以上、何度も失敗しているのだろう。

さもありなん。


「リコッチ、手伝おうか?」

「・・・だ、大丈夫ですっ」


意地があるようだ。

邪魔はすまい。


しばらくして、リコッチがしょんぼりしながら戻ってきた。

なんか目玉焼きがぽつんと乗った皿を持ってきた。


「スミマセン・・・。結局、成功したのこれだけで」

「いや、俺が作ってもどうせ同じことになった。むしろ料理スキルがないのによくがんばってくれた」

「センパイ」

「一緒に食べよう」

「はいっ」


2人で目玉焼きを平らげた。

効果はHPゲージを気休め程度に回復する。

今はあまり関係ないな。




俺たちは別荘の裏手に張り出しているバルコニーで、釣りをすることにした。


「ここはいいな。すぐに飛び込んで泳ぐこともできそうだ」

「今度また泳ぎましょ!」

「そうだな」


釣り糸を垂らす。

しかしもちろん、俺もリコッチも釣りスキルなどないので何も釣れない。


「見ろ、リコッチ。空き缶が釣れたぞ」

「あははー。こっちは長靴ですよっ」


ゴミばかりだ。

しかしたまに魚も釣れなくはない。


「せんぱあいっ。やりました! フナですよっ」

「おお、リコッチやるなあ」

「えへへー」


収穫があってリコッチは嬉しそうだった。

しかしずっと気になっていることが一つある。


「なあ、リコッチ。湖のずっと底に大きな影が見えるんだが・・・」

「あー、湖の主ですねえ」

「モンスターなのか?」

「だと思いますけど、よくわかんないです」


リコッチも知らないということは、攻略サイトにも詳しく掲載されていないのだろう。

まあ害にならなければいいか。

・・・ならないよな?


リコッチが釣ったフナを料理してくれたが、案の定失敗して真っ黒焦げの何かが出来上がった。




「センパイ、見てください! 何とこのゲーム、お風呂にも入れちゃうんです!」

「おお・・・!」


バスルームには広い浴槽があった。

数人が足を伸ばして余裕で入れそうな大きさだ。

しかし実際に風呂に入れるとは、何という作り込みだ。

VRゲームの売りはこうした作り込みではあるのだが、やはり感動する。


リコッチは更衣室でパネルを操作すると、シュッと一瞬で水着に着替えた。

いつかの日に浜辺エリアで見た、レースのついたあの可愛らしい水着だ。


「前も言ったが、その水着可愛いな」

「あ、ありがとです」


俺が褒めるとリコッチは顔を赤くして照れた。


「しかし俺は水着を持っていないが」

「ふつーに布の服を外せば大丈夫ですよー」

「なるほど」


俺は装備ウィンドウを開いて布の服を外す。

シュッと地味な灰色のトランクスになった。

これが男キャラのデフォルトの下着状態か。

恐らくは女キャラのデフォルトの下着状態も、色気を意識させない地味なものであろうと予想できる。

もちろん当然ながら、全裸にはなれない。なれても困る。


「さっ、センパイ入りましょ! お背中流しますよー」

「お、おお。助かる」


何だかリコッチはニコニコと上機嫌で、俺は背中を押されながらバスルームに入る。

リコッチに促されてバスチェアに座ると、スポンジでごしごしと背中を流してくれた。


「ふふー」

「楽しそうだな」

「楽しいですっ」


何が楽しいのかわからないが、ご機嫌なリコッチを見ると俺も嬉しくなるので良いことだ。

まあ身体を洗うといっても現実で身体が綺麗になるわけではないので、単なる気分の問題ではあるが。

それでもこういうのは何やら楽しい。


「センパイ、かゆいとこはないですかー?」

「大丈夫だ」

「うふふー」


もうニコニコだ。

ご機嫌オーラを全身から発している。

ちょっと身体でリズムを取りながらスポンジでごしごししてくれる。

大変微笑ましい。


「さて、次は俺が背中を流してやる番だな」

「え!」

「ほら、後ろを向け」

「いやいや、なんか恥ずかしいので・・・!」

「問答無用」

「あ、あははっ、あはははー。センパイくすぐったいですぅ・・・」


身悶えするリコッチを強引に綺麗にしてやった。


その後はざばーっと浴槽に浸かる。

リコッチも俺の対面にゆったりと腰を下ろす。

当然、嫌でもリコッチの姿が目に入るわけだが、水着姿がとても可愛く、少々・・・何というか、目の毒でもあるので、さり気なく目を逸らす。


「ふう」

「はふう。気持ちいいですねえ」

「ああ、全くだ」


俺もリコッチもリラックスする。

やはり湯船に浸かるのはいい。とても落ち着く。

風呂の習慣がある日本人に生まれてよかった。


「しばらく金を稼がないとなあ」

「ハウジングでほとんど使っちゃいましたもんねー」

「俺は普段さほど金を使わないからいいが、リコッチは大変だろう」

「んー、でもセンパイと住める家を建てれたので、大満足ですー」


リコッチがにへっと緩んだ笑顔を見せた。

本当に満足そうだ。

そうだな、俺も満足だ。




風呂の後は、2階に上がってベッドルームに行く。

ベッドは大きなダブルだ。

つまり2人で一つのベッドに寝るのである。


「せ、センパイ・・・。あの、よ、よろしくお願いします・・・」


リコッチがベッドの前で真っ赤になっている。

なぜカチコチになって正座をしているのか。


「いや、寝るだけだろ」

「そ、そうなんですけど・・・」


そういう反応をされると、俺も恥ずかしくなってくるからやめてくれ。

とりあえず俺が率先してベッドに横になる。

おお・・・。高級ホテルのようにふかふかだ。

現実ではこうはいかない。素晴らしい。


「リコッチも」

「は、はいっ。失礼します・・・」


リコッチもちょっと緊張した様子で、俺の隣で横になる。

ふと見ると顔が近い。

リコッチはますます赤くなっている。


このまま寝てログアウトしてもいい。

いいのだが・・・・・・きちんと愛情表現をすると決めたばかりだ。

リコッチに寂しい思いはさせないのだ。

ならばリコッチが甘えやすいようにすべきだろう。


「リコッチ」

「ひゃい!」


リコッチが緊張のあまり飛び上がる。

俺は軽く笑って、片方の腕を広げる。

腕枕のポーズだ。

リコッチはそれに気づいて、もう顔から湯気が出そうになっている。


「遠慮しなくていい」

「じゃ、じゃー・・・失礼します」


リコッチがもそもそと近づいてきて、頭を俺の腕にちょこんと乗せる。

ますます距離が近くなる。

リコッチが上目遣いに俺を見て、照れたように笑う。


俺はリコッチの頭を軽く撫でる。

するとリコッチは無言のまま俺にしがみつく。

俺の胸に、頬をすりすりするリコッチ。


「えへー、せんぱあい・・・」


リコッチが甘えた声を出す。

俺はゆっくりとリコッチの頭を撫で続ける。


「好きです・・・」


リコッチが顔を寄せてくる。

そして俺の唇に、軽く唇を触れた。


俺がリコッチを抱き締めると、リコッチは何度も唇をちゅっちゅっと触れさせた。

リコッチの顔はもう蕩けそうになっている。

俺が見つめると、幸せそうに「えへへ」と笑う。

互いに頬をくっつけてすりすりし、また啄むように唇を合わせる。



俺とリコッチはそうして満足するまでスキンシップを取り、それからログアウトした。

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― 新着の感想 ―
[一言] おぉ....これでもかってくらいイチャイチャしてる.....。 砂糖吐きそう
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