第二話「シンデレラの策略」
姉に復讐を誓うシンデレラ。そこに現れたのは…。
シンデレラは、どのようにして姉に近づくかを考えていた。今や姉は一国の姫。警備が手薄いはずがない。どうにかして城の中に…。
「どうしたの?シンデレラ?」
他に誰もいないはずの部屋に声が響いた。シンデレラが声のほうを見ると、いつ、どこから現れたのか、そこにはあの魔法使いが立っていた。魔法使いは心配そうにシンデレラに歩み寄る。
「大丈夫?顔色が悪いわ…何かあったのかしら?」
シンデレラの脳裏に、魔法使いの言葉が蘇る。
―私、困っている人がいると、放って置けないのよ。―
そうだ。この手があった。まだ…神は私を見放していない。
「ええ…魔法使いさん?…実は…。」
シンデレラはゆっくりと顔を上げ、少し表情を曇らせる。
「今、とても困っているの。」
数日後。一通りの結婚の儀式が終わり、城の中は以前の落ち着きを取り戻していた。姉はというと、突然の生活の劇的変化に初めは戸惑いつつも、今ではすっかり贅沢な毎日を堪能していた。今日も豪華な部屋でベットに腰をかけ、今日一日の幸せに浸っていた。
「美味しい料理、綺麗な宝石に服、ここに居れば何でも手に入れられるわ!」
そう言ってベットに横になると、あるものが目に入った。姉は起き上がって、それを手に取り、まじまじと眺めた。照明に反射され、きらきらと神秘的に光る、あのガラスの靴だった。
「この靴を履いただけで王子様と結婚できるなんて、人生わからないわねー。本当、この靴には感謝しなきゃね。」
しみじみとそんなことを考えていると、誰かが部屋のドアをノックする音がした。
「はい?どうぞ。」
ガチャ…と重そうなドアが開く。そこにはひょろりと背の高い召使いが立っていた。召使いはその長い体を曲げて頭を下げる。
「失礼します。姫様、王子がお呼びです。」
「まあ…王子様が…!」
姉は表情をいっそう明るくし、立ち上がった。それもそのはず。結婚したものの、まだ王子とは、ろくに話していなかったのだ。
「こちらへ。…ご案内いたします。」
召使いは姉を部屋の外へ促す。
―ガチャ。
ドアが閉まり、誰もいない部屋は暗くなる。しかし、ベットの上ガラスの靴は照明が消えてもなお、不思議な輝きを放っていた。




