突っ走りさま~すっとぷ編~
楽しんで頂けると幸いです!
「かよ~!お願い~平成を終わらせないで~!!」
どこの町にもある古びた神社で、ポニーテールの女子が巫女姿の少女の肩をがっとつかみ、
「いやだーーー!明日から変わるなんてーー!」
ぐらぐら揺らした。
「うわぁ~ぁ~たっつん、すとっぷ~」
巫女姿の少女…突っ走りさまことかよは、首を上下に振られギブアップ寸前だ。
「ちょっ!やめなって!かよ、願いを叶えるどころか、願いすら聞けないわ!」
黒髪ストレートの女子が割ってはいる。
「えっ!?うそうそ、ごめん!かよ!生きてる~?」
たっつんはピタッと手を止め、今度はかよの右頬をパチパチ叩いた。
「うっ、たっつん…すとっぷ~」
かよの両目は、ばってんになっている。
「ちょちょい!何追いうちかけてんの!」
ストレート女子は、ぺいーんとたっつんの頭を軽くはたいた。
「えっ!ごめん~かよ~!」
「…おーのー…」
かよの魂は抜けかけている。
「さよりん!どうしよ~かよが~!」
あわあわするたっつんに対し
「…あんたが突っ走り過ぎよ」
さよりんは頭を抱えた。
「う~、たっつんの願い事って…?」
お賽銭の為にかよは食いつくが、まだふらふらだ。
ぐぐっとたっつんは、かよに再び近づき
「あのね、へ……」
「お願いします!ヤンキーから助けて下さい!」
3人に長い影が伸びる。
顔を上げると
『……』
極悪ヤンキーがいた。
いや、あんたがヤンキーでしょ!と言いたげな雰囲気が漂う。
そんな空気を感じたのか、極悪ヤンキーはおろおろと弁明する。
「あっ!違うんですぅー!見た目はこんなですけど…違うんです!」
今にも泣きそうになりながら、
「えっとえっと、これお賽銭です!」
お菓子が沢山詰まった袋を差し出す。
するとかよの両目に輝きが戻り、
「おーけー、おーけー!わかったよ!」
笑顔も輝く。
「じゃあ、そのヤンキーの人達をここに連れて来るね!とーくし合えば、きっと分かってくれるはずだよ!」
「えっ?えっと…」
「大丈夫!それに願いは自分で叶えるもの!ではれっつごー!」
青ざめる極悪ヤンキーに対して、キラキラなかよはあっという間に消えた。静かになった境内で全く動かないヤンキーを尻目に、女子2人が立ち上がった。
「たっつん…私も平成が終わるのは寂しいよ。でもね、最後の最後でここが修羅場になるのも、巻き込まれるのもいやだ!」
「うん、私も‼️」
2人はキッと前を向く。
「だから絶対に願いを叶えさせるなーー!」
「ストップだ~!」
2人も猛ダッシュする。
が、さよりんが振り返り
「あなたは念のために逃げた方がいいわよ」
と消えた。
「願い事伝える神社間違えたのかなぁ…」
極悪ヤンキーは魂が抜けたように突っ立っていた。
そして、ここから願いを叶える突っ走りさまと、阻止する者の追かけっこが、日が暮れるまで続いた。
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