プロローグ
続き物の予定です。初めてですが、頑張って書いていきます。
9月23日17:50
オレンジに色づいた空は徐々にその色を別のモノに染め始めていた。8月もとっくに終わり、9月の中頃に差し掛かっている。日も短くなったのだと思ったが、それも今更だと彼女は割り切った。そんな中彼は口を開いた。
「茜」
不意に名前を呼ばれ何だか照れくさく感じる。と同時にこの気持ちも今更だと笑いが込み上げ吹き出しそうになる。
「なに?」
笑いをこらえながら口元に手を添え返事をした。そのせいか何となく素っ気ない感じになってしまった。しかし、それとは裏腹に顔は笑顔だった。
「綺麗だね」
彼は呟くように夕日を眺めながら言った。呑気なことを言うと思いつつ彼女…茜は同意した。
「綺麗な夕日だね。もう沈んじゃうけど。蒼太さ…呑気だよね?あと10分くらいしかないよ」
それを聞いているのかいないのか、蒼太と言われた彼は言う。
「なあ、夕日ってーのは昼と夜の」
そこまで話して茜が口を挟む。
「知ってる」
夕日を見つめながら茜は話を続けた。
「教えたのは私だもの」
そう言うと茜は夕日ではなく蒼太のことを見つめた。蒼太も夕日ではなく茜を見つめた。
「次は」
茜が言い終わる前に蒼太が言う。
「次はちゃんとサヨナラをしよう。」