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その島で。  作者: 流麗
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自然の脅威



「きゃぁぁぁああああ!!!!」


三日目の朝、寝ていた僕達を叩き起したのは牧野さんの断末魔のような悲鳴だった。


「っ!

何、どうしたの!?ってうわぁぁぁ!」

慌てて飛び起きた僕の体には、いたる所に3~5センチほどの虫が張り付いていた。


僕は軽くパニックになりながらそれらを振り払い、上着を脱いで牧野さんに引っ付いている虫を払い除けた。


周りを見ると、廣田くんが僕と同じように茶目さんを助けていた。


俊輔と木田くん、明彦も青い顔をしながらなんとか払い除けていた。



とりあえず昨日水を貯めたペットボトルを三本と鍋を持ってその場から逃げた僕達は、息も絶え絶えに浜辺で突っ伏した。


「なんで今日突然あんなに虫が集まったんだ?昨日はこんなこと無かったのに…」


「確か、サイだったかカバだったか、火を見つけると踏み消そうとする動物がいたよな。

あの虫もそういう習性があるのかもしれない。」

廣田くんはそう言うが、そんな虫は聞いたことがない。

いや、僕が知ってるのなんてせいぜい都会でもいるような虫だけだ。

そういえば、さっきも焚き火をしていた所だけ他の比じゃないくらいの数の虫がウジャウジャしていた。

深い森の中にはそんなのもいるのかもしれない。



「あ、まずい。

ナイフとロープを忘れた!

またあそこに戻るのか……」

「大丈夫だ。持ってきた。」


さすが廣田くん。頼りになるなぁ。


女子2人はお互いを抱き合って泣いていた。

「もうやだ!帰る!

こんなトコ居たくない!」

茶目さんはそう叫んでいるが、そんな簡単に帰れるなら、もうとっくに帰ってるよ。


……だめだな。考え方が少し尖ってきた。

僕もさっきの事で精神をかなり消耗したらしい。


「僕もあんなのはもう御免だ。

高床式の小屋を作ろう。」

木田くんはそう言うが、道具がない。


「ナイフだけじゃしんどくない?

ノコギリとかハンマーとかないかなー」

明彦は脳天気にそんなことを言っている。


ホームセンターがない孤島でそんなものが手に入るわけないだろ。


「なぁ…もう一度、駄目もとでメカ・トーテムの所に行ってみねぇか?」


あの冷静な廣田くんまでそんなことを言い始めた。僕達そろそろヤバイんじゃないか?

とは思いつつ、このままでは出来ることは無い。

「まぁやることもないし、行ってみようか。」



今の状態の女子にもう一度森の中を歩かせるのは流石に可哀想なので、僕と廣田くん、明彦の三人でメカ・トーテムの所に行くことにした。

俊輔と木田くんには女子を見守ってもらっている。


5分ほど歩いといると、メカ・トーテムがある広場に着いた。


「あれ、なんか落ちてない?

もしかして便利アイテムじゃね!?」

「そんな何度も都合よく落ちてるわけないだろ……」

そう言って呆れつつ明彦についていく僕達も、期待は抑えられない。




「えええ…落ちてたよ……

しかもチェーンソーって……」

「こっちにはカンナまで落ちてたぞ。

本当に何なんだろうな、これ。」


小屋を建てようとしたらそれ用の道具が落ちていた。しかも今回は僕達の求めていたものより高度な物が。

試しにチェーンソーの電源を入れてみたら、猛々しい音を上げて動き出したので、バッテリーはまだ生きているらしい。

というか、どう見ても新品だ。

こんな事がありえるわけが無い。


「さすがにこれは不自然すぎるよね?

誰か僕達の他にもいるのかもしれない。」


「でもよ、なんで俺達が欲しがっている物が分かるんだ?

それに俺達がノコギリを欲しがってからここに着くまでにかかった時間は、せいぜい5分か10分だ。そんな短時間でどうやって新品のチェーンソーを用意したんだ?」


「何もしてないのに物をくれるって、シ○ンロンより便利じゃね?

ギャルのパンティーをくれー!」

明彦がアホ全開で叫んでいる。

そしてやはりパンティーは降ってこなかった。


明彦のせいで真剣に考えるのもアホらしくなったので、チェーンソーとカンナを持ってみんなのもとへ戻った。

みんなも今回は流石に驚きの方が大きいらしく、不気味がっている。


「せっかく拾ったんだから、これを使って小屋を建てようか。

僕が木を切るから、廣田くんが運んで木田くんと俊輔は柱を埋めるための穴を掘って、明彦は昼飯用に生け簀から魚を取ってきて。

女子2人は鍋に海水を入れて火で煮込んで、塩を作ってもらってもいいかな?」


「了解。」「ああ。」

男子達は各々作業にかかるが、

「分かったわ。でも虫は大丈夫かな」

女子はさっきの虫がよほどトラウマだったのだろう。


「大丈夫だよ。昨日ご飯を食べた時には寄ってこなかったし、さっきも虫の動きはかなり鈍かった。

たぶん夜行性なんだと思う。」


割と適当に言った気休めだったが意外と効いたらしく、女子達は納得して海の方へ行った。

よし、僕も作業を始めよう。

火を消そうと集まってくる虫なんて現実にはいないと思いますが、フィクションの世界なので許してください。

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