3/10
ルンルンな理由
高橋さんがいなくなった後、私は今の会話を思い出していた。
まさか、高橋さんがお祭りに誘ってくれるなんて…。
夢を見ているのかな…と腕をつねったら、痛かった。
「痛い…」
そんな事を1人でしていたら、パートさんがやって来た。
『お疲れ様』
「お疲れ様です」
眼鏡を掛けていて、髪は、茶色のショートカットの上原さんだ。
高橋さんと上原さんと私の3人で話す事が、多い。
『高橋さん、どうしたの?』
いきなり、高橋さんの名前が出てびっくりした。
「何がですか?」
事情を知らない私は、聞いてみた。
『さくらちゃんの所にいた後から、ルンルンなの』
さくらちゃん…というのは、私の名前である。
ルンルンなんて、高橋さん何か良い事あったのかな?
「そうなんですね。何かの発売日とかですかね」
高橋さんは、ゲームやマンガの発売日はとてもテンションが高い。
『そうかもね。ありがとう』
そう言って、どこかへ行ってしまった。
私も、ルンルンだから気付かれないようにしないと…。
私の理由は、高橋さんだけど…と思いながら、自分の仕事に戻った。